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飲み込む力が若返る「喉筋トレ」にトライ!

食べた物が食道ではなく気管に入ってしまう「誤嚥」は、飲み込むときに上下する「喉頭拳上筋群」という筋肉が加齢とともに衰えるのが原因です。飲み込み筋の老化をくい止め、筋力をアップするエクササイズにぜひトライ!

どうして、喉筋トレーニングが必要なの?

 

耳鼻咽喉科専門医の西山耕一郎先生のクリニックには、昨年以降、「むせやすい」「痰がからみやすい」など、のどの違和感を訴えて受診する人が増加中。こうした症状は “喉の老化”が忍び寄っているサインなのだそうです。

 

「コロナ禍に行動を制限して出歩かなくなったこと、人とコミュニケーションをとる機会が減ったことも影響しているのでしょうね。体力の低下、そして、しゃべったり笑ったりする機会が減るのは、喉の老化に関連しますから」と西山耕一郎先生。

 

むせやすくなるのは、飲み込みが関係する筋肉が衰えてしまったのが最大の原因です。筋力が低下して喉仏を持ち上げることができなくなると、“喉(咽頭・喉頭)の防波堤”が気管の入口にある喉頭を塞ぐタイミングがずれてしまいがち。すると、食べた物が食道ではなく気管に入り込んでしまうリスクがあるのです。しかも、食べた物がたびたび気管に入り込むと、気管に炎症が起きて分泌液が浸出します。これが「痰がからむ」「咳が出る」という状態。

 

「万一、誤嚥しかけたとしても、体力があって免疫力が高い人であれば大事に至らずにすみますが、体力がなくて免疫力が低い人に『むせやすく、痰がからみやすい、咳が出る状態』が続くようであれば、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。将来の誤嚥性肺炎を予防するためにも、40代~50代の今こそ、喉の筋肉の鍛え時ですよ」

 

ドクターがすすめる「喉筋トレ」実践編

 

「筋トレして腹筋を鍛えるのと同様に、喉の筋肉は鍛えることができます。何歳からでも鍛えることが可能です」と西山先生。

 

私たちが「ごっくん」と飲み込むときには、「喉頭拳上筋群」という飲み込み筋が喉仏を持ち上げ、食べた物が気管ではなく食道に行くように仕分けする仕組みがあります。この飲み込み筋群を鍛えることができる「喉筋トレ」を教えていただきました。

 

おでこと手の付け根部分で押し合いっこ「嚥下おでこ体操」

 

 

■おでこの真ん中に手根部(手のひらの付け根部分)を当てて、おへそをのぞき込むようにしながら、おでこを上に押し上げるようにします。

∗杉浦、藤本:2008

 

■そのまま手根部でおでこを押しながら、頭を前方に倒しましょう。このとき、おじぎをするように力を込めると効果的です。そのまま、手根部とおでこが押し合うようにしながら、喉仏のあたりに力が入っているのを意識しましょう。そのまま5秒キープ。5秒×10回で1セット。1日3セット以上を目安に行って。

 

嚥下おでこ体操とセットで行うと、さらに筋力がアップ!「あご持ち上げ運動」

 

■あごの先に両手の握りこぶしを当てます。

∗岩田:2010

 

■おへそをのぞき込むように頭を下げながら、握りこぶしであごをグッと持ち上げます。あごと握りこぶしで上下に押し合い、喉仏が持ち上がっているのを意識しましょう。そのまま5秒、喉仏の位置を上げた状態をキープ。5秒×10回で1セット。1日3セット以上を目標に。

 

のどを鍛え、首のシワを薄くする効果も!「のどE~体操」

 

■口を横に広げて、「イィー」と声を出してみましょう。

∗西山:2017

 

■できるだけ長く「イィー」と発声し、喉の筋肉に力が入った状態を意識しながら、5秒キープ。口の筋肉を鍛えて、小顔効果や首のシワを薄くする効果も期待できます。5秒×10回で1セット。1日3セット以上を目安に。

 

筋力増強に効果的だけど、少しきつめなエクササイズ「シャキア・トレーニング」

 

■仰向けになり、体の力を抜いてリラックス。

シャキアトレーニング

 

■両肩を床につけたまま、頭だけを持ち上げて、つま先を見るような姿勢のまま、喉の筋肉に力が入るのを意識します。そのまま30秒~1分キープ。

 

30秒~1分×10回で1セット、1日2セット頑張ってみて。きつめなエクササイズなので、最初は回数を減らしてトライ!

 

※頸椎症やむち打ちなど、首の疾患がある人、血圧が高い人はNG。

 

 

【教えていただいた方】

西山耕一郎
西山耕一郎さん
西山耳鼻咽喉科医院院長
公式サイトを見る

医学博士、東海大学医学部客員教授、藤田医科大学医学部客員教授。耳鼻咽喉科頭頸部外科専門医、日本嚥下医学会嚥下相談医、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士。現在は複数の施設で嚥下外来と手術を行うかたわら、教鞭をとりながら、学会発表や医師向けセミナーを行う。著書に『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』(飛鳥新社)、『のどを鍛えて肺炎を防ぐ』(大洋図書)、『誤嚥性肺炎に負けない1回5秒ののどトレ』(宝島社)など多数。

 

イラスト/カツヤマケイコ 取材・文/大石久恵

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