一度発症した「四十肩・五十肩」は、治療したとしても再発してしまうのでしょうか? 整形外科医で肩肘専門医の菅谷啓之先生がお答えします。
Q 四十肩・五十肩は繰り返すのでしょうか?
A 繰り返さない予防が大事。
「同じ肩を繰り返す人、右肩が治癒したら左肩が…という人もいます。四十肩・五十肩の発症は、運動不足などで、体が硬くなっていることが大きく関係しています。
再発を防ぐには、治癒したあともストレッチやエクササイズなどで、体の柔軟性を保つことが大切です」
Q 四十肩・五十肩は更年期症状のひとつですか?
A 更年期とは関係ありません。
更年期症状のなかに“肩こり・肩の痛み”といった項目をよく見ます。
「ひどい肩こりに悩まされることがあるようですが、四十肩・五十肩は男性にもあるように、女性ホルモンが低下する時期と、四十肩・五十肩の発症年齢が重なっているだけで、直接は関係ないと思われます。
ちなみにほかの病気との関連は、糖尿病の人は四十肩・五十肩になりやすいことが指摘されています」
Q そもそも四十肩・五十肩って病気なの?
A 正式名は肩関節周囲炎という病気です。
「四十肩・五十肩の正式名称は『肩関節周囲炎』。加齢により、肩関節内の関節包(関節を囲んでいる膜)や腱板(肩関節を安定させている4つの腱)が劣化し、肩関節だけに負担がかかる動作や血液循環の悪化などで、肩関節内に炎症が起きた状態です。
強い痛みとともに、肩の可動域が制限されます。これとよく似た疾病に『腱板断裂』があります。これは腱板が切れてしまった状態。こちらは放っておいて治癒することがないので、四十肩・五十肩と識別して適切な治療をすることが重要です」
※40代から多い肩の病気の記事は、コチラから読む事ができます。
答えていただいたのは
菅谷啓之さん
Hiroyuki Sugaya
東京スポーツ&整形外科クリニック院長。整形外科医、肩肘専門医。米国ハワイ大学医学部客員教授、東京女子医科大学整形外科客員教授
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/山村浩子