こちらは軽井沢、雲場池。昨秋撮影しました。
漢方セミナーでのこと
漢方に興味をもって、みなさん
熱心に聞いてくださる。
そして、いつもたくさんの質問を
いただきます。
それは私にとっては嬉しいこと。
漢方薬剤師・漢方ライフクリエーターの
樫出恒代です
質問の時間も終わり、
セミナーも終了し、
退出しようとドアのところに来た時、
40代後半くらいの
細身の女性が私のところに
やってきました
私の耳に小さな声で
「私、今朝おもらししたんです。
ちょっとだけじゃないんです」
と。
「先生、どうしたら良いですか?」
なかなか、みなさんの前では
できない質問かもしれません。
でも、最近多い、
くしゃみで漏れる、
力をいれると漏れる、尿。
そして、今回のご相談のようなおもらしも。
我慢できない痛みとか、
尿に異変が、、、などの症状がなければ
我慢したり
尿漏れ用のナプキンを当てれば
いいや、仕方ない、
と思う方も多いかもしれません。
でも、これは、身体の
「締まりがなくなる」
締まる力が弱くなって
「漏れる」のです。
瓶のふたの締まりをゆるめにして、
ひっくり返すと中身が漏れます。
コーヒーカップもひびが入っていたら、
コーヒーは漏れてきます。
放っておいたら、どんどん
「漏れる」身体になる。
締まりがなくなる、
ゆるゆるになる、
しまいには便も漏れてしまうかも。
そんな危険もあるのです。
「漏れる」身体になってしまう原因は?
「漏れる」身体を漢方では
☀️昼間の漏れ
脾(胃腸)のパワー不足
ーーー疲れるとちょっとした刺激で尿漏れ、内臓が下垂しやすく、下痢・便秘に。
⭐️夜の漏れ
腎のパワー不足
ーーー加齢に伴い腎で蓄えている「氣」のパワーが低下し、尿を留めておく力が落ちる。
脾と腎のパワー不足は、ベースに「冷え」があること、が原因と考えることが多いです。
尿の漏れや、頻尿には、
他の病氣が隠れている場合もあるため、
あまり、頻度や量が増えたり、おかしいなと思ったら病院での検査も必要です。
その上で、
上手に漢方のちからも借りて
「漏れない」女でいましょうね〜(^。^)
予防法&漢方薬
○「冷やさないこと」
コーヒー・ビール・冷たい飲み物は控える
下半身を特に冷やさない(パンツを二枚はく)
○骨盤底筋を鍛える
○適度な運動(1日15分でも歩く、ストレッチなどでも)
○尿意を我慢する練習をする
漢方薬は、同じ尿漏れでも、その方のタイプによって使い分けます。
また、何種類か組み合わせることもあります。
◉補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
疲れやすい、氣力低下しやすい方の氣を補う漢方薬。たるんだ臓器・筋肉を持ち上げる力があり、臓器が下垂して不快な症状を氣を補うことで、心も身体も引き締まって、若返り効果も。
◉八味地黄丸(はちみじおうがん)
加齢によりおこる、下半身の脱力感や
夜間の頻尿、尿もれ、腰痛などに
「腎」の力をアップする漢方薬。
エストロゲン様作用があるともいわれ
更年期以降、特に50代後半から60代以降の女性に効果的。
◉霊鹿参(れいろくさん)
若い鹿の角〈鹿茸 ろくじょう〉と人参。
特に、「腎」のパワーアップ、
身体を温め、氣力を上げる力があります。
87歳の母もこれを飲むと夜中の尿が減ります。
◉双参(そうじん)
エゾウコギと朝鮮人参。
「また、トイレに行きたくなったらどうしよう」というような心因性の頻尿にも。
心と身体の冷えをとります。
My漢方薬の一部です
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)の生薬(お皿に出したもの)。これを煎じて飲みます。
人参(にんじん)蒼朮(そうじゅつ)黄耆(おうぎ)当帰(とうき)陳皮(ちんぴ)大棗(たいそう)柴胡(さいこ)甘草(かんぞう)生姜(しょうきょう)升麻(しょうま)が配合されています。
双参(そうじん)ー甘くて飲みやすい、お腹があったまる。毎日の漢方。
霊鹿参(れいろくさん)ー疲れた時や冷えた時に。
さて、冒頭の
私にそっと話しかけてきた
40代後半くらいの女性。
舌をみると、グレーっぽい色。
これはかなり冷えがあること
そして、腎の働きが落ちていることを表していて
疲れもたまりやすく眠りも浅い。
全体的に《氣》のパワーが落ちているのですね。
補中益気湯と双参を合わせて
お湯に溶かして飲んでください、とご提案。
「女性はほとんどの人が、
年齢を重ねることで、尿漏れはあるから
恥ずかしいことではないんですよ。」
と、お伝えすると、すこしホッとした表情に。
身体をあたためて、漢方薬も飲んでみるとのこと。
きっと、よくなると思います。
漢方薬は万能選手では無いけれど
あなたに寄り添って
今日より明日
明日より未来を
よりよく照らしてくれるもの。
良きパートナーを見つけてください。
いつまでも
引き締まった
こころと身体でいたいものですね。
更年期、バンザーイ!
注:漢方薬については
漢方専門の医師や漢方薬剤師