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横森理香の更年期チャレンジ『コーネンキなんてこわくない』京都リベンジ一人旅①迷わずにそぞろ歩きたい!

横森理香

横森理香

作家・エッセイスト。1963年生まれ。多摩美術大学卒。 現代女性をリアルに描いた小説と、女性を応援するエッセイに定評があり、『40代 大人女子のためのお年頃読本』がベストセラーとなる。代表作『ぼぎちんバブル純愛物語』は文化庁の主宰する日本文学輸出プロジェクトに選出され、アメリカ、イギリス、ドイツ、アラブ諸国で翻訳出版されている。

OurAgeの更年期チャレンジ連載をまとめたエッセイ『コーネンキなんてこわくない』好評発売中! 最新刊は『大人女子力検定』。

また、「ベリーダンス健康法」の講師としても活躍。主催するコミュニティサロン「シークレットロータス」でレッスンを行う。日本大人女子協会代表。

 

更年期の不調から脱するため、様々なチャレンジをしてきた作家・横森理香。

閉経前後の体験を描いた『コーネンキなんてこわくない』(集英社刊)は、

“コーネンキ”を明るく乗り越えられるパワーが湧いてくる一冊だ。

さて、引き続き、チャレンジのひとつとして、昨年初めて京都一人旅を体験。

だが、無類の方向音痴である横森さん、一人旅というより迷い旅だった。

そのリベンジを果たすべく再び京都へ!!

 

今度こそじっくり京都を味わいたい♥

 

 

 

神戸に隠居した叔父の見舞いに行ったので、はたまた、京都に寄ってしまった。前回、エサレンマッサージに行くため、京都大学の近くに泊まり、なんかあんま、観光っぽくなかったなぁという思いも残っていた。

 

編集者Kには、

 

「迷うだけの旅も面白いけど、大人女子としてどうよ?!」と叱られw

 

「京都は何度行っても新しい発見があるところだから、リベンジで行って来ては? 今度は迷わないでよ」

 

と、京都市役所近くのホテルをいくつか紹介された。さらにタイマーを使った自撮りの仕方、地図の読み方まで指導され・・・。

 

「ここからは歩いてスマートコーヒーにも行けるし、錦市場もすぐだから」

 

「ラジャー!」

 

二年前、錦市場に行ったときは夜だったから、ほとんどの店は閉まっていた。その後、テレビで見ると、あれも食べてない、あそこも行ってないと、胸がきゅんきゅんする。

 

「京都らしいところで、京都らしいもの食べたいなぁ」

 

京都熱がまた、ふつふつと湧いて来た。

 

京都らしい食べ物といえば、小学生の頃、初めて京都に連れてってもらったとき食べた、引き出し弁当。ネットで検索するも出てこない。京都在住の友人ヤタニーチェにラインで相談すると、

 

「私も探したんですが、今はないみたいなんですよね。引き出し弁当じゃないんですが、これなんかどうですか?」

 

と、「手織り寿司」なるものを出すお店のリンクを送ってくれた。

 

「いま話題のお店で、予約がなかなか取れないんですよ」

 

「イイネ!」

 

町屋を改装した京都らしいお店で、ちっちゃくて可愛い「手織り寿司」を、もう二十年来の付き合いになる大人女子といただく♥ いいじゃないか!

 

 

ホテルにチェックイン、さて一人で何しよう!?

 

しかしヤタニーチェは六時まで仕事だったから、ホテルにチェックインしてから、午後を一人でどう過ごすかだった。私は自分に、

 

「京都でなにやりたい?」

 

とたずねた。なんだかこの頃いろいろで忙しく、髪の毛も伸び放題、お買い物もしていないことに気づいた。京都に向かう電車の中で、

 

「京都 町屋 ヘアサロン」で検索すると、

 

「うっそー、あるんだぁ」

 

町屋を改装した美容院が出て来た。

 

しかし、無類の方向音痴である私が、ここまでたどり着ける自信はなかった。ググっても、見方が分からないから、最寄駅からホテルまでたどり着くのに、十分以上ぐるぐるしてしまった。「駅から徒歩二分」ってなに?

