骨盤の傾きを確認!
「脚を踏み出して後ろ脚が痛む=伸展困難の人は、猫背が多いようです。猫背には、大きく分けて背中猫背と腰猫背があります。
どちらの猫背であっても、脊柱の健康を考えると下記のふたつのストレッチ両方を行うのが理想です。もしも、ひとつを選ぶなら、自分の猫背のタイプで選ぶといいでしょう」(高平尚伸先生)
【チェック!】
壁を背にして立ってみて、自分の姿勢を確認します。理想は後頭部と左右の肩甲骨、お尻、かかとが壁につき、腰と壁の間が手のひらひとつ分の隙間があく(=猫背ではない)状態です。
背中猫背(骨盤前傾)
〇腰と壁の間に手のひら2枚分以上の隙間があく=反り腰。
〇後頭部が壁から離れる、もしくは壁についてもあごが上がる。
↓↓↓
もしひとつを選ぶなら「腰反らしストレッチ」へ!
腰猫背(骨盤後傾)
〇腰と壁の間に手が入らない。
〇後頭部が壁につかない。
↓↓↓
もしひとつを選ぶなら「膝抱えストレッチ」へ!
背中猫背さんは「腰反らしストレッチ」で股関節屈筋群を緩める
「背中猫背の人は、肩甲骨のあたり(背中上部)が丸まって、腰が反っているタイプ。巻き肩の人も多く、骨盤が前傾している傾向です。
そんなタイプは、太ももを上げるときに使う大腰筋(腰椎から太ももの骨をつなぐ筋肉)や、腸骨筋(骨盤内から太ももの骨をつなぐ筋肉)など、股関節を曲げるときに使う屈筋群が拘縮しています。その部分を緩める、『腰反らしストレッチ』が適しています」
【腰反らしストレッチのやり方】
【1】うつ伏せになる

床にうつ伏せになり、両ひじを曲げて両手を床につけます。
【2】腕を伸ばして腰を反らせる

下半身はそのままで、腕を伸ばして、腰を反らせます。腕を伸ばし切ったら20秒キープ。その後、静かに元に戻ります。これを1日3セット。
あごを引き、頭を高く上げ、視線を前へ向け、背すじに力を入れるとより効果的。
記事が続きます
腰猫背さんは「膝抱えストレッチ」で伸展筋群を緩める
「腰猫背の人は、肩から腰にかけて、背中が全体的に丸まっているタイプで、骨盤が後傾している傾向です。
脚を後ろに伸ばすときに使う大臀筋(お尻の大きな筋肉)やハムストリングス(太ももの裏側にある筋肉)など、脚を後ろに伸ばすときに使う伸展筋群が拘縮しています。その部分を緩める、『膝抱えストレッチ』が適しています」
【膝抱えストレッチのやり方】
【1】あお向けになる
床に両脚を伸ばしてあお向けになります。
【2】片脚の膝を抱える

片膝を曲げて両手で抱え、脚をできるだけ体に引き寄せて30 秒キープします。手を離してゆっくり元に戻し、脚を替えて同様に。これを1日、各脚3セットずつ行います。
お尻と太ももの裏が気持ちよく伸びているのを感じながら行いましょう。
【ストレッチの5つの注意点】
〇硬い関節を無理に伸ばさない
各関節には可動域があり、個人差もあります。無理やり伸ばすと思わぬ痛みを発症することがあります。
〇呼吸を止めない
呼吸を止めると筋肉が硬くなり、ストレッチ効果が薄れます。自然な呼吸をしながら行いましょう。
〇強く反動をつけない
小さな動きから始めていくことが大切です。反動をつけると関節に無理な負荷のかかることがあるので注意が必要です。
〇いきなり行わない
体が冷えた状態だと関節がうまく動きません。あらかじめ体を軽く動かして、筋肉を温めておくことが大切。お風呂上がりに行うのもよいでしょう。
〇やりすぎない
やりすぎると筋肉や関節を痛めることがあります。決められた回数やタイミングを守って、無理のない範囲で行うことがとても大切です。痛みを感じたときには中止してください。
記事が続きます
【教えていただいた方】

北里大学大学院 医療系研究科整形外科学教授。日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本リウマチ学会認定専門医および指導医、日本人工関節学会認定医。専門は股関節で、最小侵襲手術 (MIS)、運動器リハビリテーション、スポーツ医学に精通。著書に『股関節痛 こわばり・ だるさ・ 脚長差 自力で克服! 名医が教える最新1分体操大全』(文響社)など多数。

イラスト/green K 取材・文/山村浩子


