知ってた⁉ その夏バテの原因は「鉄分」不足かも…？

「新しい生活様式」を明るく前向きに送るための、読んでトクする新連載。今回は、夏バテに悩む人が気をつけるべき“鉄分”の摂取に関する最新情報！

ようやく長い梅雨の終わりが見えてきて、いよいよ夏本番！　でも、暑い日が続くと夏バテしたり、だるくてやる気が出なかったり…。今は慣れないテレワークやオンライン会議、ひさびさの出勤で疲れが取れないという人も多そうです。

そんな夏の疲れやだるさは、「鉄分」摂取の見直しをすることで解決するかも！

鉄は赤血球を生成するヘモグロビンを作るのに必要なだけでなく、全身の代謝に関係する大事な栄養素。でも日々少量ずつ喪失され、食事などでの摂取が必要なので、ついつい不足しがちでもあります。

下記のような体のサインや症状を感じていたら、もしかしたらあなたも鉄分不足かもしれません。

◆鉄分不足のサイン

代謝に関係する鉄が不足すると、細胞分裂の早い爪や髪、舌や口などの粘膜や皮膚に症状が表れやすいと考えられます。

☑爪の下の皮膚が白い

☑抜け毛や切れ毛が増える

☑食べ物が舌にしみたり、ピリピリした痛みを感じる

☑まぶたの裏が白っぽい

☑肌にかゆみや肌荒れなどのトラブルがある

◆鉄分不足で出やすい症状

また、鉄分が不足すると全身が酸欠状態になるため、元気のなさややる気のなさといった状態に陥りがちに…。

☑朝起きるのがつらい

☑疲れやだるさを感じ、やる気が出ない

☑集中力が散漫になる

☑よくあくびが出る

☑肩が凝る

では、鉄分を摂ることで体にどのような変化があるのでしょうか？

【1】鉄分を継続的に摂ると疲れにくい体に！

日本体育大学体育学部の杉田正明教授の監修のもとで、「夏場を想定した疲労において、継続的な鉄分摂取が体調に与える影響」を検証。その結果、継続的に鉄分を摂っていた人は試験前に比べて疲労感が10ポイント以上も改善しました。

鉄分不足がもたらす悪影響は、疲れやすくなるほか、集中力がなくなる、貧血や立ちくらみ、睡眠の質が悪くなる、不定愁訴が起きる…などさまざま。「しかもこれらは進行がゆるやかなため、徐々に生活に影響を及ぼしていきます」と杉田教授。

また、鉄は汗、尿、糞便などから排出され、1リットルの汗で約0.5㎎の鉄が失われるのだそう。熱中症や疲れを伴う夏バテに共通するのは、体内からの鉄などのミネラルの損失。汗をかきやすい夏は、意識して鉄分を摂る必要があるのです。

ただし、鉄の摂取量はそこまで多くなくても大丈夫なのだそう。

「今回の試験でも、日本人が1日に不足しているとされる目安の3.6㎎の鉄を1カ月継続して補うだけで、疲労や朝の寝起きの良さに改善がみられました」と杉田教授。

また、鉄の吸収率は腸内環境によっても変わることがわかっています。夏はアイスなどを食べて胃腸が疲れやすくなりがち。鉄の吸収率を下げないためにも、胃腸をはじめ体調全体を整えるよう意識しましょう！

【2】わずかな鉄摂取量でストレスも軽減！

鉄分摂取については、もうひとつ興味深い調査も！

大妻女子大学家政学部の川口美喜子教授監修のもとで、「継続的な鉄分摂取が日常の心理的ストレスや運動による疲労感に与える影響」を検証。その結果、低用量（3.6㎎）の鉄摂取によって、疲労感だけでなく、心理的ストレスが64％も減少するという結果に。

鉄分不足による夏バテは、体の疲労感だけでなく「心の疲れ」にも影響するんですね。

この試験は社会人アスリートを対象としたものですが、汗をよくかく職業の方や、鉄分不足に陥りやすい閉経前の女性や妊婦さんなど、あらゆるライフステージに当てはまるだろうと川口教授。

「鉄分というと貧血だけを思い浮かべますが、日常生活では疲労改善に関係したミネラルとも考えられます。体内の鉄分が減ると、ヘモグロビンも減って酸素運搬能力が減り、エネルギーをつくる力が低下。そのため、体がだるく疲労を感じるようになるのです」

では、食事で鉄分を摂るときに気をつけるべきポイントは？

「鉄には”ヘム鉄”と”非ヘム鉄”があります。”ヘム鉄”のほうが吸収がいいとされますが、動物性の食品に多く含まれるため、結果的に脂肪も一緒に多く摂ることに。一方、”非ヘム鉄”はヘム鉄ほど吸収率はよくないものの、野菜や海藻類、納豆などに多く含まれ、食物繊維も一緒に摂れますので、腸内環境をよくするためにもおすすめです」