何もないところに虫のような黒いものが見える症状「飛蚊症」ついて、眼科医の板谷正紀先生にお話を伺いました。
お話を伺ったのは
板谷正紀さん
Masanori Hangai
眼科医、医学博士。医療法人クラルス理事長、板谷アイクリニック銀座院長。硝子体手術と緑内障手術のエキスパート。
飛蚊症
浮遊物が見える症状で、多くの場合は心配無用
実際には何もないはずなのに、目の前に虫の影や糸くずのようなものが見える症状を「飛蚊症」といいます。
「眼球の中には、ゼリー状の物質で満たされた硝子体があります。これが加齢などで萎縮して網膜から離れると、ゼリー状部分の濁りとなり、まるで虫が飛んでいるように見えるのです。これが後部硝子体剝離です。
後部硝子体剝離が起きても、ほとんどの場合は問題ないのですが、一部のケースでは、網膜に裂け目や孔(あな)があくことがあります。孔だけならレーザーで治療できますが、網膜剝離が起きてしまうと緊急手術が必要です。飛蚊症の症状が急に悪化したら、すぐ眼科で眼底検査を受けてください」
硝子体の濁りが原因
硝子体と網膜の接着部が剝がれるなどで、眼球内のゼリー状の部分に濁りが発生。これが、虫が飛んでいるように見える原因です。
硝子体(しょうしたい)
眼球内を満たす透明なゼリー状の物質で、眼球の形を保ち、入ってくる光を通す役割が。
網膜(もうまく)
眼底に広がる薄い膜で、光や色を感じ取る神経細胞が集まっています。
硝子体、網膜のほか、代表的な目の病気に関係する部位の説明は、あなたの症状はどれ? 40歳を過ぎたら注意すべき目の病気は?/ 目の病気①をご参照ください。
イラスト/いいあい<イメージ> コタケマイ(asterisk-agency)<解剖図> 構成・原文/山村浩子