マスクがすっかり生活必需品になった毎日ですが、マスクの中の自分の口臭を感じて、ドキッとすることはありませんか。その口臭、口内環境が乱れているせいかも。口内環境の乱れは、口臭ばかりか、全身の健康にも影響を与え、さらには、新型コロナウイルスの感染リスクを高める危険性もあるのだそうです。
口内環境と体の健康との関係について、若林健史先生(歯科医師。日本歯周病学会理事。若林歯科医院院長)、西田亙先生(内科医。にしだわたる糖尿病内科院長)に、お話しをうかがいました。
■口臭を軽く考えていませんか?
口臭の主な原因はふたつ。ひとつ目は、消化不良や肝機能低下、糖尿病など「体」からくるもの。ふたつ目は、歯や舌の汚れや虫歯、歯周病など「口内環境」からくるものです。ふたつ目の原因は、「口内フローラ」という口の中の細菌の集まりが、大きなカギを握っているのだそう。
「『口内フローラ』は、善玉菌・悪玉菌・日和見菌のバランスで左右されます。このバランスが乱れると悪玉菌の増加につながり、口臭の原因のひとつになってしまいます。乱れは、喫煙・乾燥・ストレス・糖質の過剰摂取などによって、引き起こされます。
特に、今はマスクを長時間装着することで話す機会や時間が減少し、口周りが運動量不足になりがち。また、ストレスを感じることにより、唾液量の分泌が減り、口内環境が悪化しやすくなっています。
そして、悪玉菌の代表である歯周病菌は血流にのって全身に巡り、糖尿病、心筋梗塞などの重い疾患も引き起します。『口内フローラ』を良好に保つことは、口臭予防などの口内の健康だけでなく、全身の健康のためにも重要な要素でもあるのです」(若林健史先生)
■口内環境の乱れが、感染リスクを高める!
「新型コロナウイルス感染症は、感染者の飛沫を口・鼻から吸い込んだり、ウイルスが付着した手で目や口・鼻を触ることで、その部位から体内に侵入して、肺・小腸・唾液腺に棲みつきます。特に唾液腺の中に新型コロナウイルスが棲むつくと、お口の中で増殖。特にお口の中に悪玉菌が多い場合、ウイルスが増殖しやすい環境となってしまいます」(西田亙先生)
口の中の良質な善玉菌を増やして悪玉菌を減らすことが、感染リスクを高めないために大切なことなのだそうです。
■口臭対策も感染症予防もできる『口内環境を整える生活習慣』とは
今日から無理なく口内環境を整えることができる2つの方法をご紹介します。
唾液腺を刺激するマッサージで唾液量アップ!
唾液には口の中を清潔に保つ働きがあって、量が少ないとウイルスもうまく流されていかないのだとか。ドライマウスの人や咀嚼回数が少ない人は要注意です。
気になる人は、唾液腺を刺激するマッサージが効果的。三大唾液腺の耳下腺、顎下腺、舌下腺の三箇所を軽く押すことで、唾液量を増やすことができます。ガムを噛んで咀嚼回数を増やすのもいいそうですよ。
善玉菌を多く含む食品を毎日の食卓に!
口内フローラを整えて、歯周病にも腸内にもよい環境が期待できる「バクテリアセラピー」という予防医学技術が注目されはじめています。
良質な善玉菌(乳酸菌)を胃酸の影響を受けず生きて届けることで体内菌のバランスを整えるのだそう。それには、普段の食生活で、ヨーグルト、キムチ、味噌、納豆、漬物など、善玉菌を多く含む食品を積極的に食べる工夫が大切です。同じ善玉菌でもなるべく多くの種類の商材から摂ると相乗効果が期待できるので、いろいろな食材を毎食摂るようにしたいですね。
特に乳酸菌は腸内に多く留めておけないので、できるだけ毎日続けることが大事なのだとか。現在バクテリアセラピーに活用される善玉菌として、もともとヒトの常在菌としてともに進化してきた「ロイテリ菌」という菌が注目されているそうです。
■口臭をバロメーターに、感染症にかかりにくい生活習慣を!
長時間におよぶマスク生活でストレスもたまりがちですが、感じた口臭をバロメーターにして、口内環境を整え、感染症にかかりにくい生活習慣を手に入れましょう。
善玉菌を積極的に取り入れる食生活で口内フローラのバランスを整えること。しっかり咀嚼して唾液をふやし口内を清潔に保つこと。口臭への気づきが、感染症にかかりにくい体質への第一歩です!
◆資料提供/オハヨーバイオテクノロジーズ
構成・文/鹿住恭子