声楽科の学生も行なっている唇や舌の基礎練習をご紹介。オペラ歌手のような美声を響かせるには、口まわりや唇をリラックスさせることが大事です。
教えてくださるのは
田村麻子さん
Asako Tamura
ソプラノ歌手。国立音楽大学声楽科卒業、東京藝術大学大学院修士課程修了。マネス音楽院(ニューヨーク)首席卒業。国内外のコンクールにて上位入賞。日韓共催FIFAワールドカップの決勝戦前夜祭「3大テノール・コンサート」に共演。2015年には米大リーグ戦にて外国人歌手として初めてアメリカ国歌斉唱の栄誉を得る。メトロポリタン歌劇場管弦楽団、BBC交響楽団など、国内外で多くのオーケストラと共演、また世界各地の歌劇場で主演を務める。田村麻子さんのホームページはコチラ
※田村麻子さんの提案するさまざまな「肺活」は、OurAgeでも動画で公開中。OurAgeの連載はこちら
Step 4 声を出す基礎練習
声を出すための唇や舌の基礎練習です。声楽科の学生も、まずこうした訓練をして、のどや唇を動かしやすくします。
スポーツでドリブルやストロークの打ち方を繰り返して、基礎練習をするのと同じ。のどや唇、舌といった筋肉を自在に動かすための基礎練習があって、いい声を出せるようになるのです。
いい声を出せるかどうかは、緊張するより、いかに口まわりや唇をリラックスさせられるかにかかっています。
軟口蓋を実際に触って位置を確かめてみて
声楽の世界では「軟口蓋を上げて歌う」という表現をします。軟口蓋を上げることで、のどの奥の空間を広げて、響く声が出るようにします。伸びやかな声を作るために軟口蓋を意識してみましょう。
清潔にした親指の腹を上にして口に入れます。上あごを傷つけないよう軽くなぞりながら奥に入れていき、柔らかい部分に触れたらそこが軟口蓋
Point 軟口蓋はここ!
人間の口蓋(上あご)の前方は骨の壁でできており、硬口蓋といいます。骨がなく柔らかい口蓋の後方を軟口蓋といいます。軟口蓋は、食べ物を飲み込むときに鼻腔と口腔を遮断する役割を担っています
唇を震わせる発声練習で口の筋肉をリラックス
発声練習の基礎がリップロールです。これは唇を閉じた状態で、唇を「ぷぷぷぷ」と振動させること。口まわりの筋肉や唇をリラックスさせないとできません。唇をリラックスさせるコツをつかんで。
口は閉じた状態で、閉じた唇の間に空気を送って「ぷぷぷ」と唇を震わせます。さらに、首をゆっくり左右に振りながら同様に続けて
イラスト/かくたりかこ 取材・原文/黒部エリ