これまで、手指のトラブルの種類やその原因について、手外科の前田利雄先生に話を聞いてきました。では、どんな治療法・ケア法があるのでしょうか?「手の不調の治療は、基本的に対症療法になります」と前田先生。症状を軽くする治療法として、クリニックで受けられるものと自宅でできるものを教えていただきました。
3.女性ホルモンの減少も原因に「手の不調」
装具やリハビリ、ホームケアで
つらい手の症状を改善!
前田利雄さん
Toshio Maeda
「当院では、患者さんの痛みを軽減する装具の紹介や手指のリハビリ、セルフケアの方法なども指導しています」
と前田先生。例えばヘバーデン結節やブシャール結節の場合、関節を曲げずに安静に保つことが大切なのだそう。
「おすすめなのが、100円ショップで買えるビニールテープを巻く方法。医療用テープより粘着力が弱いので、肌がかぶれやすい人でも使えます。また母指CM関節症には、寝ている間につける専用の装具のほか、硬くなった関節や指の股の筋肉を柔らかくする手指のトレーニングも有効です」
ばね指、ドケルバン病などの腱鞘炎や、手根管症候群、母指CM関節症には、クリニックで受けられるハンドセラピーがおすすめです。
「まだ指の変形が出ていない人は、予防的にエクオール含有サプリメントをとるのもいいでしょう。いずれにしても大切なのは、症状が出たら早めに対処すること。なかには重篤な病気が隠れているケースもありますから。できれば『日本手外科学会』というサイトで、全国で900人くらいいる手の外科の専門医を探し、診察を受けることをおすすめします」
まえだ整形外科・手のクリニックで受けられる
【スプリント(装具)治療とハンドセラピー】
作業療法士のいるまえだ整形外科・手のクリニック。ハンドセラピーや装具を使った治療が受けられます
作業療法士(ハンドセラピスト)によるリハビリ
クリニックには上肢のリハビリを専門とする作業療法士(ハンドセラピスト)が在籍。手のマッサージなどが受けられます
母指CM関節症用スプリント
親指の付け根を安静にするための装具。夜、寝ているときにつけておくと痛みがやわらぎます
カックアップ スプリント
手根管症候群の治療に使われる装具。手首の関節を固定して、安静にさせるためのもの
ダイナミック スプリント
曲げ伸ばしがしにくくなった指の、矯正のための補助装具。ゴムで助けながら指を伸ばしていきます
まえだ整形外科・手のクリニック
整形外科・リハビリテーション科
東京都杉並区下井草1-6-2
☎03-5382-5577
受付時間/9:00~12:00、14:30~17:45
㊡日曜、祝日
※木曜日午後は、昭和大学病院整形外科 手の外科診で診療
次ページでは、自宅でできるセルフケアの方法をご紹介します。
【自宅でできるセルフケア】
日常生活でできるセルフケア。次回ご紹介するトレーニングと併せて行うとさらに効果的です
手の不調をサプリメントで回避
エストロゲンと似たような働きをもつ、エクオール含有サプリをとるのも効果的です。抗酸化作用も期待できます。
エクエル/大塚製薬
ビニールテープで関節を固定
指関節の痛みがある部分に、厚めのビニールテープを2周ほど巻いて固定。安静にすることで症状の改善が期待できます。肌が弱い人は、先にガーゼを巻いておくといいでしょう
手を温め、血流をよくするマッサージを
手は心臓から離れているので、どうしても血流が滞りがち。お風呂に入った際など手を温めながら、こわばった箇所をほぐしましょう
次回は、手の筋力アップトレーニングをご紹介します。
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/上田恵子