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高血圧の人の食事はナトリウム(塩分)のとりすぎに注意!/その「なんとなく不調」ミネラル不足が原因かも?

40歳を過ぎる頃から、健康診断で高血圧・高血糖・脂質異常症の予備軍と指摘され、食事改善の指導を受ける人も多くなるでしょう。これらは、サイレントキラーとも呼ばれ、いつの間にか進行し、重大な疾患につながることも。ミネラルバランスを整えることは予防につながります。

【教えていただいた方】

登坂正子
登坂正子さん
医学博士。日本循環器学会認定循環器専門医。日本抗加齢医学会専門医。
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東京女子医科大学卒業。医療法人 淳信会 ホリスティキュア メディカルクリニック院長。米国コロラド州NTI認定栄養コンサルタント。米国PHYTOMEDIC LABS認定栄養&酵素セラピスト。産業医。 2014年、米国ベストドクターズ社日本支部から「医師が自分自身や家族が病気になった場合受診したいベストの医師」として、Best Doctors in Japanに選出される。

 

♦血圧はナトリウムとカリウムのバランスで調整

高脂血症・高血圧・糖尿病などの生活習慣病は、どれかひとつでも重大な疾患につながりますが、複数重なると、そのリスクはより大きなものに。

これらの症状の原因としては、偏った食事・運動不足・飲酒・喫煙・ストレスなど、さまざまなものがあります。

 

高血圧には、「本態性高血圧」と「二次性高血圧」があります。

 

一般に、日本人の大部分の高血圧は、本態性高血圧です。

本態性高血圧は、塩分の過剰摂取、肥満、飲酒、運動不足、ストレスや、遺伝的体質などが組み合わさって起こると考えられています。

 

なかでも大きな原因となるのは、ナトリウム(塩分)の過剰摂取です。

(イメージphoto/ Jason Tuinstra on Unsplash)

 

ナトリウムは人間が生きていくために不可欠な必須ミネラル。

 

成人の場合、細胞外の体液に多く含まれています。そして、カリウムとバランスをとって体液の量を調整しています。

 

日本人の場合は、ナトリウム不足の心配はほとんどなく、過剰摂取が心配されています。

ナトリウムの過剰摂取は血圧の上昇を招き、動脈硬化、脳卒中に腎臓病などの原因になります。

健康診断では、高血圧傾向が指摘されている人に、減塩が指導されます。

 

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、健康な日本人の成人女性が当面目標とすべき1日の食塩摂取量は6.5g未満とされています。

しかし、「令和元年 国民健康・栄養調査結果」で見ると、50代女性の食塩摂取量(平均値)は9.2g。

多くの人が塩分の過剰摂取のようです。

できるだけ減塩を心がけたいものです。

 

なお、二次性高血圧とは、甲状腺や副腎などの病気があったり、薬剤の副作用が原因で起きる高血圧です。

 

♦塩分を控えるのはもちろん、排出も心がけて

 

家庭でできる減塩のテクニックとしては、一般的に以下のようなものがあげられます。

 

1)味噌汁はだしを利かせて味噌の量を減らし、野菜をたっぷり入れて具だくさんにする。

2)味つけは、スパイスやハーブ、酢、柑橘類を利用し、塩の量を減らしても味が物足りなくならないようにする

3)おかずには、しょうゆを「かける」のではなく「つける」。小皿に出してごく少量をおかずにちょこっとつけるくらいに。

 

外食やインスタント食品には塩分の多いものも多く、なかなか塩分摂取量を控えるのは難しいと感じる人も多いでしょう。

特にお弁当などを買うときには塩分量をチェックしてから買うとよいでしょう。

私が先日列車の中で購入したお弁当は、あまりにしょっぱくて塩分量をチェックしたところ、なんと1食分で塩分が6.8gも入っていました。1日の塩分量をはるかに超える量でした。

一般的にお弁当類は食材が痛むのを恐れて塩分が多めです。

私がいくつかのお弁当の塩分量をチェックしたところ、弁当は4gから5g程度のが多かったです。塩分の多いお弁当と少ないお弁当で塩分量が約2g以上も違っていました。

減塩と並行して、摂取したナトリウムをいかに排出するかに気をつけることも大切です。

 

そこで、意識してとりたいのが、ナトリウムの排出に大きく関与しているミネラル、カリウムです。

カリウムは、ナトリウムと協力して細胞内の電解質、浸透圧のバランスを保ち、心臓の拍動や神経伝達物質がスムーズに働くよう調整するミネラル。ナトリウムの排出を促す働きがあります。

 

♦高血糖・脂質異常症の予防は食生活の改善から

高血圧と同様、高血糖や脂質異常症も食生活に気をつけることが予防の第一歩になります。

 

高血糖を避けるには、糖質の多い食品、米、パン、麺類など食べすぎないこと、これらの糖質をとる前に糖質の吸収を抑える働きのある食物繊維が豊富な野菜やきのこ類、海藻類を食べること、甘いものや糖質の多いアルコール(ビールや日本酒)は控えめにするなどが大切です。

 

また、血液中の脂質の値が基準値から外れた状態を、脂質異常症といいます。

脂質の異常には、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)の血中濃度の異常があります。これらはいずれも、動脈硬化の促進と関連します。

 

LDLコレステロールの値が高くなる原因としては、飽和脂肪酸のとりすぎがあげられます。

飽和脂肪酸は、肉の脂身、バターやラード、生クリームなどに多く含まれます。パームヤシやカカオの油脂、インスタントラーメンなど加工食品にも含まれています。

 

トリグリセライド(中性脂肪)の値が高くなる要因としては、エネルギーの過剰摂取。特に甘いものや酒、油脂の多いものや糖質のとりすぎがあげられます。

砂糖の入ったソフトドリンクもエネルギーの過剰摂取につながります。

 

さらに、糖質やLDLコレステロール、中性脂肪を代謝するミネラルも不足しないよう気をつけましょう。

 

♦糖質や脂質の代謝を促すミネラルも摂取して

 

高血糖や脂質異常症を予防するためには、糖質や脂質の多い食べ物を控えめにするのが基本ですが、加えて、糖質や脂質の代謝をサポートしてくれるミネラル、クロムやバナジウムなどが不足しないように注意することも大切です。

 

<クロム>

血糖値を抑えるインスリンの働きを高めるほか、中性脂肪の減少やコレステロールの減少に働きかけます。

また、コラーゲン形成やタンパク質の代謝にも関与します。

■クロムを多く含む食べ物

サバ、ひじき、わかめ、アサリ、きくらげ、あおさ、昆布、きな粉、アーモンド、チョコレートなど

 

<バナジウム>

LDLコレステロールの合成を抑え、中性脂肪を正常化する働きがあります。

また、筋肉中のブドウ糖の利用を促します。

■バナジウムを多く含む食べ物

ひじき、アサリ、のり、田作り、あわび、ムール貝、全粒穀物など

 

<モリブデン>

糖質や脂質の代謝を助け、鉄の利用を高めて貧血を防ぎます。

■モリブデンを多く含む食べ物

納豆、大豆、枝豆、そら豆、グリーンピース、豚レバー、そば、アサリ、焼きのり、練りごま、きな粉、おからなど

 

加工食品を多く食べる人は、これらのミネラルが不足しやすいので注意しましょう。

 

取材・文/瀬戸由美子

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