年に3回以上風邪をひく人は要注意!
免疫力が低下すると、先述のように、さまざまな病気にかかりやすくなります。では、あなたの免疫力は今、ちゃんと機能しているでしょうか? 自分の免疫力がどうなっているのかは、とても気になるところ。ですが残念ながら、血圧や血糖値のように免疫力そのものを測ることはできません。
免疫にかかわるタンパク質「免疫グロブリン」や「白血球」、「リンパ球」の値を血液検査で測ることによって、免疫力が高いか、免疫システムのバランスが崩れていないかを推測することはできます(※これらの検査は、市区町村の定期健診には含まれていない場合があります)。
自分で判断できる一番簡単な方法は、「年にどのくらい風邪をひくかは、ひとつの目安になります。年に3回以上風邪をひくようなら、免疫力が低下していると言えます」と免疫について詳しい、順天堂大学医学部免疫学特任教授の奥村 康先生。
ほかにも、下記のセルフチェックポイントが複数当てはまる人は要注意です。
【免疫力 セルフCheck!①】
□風邪をよくひく
□風邪が治りにくい
□口内炎ができやすい
□肌荒れがひどい
□湿疹ができている
□傷が治りにくい
□よく便秘や下痢になる
□冷え性である
□睡眠障害がある
□気分が落ち込みやすい
風邪をひきやすいのは、外部から侵入するウイルスや細菌に対する第一の防御壁である鼻やのどの粘液の働きが低下している証拠。口内炎や歯周病は、口の中の粘膜が細菌に感染している状態。唾液分泌の低下や粘液の働きが落ちていることが原因です。
肌荒れや湿疹ができるのは、皮膚のバリア機能が低下しているから。便秘や下痢をしやすいのは腸内環境が悪い可能性大。腸は免疫に大きく関係しているので、免疫力の低下が考えられます。
体の冷えは基礎代謝が落ちているからかも。冷えは万病のもと! やはり免疫力の低下が疑われます。よく眠れない、気分が落ち込むなどは、精神的ストレスが大きく関係していることが。ストレスは免疫力の低下を招く大きな要因です。
生活習慣の乱れが免疫力の低下を招く!
また、免疫力を左右するのは、じつは日々の生活だと奥村先生は言います。
「免疫力と生活習慣は大きく関係しています。特に毎日の食生活の乱れや精神的ストレスは、免疫力の低下を招く大きな要因です」
下記に心当たりはありませんか? こちらも、あてはまる項目が多いほど、免疫力が低下している可能性は大です。
【免疫力 セルフCheck!②】
□朝食は食べない
□栄養のバランスはとくに考えていない
□食事はファストフードで済ますことが多い
□ヨーグルトや納豆などの発酵食品は苦手
□食事はたいていひとりで食べる
□ダイエットをよくする
□よく暴飲暴食をする
□夜型の生活だ
□常に睡眠不足
□運動する習慣がない
□1日中パソコンやスマホの画面を見ている
□湯舟にはあまりつからない
□細かいことが気になる
□笑うことがあまりない
□悲しいことやイヤなことを引きずりやすい
□趣味がない
□人とおしゃべりをするのが苦手
□誰にも打ち明けられない秘密がある
□サプリメントや薬がないと不安
□喫煙する
「“ひとりの食事”や“悲しいことやイヤなことを引きずる”など、一見、免疫力と関係なさそうですが、できるだけ楽しい気分で過ごすことは幸せホルモンであるセロトニンが分泌され、これがNK細胞を活性化して免疫力アップに役立ちます。また、“細かいことが気になる”などの完璧主義の人、“趣味がない”“誰にも打ち明けられない秘密がある”人などは、ストレスをためやすい傾向が。ストレスは免疫の大敵です」と奥村先生。
次回、第6回からは、免疫力はどうすれば高めることができるのかを解説します。今すぐ実践できる免疫アップ術、どうぞお見逃しなく!
監修/奥村 康さん(おくむらこう・医学博士)
順天堂大学医学部免疫学特任教授。アトピー疾患研究センター長。スタンフォード大学リサーチフェロー、東京大学医学部講師、順天堂大学医学部教授、同大学医学部長などを経て、現職。免疫学の国際的権威である。著書多数。
イラスト/しおたまこ 取材・文/山村浩子