♦コラーゲンの再合成を促して、シワ&たるみを解消
(イメージphoto/philippe collard on unsplash)
顔のシワやたるみの解消に必要なのは、「肌のハリ」。
肌は、「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層構造になっており、肌のハリに特に大きく関与するのが肌の土台を担う、真皮のコラーゲンです。
■表皮
肌の一番外側にある部位。
紫外線や乾燥など外からの刺激から肌を守ります。
また、ターンオーバー(肌の生まれ変わり)を行います。
■真皮
表皮の下にある部位。
コラーゲン線維・エラスチン線維・ヒアルロン酸等で構成されており、肌のハリ・弾力を支える基礎となります。
水分保持も行います。
■皮下組織
真皮の下にある部位。
おもに、脂肪細胞で構成されています。
体温を正常に保つ、外からの攻撃から守るなどの役割も。
毛細血管を通じ皮膚に栄養を与えます。
真皮には、コラーゲン線維・エラスチン線維といった、繊維状の組織が網のように張り巡らされ、バネの役割を果たしています。ベッドのマットレスに使われている「スプリング」のようなイメージです。
これらによって、指で押すと押し返してくるような弾力や、ピンとした若々しいハリが作られています。
しかし、体内のコラーゲンは、加齢とともにどんどん減少し、体の中で新しくコラーゲンを作り出す力も衰えていきます。
そして、次第に肌の弾力を生み出していたバネの力が弱くなっていきます。
そうなると、表皮や真皮を支えておくことができなくなり、シワやたるみの原因になってしまいます。
そこで、これらの繊維状の組織の材料である、コラーゲンを補強して、バネの力を回復させましょう。
コラーゲンはタンパク質の一種。
体内のコラーゲンを増やすためにはタンパク質をとることが大切です。
そして、こうしたコラーゲンの再合成に関与しているのが、「ケイ素」「硫黄」などのミネラルなのです。
♦美容成分として注目! セレブに人気のケイ素
ケイ素は、海外セレブの間で、美容のために「ケイ素摂取」を意識的に取り入れている人が増えているとのこと。
日本でも近年、注目度が高まっているミネラルです。
ケイ素といってもあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、「シリカ」という名前は聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
ケイ素は、「シリカ」と呼ばれることがあります。
正しくは同じものではないのですが、地球上に存在するケイ素(Si)はそのほとんどが酸素と結びついた形を取っていて、それが「シリカ(silica)」と呼ばれる物質です。
シリカは、美容によい水として注目を集めているミネラルウォーターに含まれている成分として、耳にしたことがあるかもしれませんね。
40歳代を過ぎると体内のケイ素は大幅に少なくなってしまうため、積極的に補う必要があります。
ケイ素は自分の体内で生成することができないため、食べ物などから摂取しないといけません。
ケイ素は、ミネラルウォーターやサプリメントからとることが多いと思いますが、以下の食物にも含まれています。
〈ケイ素を多く含む食べ物〉
・貝類(ハマグリ、ホタテ貝、アサリなど)や海藻(ひじき、わかめなど)
・いも類
・豆腐
・精製度の低い穀類(全粒粉、オートミールなど)
なお、ケイ素の働きについては、詳しいところまではまだわかっていませんが、美容や健康長寿において、重要な役割を果たしているようです。
ケイ素が体内で消耗する要因として、精製加工食品(麺類、白いパン、白米)を多くとったり、食物繊維の摂取が少なかったりすることが挙げられます。
♦硫黄で体のサビを徹底除去しましょう!
また、紫外線やストレスによって発生する「活性酸素」も、肌に蓄積し肌の老化を早める原因になります。
活性酸素は、通常の酸素よりも酸化の威力が強く、蓄積されると老化や病気の引き金になります。
硫黄には、亜鉛やセレンなどと同様に、肌に蓄積された活性酸素をける除去する「抗酸化作用」があります。
硫黄は、髪の毛や皮膚、爪などのタンパク質を合成する働きを持っています。
また硫黄は単独では存在せず、「システイン・メチオニン・タウリン」などのアミノ酸に含まれています。
硫黄は皮膚を作るケラチンタンパク質の元」になっているため、不足すると湿疹や皮膚炎、きめの粗い皮膚になってしまいます。
極端なダイエットをしていない限り、硫黄が不足することはありませんが、体内でタンパク質やアミノ酸と結合して存在するため、タンパク質が不足していると、硫黄不足に陥ることがあります。
〈硫黄を多く含む食品〉
・魚類(カツオ、サンマ、アジ、イワシ、ウナギ、ブリ、鮭、サバ)
・肉類(鶏のささ身、豚もも肉、豚レバー)
・卵
・香りの強い野菜(にら、玉ねぎ、ネギ、にんにく、らっきょうなど)
※これらの野菜には、硫黄原子が、2つのアリル基と結合したものが含まれています。
硫化アリルには抗酸化作用だけでなく、殺菌作用や、食欲増進作用などもあります。
ただし、ニンニクなどは食べ過ぎると胃腸に刺激が強くなりますので、食べすぎに注意しましょう。
【教えていただいた方】
東京女子医科大学卒業。医療法人 淳信会 ホリスティキュア メディカルクリニック院長。米国コロラド州NTI認定栄養コンサルタント。米国PHYTOMEDIC LABS認定栄養&酵素セラピスト。産業医。 2014年、米国ベストドクターズ社日本支部から「医師が自分自身や家族が病気になった場合受診したいベストの医師」として、Best Doctors in Japanに選出される。
取材・文/瀬戸由美子