乳がん検診に対する素朴な疑問にお答えします。日本人に多いという「デンスブレスト」とは? その場合の対処法は?
Q. よく耳にするデンスブレスト(高濃度乳房)って何ですか?
A. マンモではしこりが見つけにくく、乳がんリスクが高い乳房です
乳がん検診で論議を巻き起こしているのがこの「デンスブレスト(高濃度乳房)」。乳腺濃度が高く、マンモでしこりが見えにくい乳房のことです。乳腺濃度とは、乳腺が乳房内にどれだけ存在するかの割合。高濃度乳房は、日本人を含むアジア人に多いタイプの乳房です。
「問題は大きくふたつあり、ひとつはマンモグラフィでは、乳腺もがんも白く写るため、乳がんが見つけにくいこと。もうひとつは、脂肪性の乳房に比べ、高濃度乳房は乳がんの発症リスクが高いことです」。
にもかかわらず、現状では高濃度乳房でがんがあるかどうかわからなくても、結果は「異常なし」と返されてしまいます。そのため、自分の乳房のリスクを知ることができません。
医師は、マンモの画像を4分類して判定。右ふたつが高濃度乳房で、がんがあっても見えにくいタイプ。脂肪性乳房は乳腺が少なくがんが見つけやすい。多くの自治体では、見えなくても「異常なし」と結果を通知
Q. もし、高濃度乳房だったらどうすればいい?
A. 超音波検査を組み合わせる方法も
高濃度乳房かどうかを知るには、マンモグラフィ検診後、「私は高濃度乳房ですか?」と聞いてください。
「もし、高濃度乳房だったら超音波を組み合わせてもいいでしょう。40代の高濃度乳房の人は、超音波を併用するとマンモ単独より多くの乳がんが見つけられることがわかってきています。しかし超音波はマンモに比べ、治療の必要のない良性の変化を拾いすぎる欠点もあり、それを理解したうえで行いましょう」
お話を伺ったのは
1993年東京慈恵会医科大学卒業。ドイツ・イエナ大学留学、亀田総合病院乳腺科部長、相良病院附属ブレストセンター放射線科部長を経て、現職。2018年より昭和大学医学部放射線医学講座客員教授を兼務。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)理事長
構成・原文/増田美加