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耳年齢は認知症リスクにも影響!? 今からできる「聞こえ」ケア

「新しい生活様式」を明るく前向きに送るための、読んでトクする連載。今回は、聞こえの大切さと維持するためにできることについてです!

最近では外出の機会が増え、直接会って誰かと話すことが増えてきました。それと同時に、コロナ禍では気づきにくかった「聞こえ」の問題に気づきやすい環境になっているのだそう。

 

そこで今回は、デンマークの補聴器メーカーの日本法人・GNヒアリングジャパンによる耳年齢を意識した生活についての発表会に参加し、聞こえについての現状や対策について学んできました!

 

◆日本の補聴器利用率は世界でも低め。実は、活用することで生活の質が上がります

 

最初に、GNヒアリングジャパン代表取締役社長のマーティン・アームストロングさんが会社について簡単にご紹介。

 

GNヒアリングジャパン マーティン・アームストロングさん

 

そののちに、マーケティング部プロダクトマネージャーの大久保淳さんが登壇。コロナ禍後に、聞こえの問題が顕在化してきたことについてお話くださいました。

 

GNヒアリングジャパン 大久保淳さん

 

「コロナ禍では会話の自粛や外出制限があり、聞こえにくさがあったとしても、それに気づく機会があまりない状態でした」(大久保さん)。

 

ところが、感染対策が個人判断になり、今まで気づかなかった聞こえにくさに気づくということが増えていているのだとか。

 

また、日本と諸外国の補聴器利用についての違いもお話しいただきました。難聴者全体の補聴器所有率を見てみると、イギリスは52.8%、ドイツは41.1%、フランスは45.7%なのに対して、日本は15.2%程度と低い状態です。日本の補聴器保有者のうち51%からは「もっと早く使うべきだった」という声が出ており、その理由のトップは「より快適な社会生活を送れた」と思うからなのだそうです。

 

聞こえの問題はOurAge世代には少し早い話題ですが、早いうちからどんなことが起きるのかや対策を知っておくと、いざというときに備えられそうですね。また、親世代の心配ごとにも対応できそうです。

 

◆聞こえが悪くなると日常生活に制限が生じることも

 

ここで、医学博士で管理栄養士の本多京子先生より、耳年齢を意識した健康的な暮らし方についてお話をいただきました。

 

「母は施設に入った90代で初めて補聴器に触れましたが、苦手意識があり結局使えずに爆音でテレビを見ています」と本多先生。良かれと思って用意した補聴器でしたが、もっと早く触れる機会があれば良かったのかもしれない、手にする時期で生活の質が大きく変わるのでは、と実感したのだそう。

 

聞こえが悪くなると日常生活を送るうえで、困ったことがいろいろ出てきます。

 

「料理をしているときに音が聞こえず鍋をダメにしてしまう」

「日々を充実させる仲良しの友達を見つけづらい」

「薬の飲み方の説明がわからず飲み忘れや間違った飲み方に」

「車の接近に気づかず一人で外出が難しくなる」

 

など、身の危険を感じたり、生活の楽しみが損なわれたりしかねません。

 

きこえが落ちるとこんな危険が

 

普段の生活がしづらくなることはもちろんですが、聴力が衰えて一番良くないのは「億劫になること」。聞こえにくいから億劫になって聞くのをあきらめる、出かけないなどの行動をとるとコミュニケーション不足に。そして言葉の処理能力が落ちて、脳の機能も落ちてしまいます。

 

世界的に権威のある医学誌に掲載された研究でも、正常な聴力を持つ参加者と比較して、補聴器を使用していない難聴者はあらゆる原因による認知症リスクが42%高く、補聴器を使用している難聴者ではリスクの増加は見られなかった、という結果が発表されました。それだけ聞こえというのは大切なんだということがわかりますね。

 

◆「聞こえ」ケアで大切なライフスタイル3つのアドバイス

 

生活をするうえで大切な聴覚。耳年齢を維持し老化していかないようにするためにはどのようなことが必要なのでしょうか?本多先生に大切なポイントを教えていただきました。

 

