体を動かすことや物事に取り組む意欲など、脳の健康寿命を延ばすための習慣について、順天堂大学医学部名誉教授の新井平伊先生に伺いました。
有酸素運動と骨への刺激運動を実践する
「脳機能を低下させないためには、体を動かすことが重要です」(新井平伊先生)。
最近歩く速度が遅くなった、足がもつれる、すぐに疲れる、握力が低下した…そんな変化があったら、身体機能が低下している証拠。実践したいのは、少し汗をかく程度の有酸素運動。
これを週に3回、各30分を目安に。そして、太ももの筋肉を鍛えることです。これにはスクワットや階段の上り下りなど。きつい運動は不要で、何より“続けること”が重要です。
血管の劣化が進む生活習慣病を予防する
脳寿命を延ばすためには、脳に悪い影響を与える因子をひとつずつ減らしていくことです。
「まず取り組みたいのは体全体の老化を促進させる要因、生活習慣病を予防することです。その代表である糖尿病、高血圧、脂質異常症はすべて血管に悪影響を与えます。血管の年齢は脳の年齢に直結します」。
健康診断で指導が入ったら改善を。すでに病気の診断を受けている人はしっかり治療しましょう。
何かに取り組む意欲が脳機能を支える
年齢を重ねると、脳の神経細胞が老化します。これをサポートして、脳全体の機能を活性化する工夫が必要です。
「そのためのキーワードが『意欲』です。何事にも前向きに取り組もうとする意欲が土台になければ、感情も知能もついてきません。そして感情で大切なのは“楽しい”と感じること」。
つまり、“楽しく意欲が持てる”対象を見つけることが、脳寿命を延ばす大きな秘訣です。
●イメージする精神構造
新井平伊先生が考える「人の精神構造」は、「意欲」がベースにあり、そこから「感情」が生まれ、その先に「知能」が育成されます
教えてくれた人
新井平伊さん
Heii Arai
1953年生まれ。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と臨床を中心とした老年精神医学が専門。アミロイドPET検査を含む健脳ドックを導入した「アルツクリニック東京」院長。2021年に「健脳カフェ」設立
イラスト/midorichan 構成・原文/山村浩子
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