 

夕飯をいただく店にも、一人ではたどり着けないと思うから、ヤチニーチェが夕方ホテルに来てくれることになっている。

 

仕方がないので、サロンに電話をかけ、行き方を教わることにした。観光客であることを告げると、

 

「電車ですと、乗り換えが面倒で、かつ、駅から離れていますので、タクシーで向かわれた方が無難かと。タクシーだと十分ぐらいですから」

 

ホテルは御池麩屋町というところにあり、大通りに出ればすぐタクシーはつかまる。タクシーに乗り込むと、えっらい年寄りの運転手さんだった。

 

「京都は一通ばかりだから、ぐるーっとまわらにゃいかんよ」

 

と言いながら、ぐるぐる回る。すぐに、見覚えのあるアーケイドが見えた。

 

「あ、あれ錦市場ですよね? 二年前、夜行ったらもうなんにも食べられなくて」

 

「そうやね、市場やから、昼行かんと」

 

うーん、テレビで見た鱧の串刺しとか食べながら、立ち飲みで一杯やりたいものだ。

 

 

町屋風ヘアサロンで肩もみ

 

いまどき、カーナビもついてない古いタクシーだったが、おじいさんドライバーは頑張って目的地まで行ってくれた。この私が、グーグルマップを見せながら協力した。

 

「東京のデパートにも入ってる有名な和菓子屋さん、仙太郎のお向かいです」

 

「あー、あそこやね」

 

なんだか、達成感があったw

 

サロンは去年オープンしたばかりのhaku。町屋を改装したお洒落な店だった。一階がギャラリーになっていて、二階が美容院。なので、ぱっと見、美容院には見えない。

 

うえ~、一人で歩いて行ったら、ぜったい見逃してる?

町屋をお洒落にリノべした空間。1階のギャラリー、2階がサロン。●haku 京都市下京区中之町566 ☎075-585-5959

サロンは満員で、外国人のヘアカットをしていたスタイリストが、私の担当だと挨拶した。

 

「こんにちは! 本日担当させていただくショータです」

 

ショータって、ファーストネームかい?

 

 

・・・・なんと大胆に初めての美容院へ!

 

シャンプーボーイに預けられ、しばらく待たされた。が、待たされて良かった。というのは、このシャンプーボーイ、マッサージがめっちゃうまかったのだ。

 

なんせ、忙しくて肩ゴリゴリ。マッサージに行く暇もなかった。それをこのシャンプーボーイは、別料金払ってもいいぐらい、ぐいぐい揉み解してくれたのだ。

 

「なんでこんなにマッサージうまいの?」と聞くと、

 

「先輩方が健康オタクで、整体師になってもいいぐらい、極めてるんです。それを教わって、僕らも練習してます」

 

町屋で髪を切ってみたいだけだったから、マッサージまでは期待してなかったけど、これはめっけもん♡

 

トップスタイリスト、ショータさんのカットも、早くてうまかった。

 

「これで当分、美容院行かずに済むねw」

 

滋賀出身で、ニューヨークで五年修業してきたそうだ。あ~、だから英語喋れて、自己紹介ファーストネームなんだぁ。

 

と思ったら、塩田さんだった。最後に名刺もらってびっくり。ずーっと、「ショータさんはさぁ」と会話していた。方向音痴だけでなく、耳も悪い55歳w

 

 

一人で四条をぶらつく

 

塩田さんに、「すっごい方向音痴なんだけど、ここからだと四条辺りまで歩けるよね?」と聞くと、

 

「お店出たら左に進んでもらうと、すぐ四条通りに出ますよ」と教えてくれた。

 

「でも大通りは観光客ばかりで面白くないから、小路に入ったほうが京都らしいです」

 

「はーい」

 

四条通りに出ると、方向音痴ながらも、土地勘が蘇って来た。何度か行ったことのある鴨川方向へ進む。塩田さんのアドバイスに従い小路に入ると、オバチャン一人でやってる、小さい和菓子屋さんを発見✨

 

高級店や有名店は京都駅でも買えるし、デパートにも出店してるから、京都でしか買えないものを買ってみたい。私はその花遊小路の和菓子屋さんで、京都らしい、小玉みたらし団子と、朝のお目覚用、生菓子を数点、買った。

 

 

四条通りを鴨川の方向に進むと、見覚えのあるクラシックな建物が見えて来た。食べたことはないが、有名な中華料理店だ。

 

 

「てことは、先斗町すぐじゃね?」

 

病的に方向音痴の私でも、大好きな先斗町界隈は体が覚えているみたいだ。

 

足取りも軽く、外国人観光客の中を進む。

 

「やった~」

 

先斗町到着、である。江戸時代から残る、風情のある小路✨

 

 

この中に、六年前、娘と行った、うさぎの焼き物屋さんがある。そこのレンゲが好きで、ヘビロテしてたら全部割ってしまったので、いつかは買いたいと思っていたのだ。

 

あんなに小ぶりで滑らかで、女子のお口に合うレンゲはない。二年前は夜呑みに来たから、お店はすでに閉まっていた。

 

「あった~」

 

そのお店、「うさぎのアトリエ ぴょんぴょこぴょん」を見つけた時は、心がじわぁっとした。ちっちゃくて可愛くて、ホントに京都らしいお店なのだ。

 

こちらがまた来たかった「うさぎのアトリエ ぴょんぴょこぴょん」 ●京都市中京区先斗町通四条上ル下樵木町207番地 ☎075-212-0441

 

 

でも、レンゲはなかった。

 

「窯元からいつ何が来るかは分からないので、たまに電話してくれまっか?」

 

と、親父さんが言った。あれば、東京にも送ってくれるという。

 

「あ、じゃあ一カ月ぐらいしたら、電話してみますね」

 

私は、せっかくだから、私と娘用に、小皿と器、湯呑を購入して、もちろん帰りはタクシーでホテルに戻った。

 

 

 ・・・・・さて、お楽しみの晩御飯へ!!

