網膜の中心部にあり、視細胞が密集する場所「黄斑」という組織がダメージを受け、物が歪んだり視野が欠ける症状が起こるのが「加齢黄斑変性」。眼科医の梶田雅義先生に解説していただきます。
物が歪んで見えたり、視野の中心が欠けたりする病気
加齢黄斑変性
進行すると視力が戻らず失明する可能性が
「加齢によって目の網膜の中心部にある黄斑に老廃物が沈着したり、本来は存在しない異常な血管(新生血管)が発生したりすることで、網膜の細胞がダメージを受け、視力に障害が生じるのが加齢黄斑変性。
60代〜70代に多いですが、40代後半くらいから増えはじめます。初期段階では、物が歪んで見えたり、視野の中心が黒くなったり欠けたり、視力が低下するなどの症状が出ます。進行すると視力が戻らず失明する場合も。
日頃から格子状の物などを見て、歪みや視野の欠けなどがないか、こまめにチェックするのがおすすめ」
こんな人がなりやすい
●加齢とともに誰でもなり得るが、喫煙者、紫外線を浴びる時間が長い人、肥満ぎみの人、欧米型の食事が多い人が特になりやすい
治療法
注射やレーザーなどで治療可能
「新生血管の原因になる血管内皮増殖因子(VEGF)を抑える薬を目に注射する方法や、レーザーで新生血管を詰まらせたり、焼いたりする方法で治療します。
セルフケアとしては、緑黄色野菜に多く含まれるルテインという成分に黄斑を守る作用があるとされているので、意識してとるとよいでしょう。また紫外線対策も重要です」
お話を伺ったのは
梶田雅義さん
Masayoshi Kajita
梶田眼科院長。1976年山形大学工学部電子工学科卒業、’83年福島県立医科大学卒業。同大学眼科学講師、カリフォルニア大学バークレー校研究員、福島県立医科大学非常勤講師、東京医科歯科大学医学部臨床教授などを経て現職。The Best Doctors in Japanの受賞も多数
イラスト/中村久美 構成・原文/和田美穂