「いつの日からか、ネガティブなもう一人の自分になっていた」という奈美悦子さんの「更年期」の始まり。気持ちがグンと楽になったのは、更年期だと病院で診断されたこと、さらにまわりに自分が更年期であると宣言したことが大きかったと言います。(前回記事)
今回は、彼女が取り組んできた対策、そして更年期に悩む女性達へのアドバイスを伺いました。
更年期の終わりは 「記憶が曖昧で」
更年期と診断されて以来、心がけてきたのが「イヤなことがあっても、否定も肯定もせず、目をつぶって全部忘れちゃうこと、規則正しい生活をすること」。先輩からの このアドバイスは、かなり効果的だったといいます。
そして 50歳を過ぎた頃、 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)性骨関節炎という難病が奈美さんを苦しめることになります。
「更年期どころではなくなってしまっ たので、更年期がいつ終わったのかは、 実はちょっと曖昧なんです」
大病を患ったことで“食”の重要性 に目覚め、雑穀を学んでアドバイザー やマイスターなどの資格を取得。
「今思うと、更年期の症状はそれほど ひどくはなかったけれど、もっと毎日の食事に気を使っていたら、さらに軽くなっていたかもしれません」
現在の奈美さんこだわりの朝食をご紹介します。
自分で作ったものが食べられるから、 朝食はとことんヘルシーなメニュー にこだわっているのだそう。例えば卵焼きにはボイルしたキヌア を。納豆にはしょうゆを使わずにキムチを添え、だしをとった昆布も炒めておかずに。ちょっとした工夫が 随所にちりばめられています 。
雑穀 米に汁碗、焼き魚。数種の常備菜は 豆皿に1種類ずつ盛りつけて、見た目も美しく賑やかです。
先輩から自分に。今度は後輩のために
自身が先輩からアドバイスをもらってきたように、今では後輩の悩みを聞く立場になった、と奈美さん。
「ついこの間も、2時間くらい電話で 相談を受けたばかり。更年期のつらさは人それぞれなので、私の場合はこうだったという話しかできません。でも、最初は泣いていた彼女が、電話を切るときは笑っていたので、ちょっと安心しました」
更年期は不快だし、不安だろうけど、一時期のこと。深刻に考えすぎずに、気分転換になることや好きなことをしてみては? と奈美さん。最近ではホルモン補充療法(HRT)も身近になってきています。そんな力を借りるのも本人の気持ち次第で選べばいい、と静かにうなずきます。
「更年期は誰でも通る道で、いつかは終わる道。私もそう教わって、乗り越えたんですよ」
撮影/冨樫実和(奈美さん) ヘア&メイク/石丸真之輔 スタイリスト/小川未久 取材・文/佐藤素美