脳を活性化するためには適度な運動が不可欠! では、効率のいい運動とはどんなものなのでしょうか?
コーディネーション運動は有酸素運動の約2倍の効果
「私が過去30年にわたって、脳と運動との関係を調査&分析したところ、最も効果の高かったのが『コーディネーション運動』です。ウォーキングや筋トレの約2倍の効果があります。
コーディネーション運動とは、脳の複数の分野を同時に働かせる運動のこと。状況を脳で瞬時に察知して、その情報を体へスピーディに正確に送る訓練になります。おもに7つの能力を同時に使うことで、認知機能を効率よく高めることができるのです」。特におすすめなのが次に紹介する「片足立ち」「ダンス」「ボールキャッチ」です。
●7つの能力
◆リズム能力
目や耳からの情報を得て、タイミングを上手にとる能力。音楽を聴いたり、楽器演奏も〇
◆バランス能力
くずれたバランスを体が素早く察知して、立て直す能力。片足立ちもこの能力に当たります
◆変換能力
状況や人の動きの変化に合わせて、素早く動作を切り替える力。これはかなり脳を使います
◆反応能力
合図などに素早く反応して、適切に対応する能力。老化脳になると苦手になります
◆連結能力
動こうとする気持ちや状況の流れに、体をスムーズに動かせるか? という能力
◆定位能力
自分と動いているものとの位置関係、例えば、投げたボールがどこに落ちるかを予測する力
◆識別の能力
道具やボールなどを精密に、上手に操作する能力。手先の繊細な動きが求められます
運動で脳細胞の効率アップ
片足立ちは脳の老化のバロメーター
「目を閉じて片足で何秒立っていられますか? たったこれだけで脳の老化度がわかります。視覚を遮断してバランスをとり続けるには、体の傾きを瞬時に察知して修正する力が必要で、脳が若いとより素早く行えるためぐらつきません」。
年代別の平均を見ると、58.8秒→脳年齢30代、32.9秒→40代、23.7秒→50代、9.4秒→60代、4.5秒→70代(国立長寿医療研究センターより)。あなたの脳年齢は何歳?
脳の活性化にはダンスが最強
「脳活に最も効果があるのはダンスです。多くのダンスは音楽に合わせて体を動かします。さらに、複数の人と振りを合わせるものであればさらに効果アップ。
振りを覚える→音楽に合わせる→みんなと動きを合わせる…これはまさにコーディネーション運動の極みといえます。一人でも、YouTubeなどの動画の先生に合わせて行うのでもOK! ダンスは脳のさまざまな部位を活性化します」
ボールキャッチは思いのほか脳を使う
もうひとつ効果的なコーディネーション運動に、ボールキャッチがあります。これはボールを空中に投げてキャッチするだけのエクササイズ。
「ボールを放って、落ちてくるタイミングを見計らって手を動かすことは、いろいろな脳を刺激します」。OurAge世代では簡単かもしれませんが、今から続けると脳の老化予防に大きな効果が! 小さいボールほど難易度が高まりますが、百均などで売っているようなボールでもOKです。
●ボールキャッチ
<1>
椅子に座って、もしくは立って、ボールを空中に放ります
<2>
落ちてくるまでの間に1回、両手でパンと拍手をします
<3>
落ちてくるタイミングを見計らって、ボールをキャッチ
2008年に企業や個人のパフォーマンスを上げる会社を設立。著書は『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)など、海外も含めシリーズ32万部突破
イラスト/midorichan 構成・原文/山村浩子