“消化・吸収・代謝”をスムーズに行うには、さまざまな栄養素が必要です。そのため、栄養の偏りは消化力の低下を招きます。体にいいつもりの食事法も、実は悪影響なんてこともあるので要注意です。
その食事法、消化力を落としています
無理なカロリー制限はリバウンドするだけ
「もちろん食べすぎはいけませんが、極端なカロリー制限もNG。確かに体重は減ります。しかし、体は不十分な栄養でどうにか対応しようとするので、少ない栄養を最大限に吸収し、不要なはずの排出物も減らします。
よって、食事を元に戻すとリバウンドするだけでなく、不要なものまで取り込み、腸が汚れて、消化力は低下します」(澤田幸男先生)
極度な糖質制限は便秘の原因になる
糖質には米などの炭水化物も含まれ、これを制限するダイエットが大流行しました。「確かに糖尿病患者の場合、糖質を1日70~130gに減らすと治療効果はあります。
しかし、炭水化物は糖質だけでなく、食物繊維も豊富。極端に減らすと、食物繊維不足で便秘の原因になり、消化力は低下します。減らすなら1日1食だけ炭水化物を抜く程度に」(澤田幸男先生)
断食は短期間ならいいが、消化管に負担がかかる
「体内浄化」の必要性を訴える人は、日本でも欧米でも増えています。断食(ファスティング)もそのひとつ。
「食べすぎた翌日に食事量を減らしたり、1~3日の短期の断食なら消化管を休ませる効果がありますが、長期になると体への大きな負担に。空腹時間が長くなると、胆汁が濃縮して胆石症になる可能性が高まります。自己流で行うことは危険です」(澤田幸男先生)
お話を伺ったのは
澤田幸男さん
Yukio Sawada
1957年生まれ。「澤田肝臓・消化器内科クリニック」院長。医学博士。専門は消化器内科。アダムスキー式腸活法を提唱する『腸がすべて』(東洋経済新報社)の監修を担当。神矢丈児氏との共著『腸が寿命を決める』(集英社新書)も
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/山村浩子