更年期になったら心がけたいこと
更年期には、その人の弱いところに症状が出るといわれます。
どのようなトラブルが考えられるのか、どのように対処したらいいのか、
いざというときに慌てずに済むよう、あらかじめ基本的なことを知っておきましょう。
ここでは、更年期になったら心がけたい4つのことをご紹介します。今回は前回に続き、3.HRTという選択、4.植物の薬理効果で更年期も快適に! についてです。
3 H RTと いう選択肢
更年期の症状全般、なかでもホットフラッシュや のぼせ、ほてりに効果的なHRT(ホルモン補充療法)。
コレステロール値を下げ、動脈硬化予防や、骨粗しょう症、アルツハイマーのリスク軽減の効果も。
卵巣から分泌される女性ホルモンには、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があります。重視されているのは、女性らしさを司るエストロゲンですが、エストロゲンが過多になると乳がんや子宮体がんの発症リスクが高まります。その作用を打ち消すのがプロゲステロン。ホルモンは、バランスが重要なのです。
HRTは、更年期~閉経で減少したホルモンを補う治療法。適切に使えば、更年期のつらい症状を改善することができます。閉経前でも閉経後からでも使えますが、月経があるうちは低用量ピル、閉経後はHRTに切り替えるのが一般的です。ただし乳がんや子宮体がん、および血栓症になったことがあるか、現在治療中の人は利用できません。
●錠剤(飲み薬)
胃腸を通して吸収される錠剤。種類としては、エストロゲン単剤のプレマリン錠、ジュリナ錠、エストリール錠。エストロゲンとプロゲステロン混合剤のウェールナラ配合錠。プロゲステロン単体のプロベラ錠、デュファストン錠などがあります
●パッチ剤(貼り薬)
下腹部などに貼ることで、ホルモンが皮膚から血液中に吸収されます。胃腸や肝臓の弱い人でも安心して使えるメリットが。エストロゲン単体のエストラーナ、フェミニスト、エストロゲンとプロゲステロン混合剤のメノエイドコンビパッチなどがあります
●ジェル剤(塗り薬)
ボディジェル感覚で使える、肌に直接塗るジェルタイプ。エストロゲン単体のル・エストロジェル、ディビゲルなどがあります ※HRTは、状態によって処方が変わります
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4 植物の薬理効果で更年期も快適に!
森田敦子さん Atsuko Morita
更年期症状の緩和には、フィトテラピーも有効です」と言うのは、植物療法士の森田敦子さんです。フィトテラピーとは、ハーブや漢方などに代表される「植物療法」のこと。植物(phyto)が持つ薬理効果で症状を緩和させたり、治したりする療法(therapy)を言います。森田さんもフィトテラピーを取り入れ 、多くの不調を治してきました。
「私は客室乗務員をしていた 24 歳のときに、気管支喘息で入院。ある医大で気管支拡張剤とステロイド治療、減感作療法を受けました。薬の副作用で髪は抜け落ち、肌はガサガサ。生理も止まってしまいました。そこから元気になれたのは、フィトテラピーとの出会いがあったからです」
43 歳のときには膠原病のエリテマ トーゼスを発症。その際も鍼灸、高濃度ビタミンC点滴、食事療法とフ ィトテラピーで病気を克服しました。
「38 歳頃からは、フィトエストロゲン作用&フィトプロゲステロン作用のあるフィトテラピーサプリメントを服用しています。種類はおもにチェストベリー、ブラックコホシュ、レディースマントル、メリッサなど。ホルモンバランスの乱れを事前にケアしていたため、プレ更年期の症状 もなく、それどころか 43 歳で自然妊娠! 髪もまだ染めていません」
また日頃からエキナセアのハーブティーを飲んでいるほか、朝鮮人参入り参鶏湯、葛根、梅醤番茶などを食事に取り入れ、ケアしているそう。
「現在 52 歳ですが、体調も悪くなく、生理も順調です。今後は、ストレッチやヨガなどの運動療法にもトライしたいと思っています」
取材・原文/上田恵子