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【脱!昭和の健康常識】油も肉も食べていい! ダイエット神話の真実

「油は太る」「肉はダイエットの敵」。そう信じて、ノンオイルドレッシングに脂身カットしていた昭和のダイエット。でも今では、「油抜き」「肉抜き」こそが不調や老化のもとになるという説も! 機能性医学の専門医、斎藤糧三先生が脂質とタンパク質のとり方をアップデート!

「油や肉は太る」──その思い込みが痩せない原因

こんにちは。斎藤糧三です。
「機能性医学」を専門に、日本機能性医学研究所の所長を務め、表参道のクリニックで診療しています。

 

さて今回は、昭和から続くダイエット神話のひとつ──「肉と油は太る」という話をぶった斬ります。

 

かつては「油抜き」「低脂肪」がヘルシーの代名詞でした。「揚げ物はダメ」「肉は太る」「ノンオイルがヘルシー」「バターよりマーガリン」。昔のダイエットといえば、そんな油抜き&肉抜きが鉄則

 

でも、それ全部まるっと間違ってました。今じゃ、ただただ「昭和か!」って話です。

昭和の健康常識 油抜きダイエット カロリー制限ダイエット OurAge

痩せるために真っ先に油を抜く?
言わせてもらうなら、太るのは油でも肉でもない、「糖質」です。

脂質もタンパク質も、体を動かし、代謝を支える大事なエネルギー源。それを悪者扱いしていた時代の常識、今すぐどっかに捨てちゃってください!

油抜き生活の末路は? 代謝が落ちて肌もカサカサに…

「揚げ物は絶対食べない」「炒め物に油を使わない」なんて、昭和の美徳を令和に持ち込んじゃダメです。そんな極端な「油抜き主義」は、実はカロリー不足どころか代謝のブレーキになります。

 

脂質はホルモンの材料になり、細胞膜を作り、体温を保つなどの働きをします。つまり、生きていくうえで欠かせない存在。

 

これを減らせば肌はカサカサ、髪はゴワゴワ、イライラしたりぼーっとしたり…。どれも「脂質不足」のサインかもしれませんよ? そのうち心も体も干からびてしまいます。

 

脂質オフ、糖質オン──これが“太る食事”の落とし穴

さらに問題なのは、脂質を減らした分を「糖質」で補ってしまうこと。これが太る原因なんです。

 

「油はカットして、カロリーの少ないお米はしっかり」。これが昭和のヘルシーだったかもしれませんが、今なら真逆。脂質とタンパク質を控えた分、エネルギー不足を糖質で埋めようとする。

 

結果、太るスイッチを自分で押してるようなものです(第3回「カロリーを減らせば痩せる」は、間違いだった!)。

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こうして「ご飯で満腹にする」習慣が出来あがると、エネルギー効率が悪くなるだけでなく体脂肪も増えやすくなってしまう

 

しかも、脂質が少ない食事は腹もちも悪い。間食が増えて食欲が暴走…、気づいたら「ごほうびスイーツ」が習慣になっていたりして。

 

つまり…

「油抜き」という名のスイッチで食欲を暴走させてる人、めちゃくちゃ多い

 

足りなかったのは「油」だった! ──抜かずに質で選べ!

ここで、ちょっとマジメな話をすると…。油には体内で作ることができない「必須脂肪酸」というものがあります。オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸がそれに当たりますが、これは外からとらない限りどうにもなりません。

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それに、油は脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を助ける役割もある。だから油を抜くと栄養が吸収できません。なんのために頑張って食事に気をつけてるのか、わからなくなりますよね。

 

ただし、近年、飽和脂肪酸(ラード、牛脂、バターなど動物性脂肪)の摂りすぎが、腸内環境を悪化させて、腸の炎症を助長することがわかっています。

 

その影響は腸にとどまらず、二次的にインスリン抵抗性や肥満、糖尿病のリスク上昇にも!

━━★ 油のとりかた 令和版 ★━━

⦅積極的に取り入れる⦆
◆オメガ3脂肪酸:アマニ油、エゴマ油、青魚(マグロや養殖魚は避ける)など
◆オメガ9脂肪酸:オリーブオイル、アボカドオイルなど

⦅気をつけること⦆
◆避けるべき:トランス脂肪酸(マーガリン、ショートニング、揚げ物、スナック菓子など加工食品)
◆とりすぎ注意:飽和脂肪酸(ラード、牛脂、バターなど動物性脂肪)
◆とりすぎ注意:リノール酸(オメガ6脂肪酸*/大豆油、コーン油、サラダ油、加工食品)
*オメガ6脂肪酸は前述のように「必須脂肪酸」ではありますが、オメガ3と違い、炎症作用があるためとりすぎは禁物です。

 

何より大事な「タンパク質」。 肉を控えるのはやめて!

油に続いて、もうひとつ誤解されがちなのが「肉は太る」という思い込み。でも、これは完全に逆です。肉に含まれるタンパク質は筋肉や骨の材料になるだけでなく、代謝を支える超重要な栄養素

 

特に更年期以降の女性は、加齢とともに筋肉量が落ちて代謝がダウンしやすい時期。ここでタンパク質が足りていないと、どんどん「太りやすく・痩せにくい体」になっていきます。

 

肉も魚も卵も、そして大豆製品も“いい油”も! 毎日しっかり食べていい。

きちんととることで、エネルギーもホルモンも肌のハリも整ってくる。

昭和の健康常識 OurAge ダイエット神話 更年期太り

これが糖質まみれの昭和スタイルから抜け出す、令和のダイエットの基本です。

声を大にして言います!

太るのは「油と肉」じゃなく「糖質」。

体をつくる栄養まで抜いたら、痩せるどころか不健康まっしぐらです。

 

■まとめ■ 令和の常識はこれ!

昭和の常識:「油や肉は太る! ダイエットは油抜き・肉抜きが鉄則」

令和の常識:「太るのは糖質。肉と油は、代謝の味方!」

 

脂質もタンパク質も体に必要なエネルギー源。悪者にしていた時代の常識こそが、痩せない原因だったのかも。味気ない・コクがない・なんか物足りない…。そんな「ストレス食」、そろそろ卒業しませんか?

 

 

【教えていただいた方】

斎藤糧三
斎藤糧三さん
医師/日本機能性医学研究所所長
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1973年生まれ。日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年「日本機能性医学研究所」を設立(2009年に法人化)。2017年、スーパーフードとしての牧草牛(グラスフェッドビーフ)の普及を目指し、日本初の牧草牛専門精肉店「Saito Farm」をオープン。2022年、機能性医学と再生医療を融合させた治療拠点として「斎藤クリニック」を開設。著書に『サーファーに花粉症はいない』(小学館)、『糖質制限+肉食でケトン体回路を回し健康的に痩せる!ケトジェニックダイエット』(講談社)、『病気を遠ざける! 1日1回日光浴 日本人は知らないビタミンDの実力』(講談社+α新書)ほか多数。斎藤クリニックSaito Farm

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イラスト/小迎裕美子  取材・文・画像制作/蓮見則子

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