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疲れたときのご褒美は焼肉よりジンギスカン(疲れ知らずの食事習慣)

毎日食べるもので私たちの体はできています。だとすると、疲れない体を手に入れるのも食事次第! 何をどのようなタイミングで食べたらいいのか? 内科医で疲労に詳しい工藤孝文先生に伺いました。

食事は私たちのエネルギー源。疲労をためずに心身の健康を守るためには、毎日、何をいつ食べるかがとても大事。そこでこれだけは知っておきたい、効果抜群の食事習慣ベスト5を紹介します。

 

1.鶏胸肉に含まれるイミダペプチドは疲労回復の最強成分 

脂肪分が少なく、タンパク質が豊富なヘルシー食材として大人気の鶏胸肉。実は疲労回復や抗酸化作用にも優れているって知っていましたか?

 

「鶏の胸肉に含まれるアミノ酸であるイミダペプチドは、疲労の原因である活性酸素によるダメージを軽減し、筋肉や精神疲労の回復を促進する効果があります。この成分は渡り鳥や回遊魚の筋肉に多く含まれることで注目されました。長時間動き続けられる秘密が、このイミダペプチドにあったのです。

 

それが手軽にとれるのが鶏胸肉というわけです。夕食に鶏胸肉100gの料理をプラスすれば、睡眠中の疲労回復が促進され、翌日に疲れを持ち越さずにすみます」

 

おすすめはサラダチキンだそう。片栗粉を軽くまぶして沸騰した湯に入れ、すぐに火を止めてフタをして、余熱で20~30分火を通せば、パサパサにならずしっとりと仕上がります。鶏胸肉は安価でお財布に優しいのもうれしいところ。日々のメニューに加えるといいでしょう。

 

2.頑張ったときのご褒美ごはんは焼肉よりジンギスカンが正解!

「今日は疲れた~」という日の自分へのご褒美はお肉!  と決めている人もいるのではないでしょうか? そんなときは焼肉よりもジンギスカンがおすすめです。

 

「特にラム肉(生後1年未満の子羊肉)は高タンパクで必須アミノ酸も豊富。ビタミン、ミネラル、鉄分が豊富で栄養価が高い食材です。これらは疲労回復を助けるのに大切な栄養素ばかり。

 

また、ラム肉の脂肪は、融点が人の体温より高いため、私たちの体内に入ったときに溶けにくく吸収されにくい特徴があります。しかも体によいとされる不飽和脂肪酸なので、悪玉コレステロール値や血圧を下げ、動脈硬化や血栓の予防効果も期待できます。脂肪細胞の増加を抑制して、糖や脂質の代謝を促進する働きも。

 

さらに脂肪燃焼を促進させるアミノ酸の一種であるL-カルニチンは、100g当たりの含有量が牛肉の約3倍ともいわれ、とても豊富。脂肪燃焼を助けてくれるので、ダイエットにも最適です」

 

3.ランチはGI値が低いそばや玄米が◎ 

なんだか疲れが抜けないと思った日のランチには迷わずそばを! そばはGI値が低い、優秀な食材です。

 

GI値はグリセミック・インデックスの頭文字をとったもの。食後の血糖値の上昇度を示す数値のことです。血糖値が急激に上がると、そのときは元気になった感じがしますが、その後、急降下します。この血糖値の急上昇と急降下が起こることを血糖値スパイクといいます。これが大きいほど、体は疲れやすくなります。

 

GI値は数値が高いほど血糖値スパイクが起きやすくなります。ですから疲れたときこそ、GI値が低いものを選ぶといいのです。その筆頭食材が日本そばや玄米です。これらは穀物の核が残っているので消化に時間がかかり、GI値も低くなります」

 

疲れたなと思った日こそ、ランチにそば屋や玄米を提供する飲食店へGO!

 

4.午後3時のおやつ習慣が疲労に効く! 

3時のおやつを食べている女性のイメージイラスト

今日は仕事などの都合で夕食が遅くなる、また、常に夕食は遅いという人は、午後3時~4時の間におやつを食べておくといいそうです。

 

「食事と食事の間が空きすぎて空腹の時間が長くなると、その後の食事がドカ食いになりがちです。すると糖質の吸収が上がり、血糖値スパイクが起こりやすくなります。これが疲労の一因です。

 

また、脂肪をため込む働きがあるBMAL1(ビーマルワン)というタンパク質は、夜10時~夜中の2時に最も多く分泌され、午後3時~4時に最も低くなります。寝る前に飲食すると太りやすいというのは、この点にあります。これを考慮すると、午後3時~4時頃のおやつなら安心です。

 

そのおやつも低GI値のものを! おすすめはナッツ、ヨーグルト、ダークチョコレートなどです」

 

5.朝食を抜かず、夕食は寝る3時間前までに! 

疲れない体を手に入れるためには、規則正しい生活を実践することは必須です。それには食事をとる時間が大事。

 

「まず、朝食は抜かないでください。理由のひとつは、朝食は体内時計をリセットするのに効果的だからです。

 

体内時計とは人がもともと持っている生体リズムで、体温やホルモン分泌などに関与しており、朝目覚めて夜に寝るといった、一定のリズムを刻んでいます。朝、太陽光を浴びて、朝食をとることで、そのリズムを整えてくれるのです。体内時計がずれてくると、夜眠れずに疲労の大きな原因になります。

 

もう一点は、朝食を抜くと前の日の夕食から次の食事が昼になります。絶食の時間が長くなると、昼食や夕食のあとに血糖値スパイクを起こしやすくなります。

 

朝食を抜く生活を続けていると、次第に代謝が悪くなり、必要なホルモンなどが分泌されにくくなり、疲れやすくなります」

 

また、夕食のあと、テレビを見ながらお菓子や晩酌のつまみを、ダラダラ夜遅くまで食べていませんか? 飲食(水以外)は寝る3時間前までが鉄則です。

 

「寝る直前まで飲食をしていると、胃に食べ物が残った状態で寝ることになります。これでは胃や腸、肝臓、腎臓などの消化器たちは休むことができません。質のいい睡眠がとれないので、疲労がたまっていきます。

 

残業などで夕食が遅くなるときは、午後6時~7時頃に軽く何かお腹に入れておき、帰宅後は消化のいいスープ程度にとどめることをおすすめします」

 

飲食を寝る3時間前に終える生活をしていると、朝の目覚めが格段によくなりますよ!

 

 

【教えていただいた方】

工藤孝文
工藤孝文さん
内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医
Twitter

福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後は大学病院などを経て、現在は福岡県みやま市にある自身のクリニックにて地域医療に注力。専門は糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療、ダイエット治療など多岐にわたり、テレビ・ラジオなどのメディアで医療の最新情報を発信。著書に『「毎日疲れない」にいいこと 超大全』(宝島社)など多数。 工藤孝文先生 著書  

 

イラスト/midorichan 取材・文/山村浩子

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