Q. ぎっくり腰と慢性の腰痛はどこが違うの?
A. 出方が違うだけで原因が同じことも
ぎっくり腰は重い物を持ったときなどに、突然起こる急性の腰痛。その激しい痛みに、しばらく動くことができなくなる人も。これは腰にかかる筋肉、腱、靱帯などの損傷で起こる炎症性の痛み、ほかには、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など神経の障害による痛みも考えられます。慢性腰痛はそれが慢性化したものであり、発症の仕方が違うだけで、原因が同じこともあります。
ぎっくり腰は3日~1週間で激痛は治まりますが、慢性腰痛はだるさや軽い痛みが何カ月も続きます。いずれも、その根底にあるものとして、運動不足による筋力の低下、悪い姿勢や適切でない体の動かし方を繰り返すことによる骨格の歪み、足腰の冷えなどが挙げられます。
Q. 腰痛が起こる原因は?
A. 病気が隠れている場合も
背骨は小さな椎骨が積み重なり、それをつなぎクッション役を果たす椎間板や黄色靱帯、その内側には脊髄神経が通る脊柱管があります。その背骨の下部に骨の変形などが起こると腰痛の原因に。40代から増えるのは、「脊柱管狭窄症」「椎間板ヘルニア」「脊椎すべり症」。
原因は姿勢の悪さ、長年にわたる間違った体の使い方など。初期段階で痛みが軽いと放置しがちですが、重症化する前に一度、整形外科を受診し、レントゲンやMRIなどの画像検査で正確に診断することが大切。治療は、鎮痛剤、腰部の安静(腰部固定帯の着用など)だけでなく、リハビリテーションで腰にストレスを与えない姿勢や動作を学ぶことが重要です。
●正常な脊柱管
椎骨同士がきれいに並び、それをつなぐ椎間板がしっかりクッション役を果たしている状態
腰痛が起こる原因
●脊柱管狭窄症
椎間板の膨張や椎骨の骨のトゲなどで、脊柱管が狭くなり、神経が圧迫される病気。安静時にはあまり痛まないが、背すじを伸ばすと痛むというのが特徴。太ももや膝にしびれが出ることもあります
●椎間板ヘルニア
椎間板の中にある髄核が飛び出し、炎症を起こすことが原因です。それにより、腰からお尻にかけての痛み、太もものしびれなどを起こします。腰を曲げると痛みが増すことが多いようです
●脊椎すべり症
椎間板や関節の劣化などで、椎骨の位置がずれる病気。神経が炎症を起こしている場合は腰やお尻の痛み、ほかに足のしびれや神経痛が起こります。前かがみになると楽になるのが特徴です
「整形外科 スポーツ・栄養クリニック」(福岡、東京・代官山)理事長。日本で初めて医療にピラティスを取り入れ、独自の「カラダ取説」プログラムの普及に尽力
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/山村浩子