そもそも閉経ってどんなこと?
知っているようで知らない「閉経」という体の節目。
今回は、閉経の疑問について、産婦人科医・医学博士の対馬ルリ子先生にお聞きし、Q&A形式でご紹介します。
Q
どんな状態を「閉経」 というのですか?
A
自然に生活していて生理が1年間なかった場合、「最後に生理がきたとき」を閉経とみなします。例えば前回の生理が昨年の3月にあり、今年の3月になっても次の生理がこなかった場合、「昨年の3月で閉経した」ということになります。つまり閉経とは「あのときが閉経だったのか」と、過去形でしか自覚できないも のなのですね。
女性ホルモンの働きは、閉経のおよそ5年前から急激に下がりはじめます。現在、閉経の平均年齢は 51 歳くらいとされているので、前後 10 年、45 歳くらいから55 ~ 56 歳くらいまでが更年期ということになります。
Q
閉経したら QОLは 低下しますか?
A
閉経で女性ホルモンの分泌がストップすると、体と心にはさまざまなトラブルが起こります。とはいえ、閉経も悪いことばかりではありません。例えば今、生理がある人のなかで、3~5割の人が「生理痛や月経前症候群(PMS)がつらい」と言っています。そこに過多月経や月経不順、また「いつどんな出血をするかわからない」という悩みを持つ人を加えると、およそ6~7割の人が何かしらの月経トラブルを抱えている計算になります。つまり毎月の生理に伴う苦痛が、女性が快適に生活し、仕事で活躍する際の、大きな妨げになっているのです。
さらに 40 代になると、子宮筋腫や子宮内膜症などをはじめとした子宮の病気も増えるため、月経時の出血量が増えたり、血のかたまりが大量に出たり、下腹部の痛みが強くなったりする人も少なくあり ません。そのような人たちの場合、生理がこなくなればそれらの症状も消えるので、閉経は「日々の不調から解放される絶好の機会」だといえるでしょう。
Q
閉経したらホルモン量はゼロ?
A
閉経すると女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量はほぼゼロになります。エストロゲンのレベルでいうと、 10 代から40 代までは 100 ~ 150 くらいあり、排卵時には 300 、出産時には数万もあったものが、閉経後はわずか5未満にまで減少。体の脂肪細胞から、ほんの少し女性ホルモンに変換されてはいますが、残念ながら測定できるほどの量ではありません。 60 代以降の女性の女性ホルモンは、同年代男性が持っている女性ホルモンの量より、ずっと少ないのです。
次回は、更年期になったらこころがけたいことについて詳しくご紹介します。
イラスト/内藤しなこ 取材・原文/上田恵子