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上咽頭ケア「EAT」と「鼻うがい」、編集スタッフが体験!

ちょうどこの上咽頭ケアの連載が始まる頃に、編集スタッフが次々と上咽頭の不調を体験し、連載で紹介したケア方法を実践しました。一人はコロナ後遺症を「EAT」で治療。もう一人は「鼻うがい」で風邪の悪化を防いだお話です。この連載でお話を伺った医学博士の堀田修先生のコメント付き!

コロナ後遺症を、「EAT」で克服!

編集部 T(56歳)

2025年冬、体がゾクゾクすると思ったら、熱が一気に38℃を越えたことで内科を受診。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断を受けました。

上咽頭ケア 体験談 コロナ後遺症 EAT

 

体調が戻ったあとも後鼻漏と喘息のような症状、味覚と嗅覚はあるものの異様に苦さを感じるなど、正常ではない感覚が残りました。これが噂のコロナ後遺症? もともと喘息と慢性副鼻腔炎の持病があり、気管支が弱いタイプなので、弱いところに症状が出たのだと思います。

 

仕事柄、「EAT」のことは聞いたことがあったため、これを機に試してみることにしました。「EAT」とは、0.5~1%濃度の塩化亜鉛溶液をしみ込ませた綿棒で、鼻や喉から直接、上咽頭の表面を擦過する(こする)治療法です。Epipharyngeal Abrasive Therapyを略して 「EAT(イート)」と呼ばれています。

 

「EAT」については第4回参照。

 

「EAT」を行っている医療機関は限られていますが、幸いにも自宅近くにありました。

 

「EAT」は治療する綿棒を鼻から入れる「経鼻EAT」と、口から入れる「経口EAT」、もしくはその両方があるようですが、私が通ったクリニックは「口からぐりぐり派」。

 

痛みは覚悟していたためか、私が痛みに強いのか…。我慢できる程度で、想像していたほどではありませんでした。2回目以降は体も慣れたのか楽勝でした。

 

診察は、毎回上咽頭を診たあとに口からぐりぐり。その後、医療用のネブライザー※を使用して終了します。診察室に呼ばれた後の治療時間は5分程度でした。

 

※ネブライザーは薬液を霧状にして気管支や肺に送る医療機器。主に喘息の治療などに使用します。

 

私の場合は、とにかく後鼻漏とそれからくる喘息のような咳込みがつらかったので、「EAT」以外にも、上咽頭によいといわれるセルフケアを家で実践しました。

 

【実践したセルフケア

首を温める。小豆が入った袋を電子レンジで温めるタイプを使用。首・肩のこりもだいぶ楽になりました。※「首湯たんぽ」については第8回参照。

〇咳込みの症状がひどいときには、慢性副鼻腔炎の持病があったために持っていた家庭用ネブライザーを朝晩に使用。

〇対症療法として、職場や取材先で咳が出そうになるたびに「龍角散ダイレクト」を服用

 

「EAT」のおかげか、ほかにやっていたこともよかったのか、初「EAT」から1週間で症状は改善に向かい、やるたびに楽になっていく実感がありました。合計4週間、8回ほど通ったところで終了しました。

 

【堀田先生からのコメント】

「『EAT』の『痛み』は、①上咽頭の炎症の程度、②患者の痛みの感じやすさ、③医師の技術、により規定されます。

 

慢性上咽頭炎が重症であればあるほど、『EAT』の痛みも強いものになります。綿棒で薬液を軽く塗るだけのちょこちょこ『EAT』では痛みはありませんが、効果もあまり期待できません。

 

痛みの苦手な人は、最初のうちは鼻からの経鼻EATのみ行い、炎症が改善して『EAT』で感じる痛みが軽くなってから、口からの『経口EAT』を併用するといいかもしれません」

 

記事が続きます

「鼻うがい」で喉の激痛が一晩で治ったのにびっくり!

フリーライターY(64歳)

2025年春、朝起きたら喉に違和感。その後、どんどん痛みが増して、夕方にはつばを飲み込めないくらいの激痛に。こんなに喉が痛くなったのは初めての経験でした。

 

しかも、ちょうど1年前にも風邪をひき、そのまま咳風邪に移行したことで、2カ月咳が治らなかったので、今年もまたあのつらい咳との闘い? という嫌な予感がよぎりました。

 

ちょうどその頃、この上咽頭ケア連載の原稿書きが始まっていたので、「手軽にできるし、これは実践するしかない!」と「鼻うがい」を初体験することに。

 

自作の塩水でもできるようでしたが、容器もないので、近所の薬局に走り市販品を購入。さっそく試しました。

 

※「鼻うがい」については第5回参照。

 

以前から「鼻うがい」は知っていたのですが、鼻にツンときて痛そうな気がして避けてきました。しかし、いよいよ実践です。

 

片方の鼻の穴から入れて、もう片方から出すバージョンと、口から出すバージョンがあります。最初は要領がわからず、そのどちらでもなく、入れた鼻の穴からそのまま出てしまっていました。何度かやるうちに少しずつ要領を得て、鼻の奥がちゃんと洗われている感覚はありました。

 

あの懸念していたツンとした痛みは、最初少しだけありましたが、「痛くて無理~!」というほどではありません。やり方が上手になればまったく気にならないレベルです。

 

実は、ちゃんとできているか半信半疑でした。しかし驚いたのがその翌朝、つばも飲み込めないほどの喉の痛みが、きれいさっぱりなくなっていました。※これはきっと個人差があります。

 

その後も、朝と晩2回「鼻うがい」を実践したところ、それ以降、風邪の症状が悪くなることはなく、3、4日で完治しました。

 

私は昔からひどい花粉症で、ハウスダストなどにも弱く、春だけでなく秋にもひどい花粉症の症状に悩まされます。しかし、堀田先生の「毎日の習慣にしてください」という言葉のとおり、ほぼ毎日(時々忘れる)やっていると、今後、風邪などの感染症や花粉症に悩まされる気がしないくらい、鼻の状態が良好です。

 

【堀田先生からのコメント】

「『鼻うがい』は上咽頭の最強のセルフケアといえるでしょう。『EAT』との相性もよく、『EAT』後に『鼻うがい』を行うとより効果的です。

 

『鼻うがい』は痛いと思っている人が少なくありませんが、生理食塩水に近い約1%の濃度の食塩水を洗浄液として用いれば痛くありません。特にウイルス感染の流行期や花粉の季節の健康維持におすすめです」

 

 

【教えていただいた方】

堀田 修
堀田 修さん
医学博士

防衛医科大学校卒業。2011年に仙台市にて、医療法人モクシン堀田修クリニックを開業。認定NPO法人日本病巣疾患研究会理事長。IgA腎症・根治治療ネットワーク代表。日本腎臓学会功労会員。2001年、IgA腎症が早期の段階であれば扁摘パルス療法により根治治療が見込めることを米国医学雑誌「AJKD」に報告。その後は同治療の普及活動と臨床データの集積を続ける。また、扁桃、上咽頭、歯などの病巣感染(炎症)が引き起こすさまざまな疾患の臨床と研究を行う。監修本『慢性上咽頭炎を治せば不調が消える』(扶桑社)など。ほかに著書多数。

 

イラスト/green K  取材・文/山村浩子

 

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