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気軽な山にも危険がいっぱい。地図読みを学んで知ったこと。/50代。乳がんサバイバーになりました。

hijiri

hijiri

都内在住の50代会社員。2019年5月に乳がんと診断される。仕事を続けながら同年10月までに3回にわたる手術を経て、2020年1月に放射線治療が終了。現在は、10年間にわたるホルモン療法薬の服薬を継続、年に一度の検診で経過観察中。放射線治療中も継続したランニングの趣味が高じて、ランニングアドバイザー、スポーツ医学検定2級、ナヴィゲーションスキル ゴールドレベル等の資格を持つ。「琉球茶道ぶくぶく茶」東京分室主催。元おでかけ女史組メンバー。

 

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地図読みの勉強はじめました

 

先日、日本オリエンテーリング協会が認定するナヴィゲーションスキル検定のシルバーレベルに合格しました。

 

これは、山の中で道迷いを防ぐために地図読みのスキルを認定するもので、ブロンズ、シルバー、ゴールドがあります。 シルバーレベルがどれくらいかといえば、サイトの文章を引用するとこんな感じです。

 

“(地図上の)分岐点の現在地把握が難しいため、道の選択に迷う、道自体をたどることが時に難しい場所(岩場、渡渉、雪渓等)があるルートで、適切な判断ができるレベルです。山のグレーディングで難易度Cレベルに対応したナヴィゲーションスキル

 

1. 細かい地形の確認
2. 地形とコンパスを活用した方向確認ができる
3. 細かな地形上の特徴を利用した現在地の把握をすること“

 

ちなみに山のグレーディングとは、日本の山について、登山技術の難易度を数値化したものです。A~Eの5段階に分かれていて、Eが最難関になります。これに体力度レベルを組み合わせたものを目安に自分の力量に見合った山を選べば、山岳遭難などの事故を防止できるだろうという目的で制定されています。

各県ごとに公表されており、いわゆる登山ガイドブックなどの編集者の主観的難易度と違い同一基準で評価されていてわかりやすいことがメリットですが、同じ山でも登山を開始する場所によって難易度は簡単に変わるので、その点には注意が必要です。

 

参考までに、グレーディングCだと、技術的難易度はこれくらい。

 

・ハシゴ・くさり場、また、場所により雪渓や渡渉箇所がある
・ミスをすると転落・滑落などの事故となる場所がある
・案内標識が不十分な箇所も含まれる

 

山でいえば、八ヶ岳だとC~Dくらい(ルートで変わる)。富士山だとグレーディングBです。富士山は標高は高いものの、そこまでテクニカルではないことがわかります。

 

低山は安全?

 

「私はそんな難しい登山には行かないし、せいぜいハイキングやキャンプくらいだから大丈夫」

 

そう思いますか? 私も地図読みを学ぶまでそう思っていました。

 

でも、実は里山ともいう都市や集落に近く、林業などでも利用されるような身近な低山こそ、道迷いの危険が高いのです。
山道を歩いていて、あれここは左右どちらだろう?と思うことは、想像する以上に多くあります。

hijiriさん イラスト

例えば、先ほどのナヴィゲーションスキルです。 シルバーレベルは基本的に地図に載っている登山道(徒歩道)から外れないことが前提になっています。地図に描かれていないルートを想定するゴールドレベルと違い、地図に沿っていけばいいわけですから誰にもできそうな気がしますよね。 わざわざ学ぶ必要なんてある?と思うかもしれません。

 

この感覚こそが落とし穴で、実は人間を含め多くの生物が生息する低山には、登山地図に描かれていない道がたくさん存在しています。けもの道やお社へ行く道、お墓への道筋、林業などに使う小屋への通り道など、思いのほか「地図に載っていない道」があるのです。さらに、地形や人や動物が通って踏みしめられた場所も、一見道に見えやすくなります。 大雨で鉄砲水が流れたところは、削られて道のようになります。

 

左右に分かれるはずなのになぜか三叉路になっている、一見道に見えない方が正しいルート、など、間違えやすいポイントは本当に多いです。これを繰り返すことによって、地図に沿って進んできたつもりなのに、気が付いたら「地図上の道ではない」「道に見える間違った方向へ」入り込んでしまうケースがかなりあるのです。

 

例を挙げてみましょう。
以下の写真はどちらも〇が正しい、地図上の道に沿ったルートです。

hijiriさん 山道1

hijiriさん 山道2

株式会社ヤマップ「日本一道迷いしやすい登山道2022」より

 

いかがですか。
これを初見で、間違うことなく道をたどれる自信はあるでしょうか?

 

認定試験では、このような間違えやすいポイントをチェックしながら、地図上では自分はどこにいるのか?を見つけることが試されるのですが、やってみると本当に難しい。周囲の地形もしっかり確認しつつ方角なども気にしておかないと、簡単に違う場所を「ここだ!」と思い込んでしまうのだということを実感しました。

 

どんなに気軽な山でも気を緩めずに

 

標高が高く難易度も高い山は確かに危険度が高いです。けれども、ある意味行くほうも準備しますし、心構えも違いますよね。でも、低山は気軽に行ける分、つい平地と同じ感覚で「なんとかなる」と思ってしまいがちです。でも、どんなに低い山でも街中とは違います。コンビニも交番もありません。道迷いは、そのまま命の危険にもつながります。

 

毎年夏になると、親が子供を連れて日帰りハイキングに行って道に迷って遭難、というニュースを耳にすることがあります。数年前、キャンプ場で小学生の女の子が行方不明になり、最近死亡が確認されたという痛ましい事故もありました。 こんな風に、すぐそこに人が行きかうような場所であっても、山には危険が潜んでいるのです。

 

気楽なアウトドアレジャーが大きな悲劇につながることもあります。自然は、楽しいけれど、怖いものでもあるということをくれぐれも忘れずに。

「まあなんとかなるだろう」「どこかに出るだろう」と思わずに、迷ったと思ったらわかる場所まで引き返すなど、気を付けながら安全に楽しんでほしいと思います。

 

できるようなら、コンパスを持参して方角だけでも確認できると安心です。

地図読みでいうところの方角には、正確には「真北」「磁北」の二種類があり、一概に北といっても実際には数度のズレがあるのですが、細かいことはとりあえずおいておいて、とにかく自分が東西南北どちらに向かっているのかを意識しておくだけでも、かなりのリスクは減らせます。

正しい道だと思っても、コンパスで方角をチェックしたら南に向くはずが東に向いている、であれば、それは間違ったルートだと考えればいいのですから。

 

迷ったらまず立ちどまって考える、暗くなったら動かない、そして感覚だけで絶対進まない。山に入ったら、少なくともそれだけは覚えておいてください。

 

出かける前に、家族や友人に山へ行くことや、可能であれば予定のルートを伝えておくだけでも有事の際には助けになります。

今はスマホのGPSである程度の自分のいる場所もわかりますが、山の中ではGPSはズレることも多々あります。電波もないかもしれません。
もし可能なら地図とコンパスで方角だけでもチェックするようにして、そしていざというときのためにスマホの予備バッテリーを忘れずに。

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