知っておこう!
閉経後起きやすい「 11 のトラブル」
今回は、⑦気力低下・うつと⑧ドライシンドロームについてです。
⑦気力低下・うつ
本来の精神疾患と区別するのが難しく、
先に心療内科などにかかってしまうと、 うつ病などと診断されることが
女性ホルモンのアンバランスにより自律神経が乱れると、気力の低下、気持ちの落ち込みや理由のない不安感、焦り、パニック状態、抑うつ感、自信喪失、情緒不安定など、さまざまな精神症状が出ることがあります。本来の精神疾患と区 別するのが難しいため、先に心療内科にかかると、うつ病などと診断され、抗うつ剤がたくさん出されることも。
女性ホルモンの減少が原因の場合、HRTや漢方、アロマテラピーなど、更年期の治療をすることで改善することも多いので、まずは更年期に詳しい婦人科で 相談してみることをおすすめします。また、一人で抱え込まず、友人や家族など身近な人に話を聞いてもらったり、夢中になれる趣味を見つけたりするのも、気持ちを上げるきっかけになります。
⑧ドライシンドローム
目、肌、口の中、腟とその周辺など、乾燥が起こる場所はさまざま。
「シェーグレン症候群」にも注意して
女性ホルモンは、皮膚の中のコラーゲンを増やす働きを持っていますが、閉経で女性ホルモンが激減すると、それに伴ってコラーゲンの量も減少。その結果、潤いを保つ機能や皮膚の弾力が低下し、肌や粘膜が乾燥しやすくなります。目、肌、口の中、腟とその周辺など、乾燥が起こる場所はさまざま。乾燥によってかゆみが起きたり、傷ができたり、なかには性交痛が出る人もいます。対策としては、保湿剤で肌の潤いを守る、部屋に加湿器を置く、唾液がしっかり出るようガムを嚙む、セックスの際には潤滑剤を使うなどの工夫をするといいでしょう。
また、気をつけたいのが、自己免疫疾患の一種「シェーグレン症候群」との違いです。シェーグレン症候群は更年期の症状によく似ているものの、まったく別の病気。特にドライアイとドライマウスの症状が強く、 40 ~ 60 代の女性に多く発 症するといわれています。自分で判断するのは難しいので、ドライがひどい人はぜひ医師の診察を。
更年期~閉経後に起きやすいトラブルは、更年期とは無関係な疾患の可能性もあるので、不調を感じたら、まず医師の診察を。
「女性のライフサイクルと健康トラブル」
次回は、⑨認知症 ⑩不眠について詳しくご紹介します。
イラスト/内藤しなこ 取材・原文/上田恵子