上咽頭を洗い流す「鼻うがい」を毎日の習慣に!
上咽頭は鼻のいちばん奥にあります。自分ではとうてい手が届きません。そこをケアするためにはどうしたらいいのでしょうか?

「上咽頭は繊毛上皮で覆われていて、鼻から入った細菌やウイルス、花粉、黄砂などの外からの異物を吸着し、粘液を出して排出したり、免疫機能を発揮して、異物の侵入を防いでいます。
そこで、私がおすすめしているのが『鼻うがい』です。
うがいというと、口に水を含みガラガラとするものを思い浮かべますが、これでは口の中とその奥の『中咽頭』しか洗えません。
洗いたいのは『上咽頭』です。鼻うがいは片方の鼻から洗浄液を入れて、もう片方の鼻の穴から出す方法、または、口から出す方法があります。鼻に水を入れるとツーンと痛いという人が多いと思いますが、生理食塩水に近い1%程度の濃度の食塩水を用いると違和感を抑えられます。
鼻うがいの容器として、最初は市販の鼻うがい容器を使うと簡単です。容器は鼻へのフィット感のいい、150㎖以上のサイズを選ぶのがいいでしょう」(堀田修先生)
【鼻うがい:鼻から入れて鼻から出す】

少し下を向き、洗浄液を入れた容器を片方の鼻の穴の入り口に挿入します。
容器を親指とその他の指で握り、中の洗浄液を鼻の中に注入します。入れた洗浄液をもう片方の鼻の穴から出します。
【鼻うがい:鼻から入れて口から出す】

鼻から洗浄液を出すときよりも少し顔を上げ、入れた洗浄液を口から出します。
「いずれも、洗面所や風呂場で行うといいでしょう。また、洗浄液は市販のもの以外に、手作りすることもできます」
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【洗浄液の作り方】
水(市販のミネラルウォーターか精製水、水道水でもOK):500㎖
食塩(精製塩):5g
これを混ぜます。
上咽頭洗浄ならどこでもできる!
「もうひとつ、『上咽頭洗浄』という方法もあります。
鼻うがいは注入した洗浄液を鼻や口から出すので、洗面所や風呂場でしかできません。一方で、『上咽頭洗浄』なら洗浄液を吐き出さないので、どこでもできるのが利点です」

椅子に座り、頭を60度ほど後ろに倒して、片方の鼻の穴に2㎖ほどの洗浄液を入れます。洗浄液を口から出してもいいのですが、そのまま飲み込んでOK! これを左右の穴で行います。
「容器はスポイトを使ったり、20~30㎖程度の小さめで、押すと水が出るような柔らかいプラスチックボトルがベスト。これを1日2回行うといいでしょう。洗浄液は上記の手作りのもの※か、市販品には有機イオウ化合物のひとつであるMSM(メチルスルフォニルメタン)や梅エキス、オゾンナノバブルなどを使ったものなどがあります」
※高血圧などで塩分摂取を控えている人は、手作りの塩水の使用は主治医に相談してください。
【鼻うがい・上咽頭洗浄の効果】
〇細菌、ウイルス、花粉、黄砂など、外からの異物を洗い流す
〇鼻腔・上咽頭の繊毛上皮の働きアップ
〇鼻腔・上咽頭のむくみを軽減する(洗浄液が塩分2%程度の高張のもの)
〇ウイルスの増殖を防ぐ(洗浄液が塩分2%程度の高張のもの)
「上咽頭を洗浄することで、風邪やインフルエンザをはじめ、慢性上咽頭炎の予防に役立ちます。毎日の習慣にすることをおすすめしています」
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【教えていただいた方】

防衛医科大学校卒業。2011年に仙台市にて、医療法人モクシン堀田修クリニックを開業。認定NPO法人日本病巣疾患研究会理事長。IgA腎症・根治治療ネットワーク代表。日本腎臓学会功労会員。2001年、IgA腎症が早期の段階であれば扁摘パルス療法により根治治療が見込めることを米国医学雑誌「AJKD」に報告。その後は同治療の普及活動と臨床データの集積を続ける。また、扁桃、上咽頭、歯などの病巣感染(炎症)が引き起こすさまざまな疾患の臨床と研究を行う。監修本『慢性上咽頭炎を治せば不調が消える』(扶桑社)など。ほかに著書多数。
イラスト/green K 取材・文/山村浩子