【1】血流を意識した食事をとる

聞こえケアには、日々の食事で血管と神経の若さを保つ栄養を意識することが必要、と話す本多先生。「ビタミンB6が不足すると、神経系に異常が起こりやすいと言われています。日々の食事で血管と神経の若さを保つ栄養をとるように意識していきましょう」

 

具体的には、以下の2つの食材をとるように意識するといいそう。

 

●魚

魚

魚にはビタミンB6のほか、EPA(IPA)が含まれており、血管の健康維持にも効果が。

 

●青菜

青菜

小松菜やブロッコリーといった緑の野菜に多いのが、ビタミンBの一種である葉酸。「葉酸にはアミノ酸の合成を助けたり、神経伝達物質のセロトニンやドーパミンを作ったりするのに欠かせないビタミンです」(本多先生)。神経伝達物質は神経の働きを左右するとも言われています。

 

 

魚と青菜を使ったレシピをご紹介します!

 

●鮭とブロッコリーの卵炒め

鮭とブロッコリーの卵炒め

材料と作り方

①生鮭(塩鮭でも可)2切をしょうゆ、みりん各大さじ1/2に15分漬ける。

②ブロッコリー半房は子房に切り、電子レンジで2分加熱する。

③溶き卵2個分に大さじ1の牛乳を入れ、バター10gを溶かしたフライパンで炒めてふわふわ卵を作り取り出しておく。

④卵を取り出したプライパンに鮭を並べて焼き、ブロッコリーをあわせて炒め、最後にふわふわ卵をあわせる。塩コショウで味を調える。

 

●鯖缶と小松菜のカレー煮

鯖缶と小松菜のカレー煮

材料と作り方

①小松菜 1 把を茎と葉に分けて細かく切る。玉ねぎ1/2個は薄切りにする。

②フライパンに油適量を入れ、しょうがとにんにくのみじん切り各1かけ分を炒め、カレー粉小さじ2を入れて香りを出す。

③小松菜の茎を加えて料理酒と鯖缶 1 缶を入れて 、 砂糖、しょうゆ各大さじ 1/2 を入れて小松菜の葉の部分を入れたら火を止める。

 

【2】スマホや補聴器などを使い慣れておく

本多先生のお母様が補聴器に苦手意識があり、結局活用できずにいるというお話がありましたが、普段使い慣れていないものを急に使うのは難しいもの。少し早いかもという時期からでも、使い方の知識を持ったり試してみたりすることも大切です。

 

【3】耳からの情報を大切にする

作業をしていても自然と耳に入るので、本多先生は家事をしながらラジオをつけて耳から情報を入れているそう。「目から入る情報だけだと脳でイメージするチカラが衰えてしまうので、耳からの情報を大切にしています」(本多先生)。意識して耳を使うことで、聴力の変化にも気づきやすくなる効果もありそうです。

 

◆普段から「聞こえ」のチェックをしておきましょう

 

聴力は長い時間をかけて下がるため、目や歯と違って聞こえが悪くなっていることに気づきにくいのだそう。下記のように検診を受けるほか、普段からテレビの音が大きすぎていないか、人と会話できるかなどをチェックすることが大切です。また、「リサウンド無料オンラインきこえのチェック」など、自分でチェックができるオンラインサイトを活用するのも一つの手です。

 

聞こえのチェック

 

人生100年時代。健康寿命を延ばすためにも、聞こえが大切になってくることは間違いありません。普段から聞こえを意識していきましょう。

 

本多京子
本多京子さん
医学博士・管理栄養士
公式サイトを見る

実践女子大学家政学部食物学科卒業後、東京医科大学で医学博士号を取得。スポーツ選手に対する栄養指導などのほか、テレビや雑誌では健康と栄養に関するアドバイスやレシピを多数作成。栄養や食に関する著書は70冊を超える。

 

◆資料提供/GNヒアリングジャパン

 

取材・文/倉澤真由美

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