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食欲を司るふたつのホルモン「レプチン」「グレリン」をうまくコントロールして太りにくい体に!

私たちの体内で重要な働きをしてくれているホルモン。OurAge世代にとっては「女性ホルモン」エストロゲンの働きは、よく知っているところでしょう。でも体内にはもっとほかのホルモンが存在し、その数なんと100種以上!知れば知るほど、不思議で面白いホルモンの世界を探検してみませんか?

40代、50代になると女性ホルモンの減少により、中性脂肪や内臓脂肪が蓄積されやすくなってどうしても太りやすくなります。こんな状態を防ぐ、心強いホルモンが存在します! それが今回取り上げる、満腹ホルモン「レプチン」と空腹ホルモン「グレリン」です。

内科医の工藤孝文先生に、このふたつのホルモンについて教えていただきました。

 

工藤孝文
工藤孝文さん
内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医
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福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後は大学病院などを経て、現在は福岡県みやま市にある自身のクリニックにて地域医療に注力。専門は糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療、ダイエット治療など多岐にわたり、テレビ・ラジオなどのメディアで医療の最新情報を発信。著書に『「毎日疲れない」にいいこと 超大全』(宝島社)など多数。 工藤孝文先生 著書  

 

満腹感を感じ、食欲を抑えるのが「レプチン」
空腹感を感じ、食欲を増進するのが「グレリン」

 

女性ホルモンが低下するだけでなく、代謝も低下していく40代、50代。またストレスが多い世代でもあるので、それを解消しようとつい過食に走ってしまうと、さらに太りやすくなってしまうことに…。こんな事態を防ぐカギが、食欲にかかわる「レプチン」と「グレリン」というふたつのホルモン。どのようなホルモンなのでしょうか?

ホルモン_ドーナッツ山盛りの皿を持った女性

 

 

「簡単に言うと、レプチンは食欲を抑制するホルモンで、グレリンは食欲を増進させるホルモンです。

 

まずレプチンは、食後の血糖値の上昇に反応して分泌され、脳の満腹中枢を刺激して“もう食べなくていい”という状態にします。これによって満腹感を感じるので、“満腹ホルモン”とも呼ばれます。また、レプチンには、エネルギー消費量を増やして、脂肪の蓄積を防ぐ働きもあります。ですから、レプチンの血中濃度を高く保てれば、暴飲暴食に走らず、太りにくい体でいられるといえます。

 

一方、グレリンは、体のエネルギーがなくなると胃から分泌され、脳の空腹中枢を刺激することで、私たちは“お腹が空いた”と感じます。つまり、別名“空腹ホルモン”です。グレリンにはほかに、細胞内でエネルギーを生み出すミトコンドリアを元気にしたり、成長ホルモンの分泌を促す働きもあります。成長ホルモンは、疲労回復や、免疫機能や肌の修復など心身のメンテナンスに不可欠で、老化予防や生活習慣の予防もサポートします。つまり、グレリンは若返りにもかかわる重要なホルモンといえます。

 

この食欲にかかわるふたつのホルモンは、どちらか一方の働きが強まれば、もう一方の働きが弱まるというシーソーのような関係にあるので、適正体重をキープするには、どちらかに偏らないようにバランスが保たれていることが大切です」

ホルモン_「レプチン」「グレリン」イメージ

 

【食欲を司るふたつのホルモンのおもな働き】

<レプチン>

・食欲を抑えて、太りにくくする
・エネルギー消費量を増やして、脂肪がたまるのを防ぐ

<グレリン>

・食欲を増進させる
・細胞内のミトコンドリアを元気にして、老化を防ぐ
・成長ホルモンの分泌を促す

 

睡眠不足だと「レプチン」が減り、「グレリン」が増えるので、食べすぎやすくなる

 

では、これらのホルモンをコントロールして、太りにくい体をつくるには?

「実は、このふたつのホルモンに深くかかわるのが、睡眠です。満腹ホルモン・レプチンは、睡眠時間が短いと低下し、空腹ホルモン・グレリンが増加することがわかっています。

 

つまり、睡眠不足だと食欲が増して、ドカ食いしやすくなってしまうのです。さらに、グレリンが分泌されると、甘いものや高カロリーのものを食べたくなる傾向があることもわかっています。よく眠れなかった日は、なぜか甘いものやジャンクフードが無性に食べたくなることがあると思いますが、これは睡眠不足によってグレリンが増えてしまうためなのです。

 

実際、睡眠時間が4時間以下の人は、7〜9時間の人より73%も肥満になりやすいという研究データもあります。ですから、レプチンとグレリンをうまくコントロールするためにも、7時間は睡眠をとるようにすることがおすすめです。そうすることで、過剰な食欲を感じにくくなります」

 

ホルモン_眠っている女性

 

早食いをするとレプチンが十分に分泌されない段階で、食べすぎてしまうのでNG

 

さらに、レプチンやグレリンをコントロールするコツはほかにも。まず、満腹ホルモン・レプチンのほうは、食べ方にポイントがあるそうです。

 

満腹ホルモンのレプチンは、食後20分が経過してから多く分泌されるといわれています。20分より早く食べると、まだ十分にレプチンが分泌されないので、満腹感を感じにくいままどんどん食べてしまい、食べすぎにつながります。太らないためには、ゆっくりよく 嚙んで食べるほうがいいといわれるのは、このためです。20分以上かけてよく 嚙んでゆっくり食べると、少ない量でも満腹感を感じやすくなるので、太りにくくなります。

 

ただ、レプチンは多量に分泌され続けると、レプチンを受け取るレプチン受容体の働きが鈍くなり、食欲を抑制しづらくなることがわかっています。肥満の人はこの状態に陥りやすく、そのため満腹感を得られず、際限なく食べてしまいがち。レプチン抵抗性を改善するには、高脂肪食や過剰な糖分摂取を控えて、内臓脂肪を落とすことも大切です」

 

グレリンを抑え込むには運動や、食前のレモン水、タンパク質も効果的

 

一方、空腹ホルモンのグレリンはというと…。

 

「グレリンは、食べ物が入ってこない状態が2〜3時間続くと分泌量が増えますが、ダラダラ食いは避けて、空腹感を感じてから食事をとるようにすることがポイントです。

 

また、グレリンは、運動をすると分泌を抑えられるという研究報告もあります。運動をするとグレリンが分泌されないので、空腹を感じにくくなるのです。運動の強度が高いほど効果があるとされ、運動後1時間は続くといわれています。空腹感を感じる前に運動をすれば、無駄食いが防げて太りにくい状態を維持できるといえます。

 

そのほか、食事の前にレモン水を飲むのもおすすめ。レモンの香りや刺激が、交感神経の働きを高めて満腹中枢に働きかけ、グレリンを抑え込む一方で、レプチンの分泌を促します。満腹になるまではタイムラグがあるので、食事の20分ほど前に飲んでおくのがポイントです。また、タンパク質の多い食事も、グレリンの分泌を下げることがわかっているので、食事の最初に肉などのタンパク質をしっかりとるのも効果的です」

ホルモン_レモン水

 

レプチンとグレリンをコントロールすれば、無理な食事制限をしなくても太りにくくなることが期待されます。いろいろなテクニックを取り入れて肥満を防いでみてはいかがでしょう。

 

 

写真/Shutterstock 取材・文/和田美穂

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