患者力を身につけて、納得のいく医療を!
自分に合った医療機関をいかに早く見つけ、納得のいく医療を受けられるか…。よりよい医療を受けるためのちょっとしたコツをご紹介します。
お話を伺った先生方
平松 類さん
1978年生まれ。眼科専門医、医学博士。昭和大学兼任講師。
現在、二本松眼科病院、彩の国東大宮メディカルセンター、
三友堂病院で眼科医として勤務。
テレビ出演のほか、執筆活動に励み、ベストセラーも多数。
今津嘉宏さん
1962年生まれ。芝大門いまづクリニック院長。
外科医、漢方医。西洋医学と漢方医学を組み合わせ、
内科や、がん漢方、漢方産婦人科などを受け持つ異色の専門医。
講演活動、テレビ出演も多く、著書も豊富。
島田菜穂子さん
1963年生まれ。ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長。
乳腺専門医、放射線科専門医、スポーツドクター。
認定NPO法人「乳房健康研究会」を立ち上げ、
ピンクリボン運動にも尽力している。
対馬ルリ子さん
1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座理事長。
産婦人科医、医学博士。専門は周産期学、ウィメンズヘルス。
NPO法人「女性医療ネットワーク」ほか、
女性の健康のために啓蒙活動を行い、著書も多数。
◆治療法のチョイスをその場で迫られたら?◆
スピーディに診断が下りて、治療法を決断しなければならない。でも、日程のこともあるし家族にも相談したいし、今すぐには決められない…!
「急を要する症状なら別ですが、緊急の病気ではないのに医師が早めにチョイスを迫るときは、意外と『何度も来させるのはかわいそう』と思っているからだったりします。迷ってしまった場合は『家族と相談してきます』と言ってOK。『すぐに来られますから』などと言うと医師も安心してくれるはず」(平松先生)
◆画像や検査データはもらっていいの?◆
ほかの病院へ紹介状を書いてもらうときはもちろん、検査した画像や検査結果を自分で持っておきたい場合も。
「もちろん、請求しましょう。検査結果は病院の財産ではなく患者個人のものなので、請求する権利があります。もしもくれない医師がいたら、その医師はやめたほうがいい」(今津先生)
「データは次のクリニックで絶対に必要なもの。それがないと最初からすべてやり直しになってしまいます。もらうのは当然の権利なので、別の医療機関にかかる際は、忘れずにもらいましょう」(島田先生)
「データを渡し渋る医師もいるようです。その際『なぜいただけないんですか』というのは攻撃的に聞こえるので、『何ならいただけますか』『どういう形式ならいいですか』と聞いてみましょう」(平松先生)
◆医師の言っていることが全然理解できない!?◆
「病気のときは普段以上に頭が働きません。医師の話は全部理解できなくても、最低限のことが理解できれば十分と思いましょう」(今津先生)
「実は医師は説明下手が多いんです。初めて聞く単語が頭に入ってこないのは誰しも同じですし、説明されて、そのときはわかった気がしても家に帰ったら全部忘れちゃったという人が圧倒的です。それを見越して、キーワードだけでもメモする癖をつけるといいですね」(対馬先生)
◆セカンドオピニオンを取りたいけど、言い出しにくい…◆
ほかの医師の意見も聞いてみたいとき、セカンドオピニオンをスムーズに受けるには?
「セカンドオピニオンを取りたいのでデータをください、と堂々と言ってください。嫌な顔をしたりデータを渡さないなどというのは、医者にあるまじき態度。遠慮は無用です」(対馬先生)
「希望して断られたり嫌がられたら、その医師は未熟だと判断し、面倒でも医師を替えましょう」(今津先生)
「セカンドオピニオンを取るのを嫌がる医師も確かにいます。それは『俺は間違ってない』とかたくなに思っているプライドの高い人。それを説得するのも僕は無駄だと思うし、そんな人にもらったデータなんてもっと信用できない。変なところにかかっちゃったと思って、次行きましょう」(平松先生)
●ズバリ、患者力とは?●
患者力は治療を左右する能力。
基本的なことを知っているかどうかです。
そのうえで、仕事と同じように
医師とプランのすり合わせをきちんとできるかが鍵。
(平松先生)
Advice from 吉川千明さん
【確かに効力あり! 家族や友人知人の紹介】
よく更年期の女性が迷うのは、婦人科の医師選び。ネットで検索しても手術の名医しか出てきませんが、私たちが行きたいのは丁寧に話を聞き、一人一人に合ったアドバイスをくれるドクター。私はたくさんの婦人科医にお世話になっているので、探している友人にはもれなく紹介してあげています。私が双方を知っているので、友だちも安心なら医師のほうも「千明さんの友だちね」とわかっていて話が早い。こんな紹介の仕方、確実です!
次回は、信頼できるドクターの見つけ方や、ドクターとの信頼関係の築き方などについて詳しくご紹介します。
イラスト/マスリラ 構成・原文/蓮見則子