 

町屋レストランで大人女子飯

 

ヤタニーチェに連れてってもらった「AWOMB(あうーむ)」は何店舗かあるらしいが、予約が取れたのは西木屋町店。ホテルからはタクシーで十分ぐらいだった。四条通りを越え、高瀬川に添って飲み屋街を進むと、幸せ感が込み上げてきた。

 

「私ねぇ、年々飲めなくなってきてるけど、呑み屋さん、見てるだけで幸せなの」

 

私はヤタニーチェに呟いた。父親に似たのか、色町が好きなのだ。

 

「AWOMB」は、一本入ったところの、これまた大変分かりづらいところにあった。ま、どこに行くにしても、案内なしには行かれないが。

●「AWOMB」西木屋町店  京都市下京区西木屋町通松原下る難波町405 ☎050-3177-5277 ※ご予約はインターネット公式Webサイトからのみ www.awomb.com

 

町屋を改装したお店で(どんだけ町屋好きやねん)、入口は風情のある格子戸。

 

京都らしい、細長~い小道を進むと、「頭上注意」と書いてある低い入口があった。細いしめ縄や、魔除けのお飾りが祀ってある。

 

店内はこじんまりとして、キッチンもお客様も、女子ばかりだった。

 

大人女子による、大人女子の店。小さいながらも、微に入り細に入り、美を追求している様子がうかがわれ、「アウーム(子宮)」という名前らしい、落ち着いた気分にさせてくれた。

 

京都の純米酒を頼んで、熱燗で乾杯✨ 盃も選べる。花冷えで寒かったから、まずは温かい蕎麦椀で体を温め、アートのようなお料理を、少しずつつまみながら、ちびちび呑んだ。

 

 

西木屋町店は揚げ物が売りで、牡蠣やうずら卵、アーモンド衣の海老、カマンベールチーズや和牛、五色あられをまぶした粟麩、微塵粉をまぶしたゴボウなど、見目麗しい天ぷらにも、舌鼓を打った。

 

美味しい、そして美しい料理にコメントしつつ、大人女子同士、話は尽きない。

 

「こういう、目にも美味しいお料理って、女子同士じゃなきゃ楽しめないよね~」

 

「男の人はお腹いっぱいになんなきゃダメだもんね」と、既婚者同士、笑い合う。

あたたかい酢飯と焼き海苔がついているので、手の込んだ美しいお料理を具にして、手巻き寿司にして食べてもいいが、私はほとんど、日本酒のお供にしてしまった。

 

なんせ、野菜や魚介、京都の食材を使っただけでなく、和洋折衷の創作料理なので、組み合わせが絶妙で、酒に合うのだ。勢い、

 

「熱燗、もう一本!」

 

頼んでしまった。

 

最後にちょこっと、巻物もいただいた。酢飯も炊き立てで美味しい。

 

 

川沿いカフェでもう一杯✨

 

「AWOMB」を出たあと、もう一軒、鴨川沿いのお店に連れてってもらった。やはり町屋を改装したカフェで、フランス人男子がサービスしていた。うーむ、フランスと京都、大人女子にはしっくりくるね♡

 

おなかはいっぱいだったので、鴨川を眺めながらワインとナッツ、枝豆をいただく。こんなに贅沢なロケーションで、一人千円ぐらいのお支払だった。「アウーム」もそうだが、京都は色々なお値段、東京に比べるとお安いような気がする。

で、すっかりいい気分になった私は、ヤタニーチェと高瀬川を眺めながら木屋町通りをそぞろ歩いた。

 

どこも、京都らしい間口の狭い、ウナギの寝床みたいな小路を通って入る感じ。ライティングも斜暗く、お洒落。素敵なお店がいっぱいあることに感動した。

 

「そうなんですよ、理香さん、この辺は大人な界隈。また来てくださいね!! 次はあそこ、行きましょう!」

 

と、次なる京都に私を誘う。くぅ~、また行っちゃうよぉ。

 

 

 ・・・まずは順調な京都旅。 続きをお楽しみに!! ・・・・・・

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