持っている力を生かして穏やかに効く漢方薬
最近は、婦人科で処方してもらえることも多くなった漢方薬。
婦人科医でHRT(ホルモン補充療法)の第一人者である小山崇夫先生に、更年期不調の漢方対応について教えていただきました。
漢方は健康保険が利かないから高そう、という声をいまだに聞きますが、そんなことはありません。
現在、厚生労働省から認可を受け、保険が適用になる漢方製剤(生薬のエキスを抽出して加工した薬)は約150種、
生薬(天然の植物や動物、鉱物)では約200種あります。
HRTの先駆者である小山先生も、漢方治療に長年の経験を持ち、以前からクリニックで処方してきました。
「HRTには抵抗があっても、漢方に対しては安心感を持つ人が、更年期女性にはとても多いと思います。
漢方は、更年期の不調を感じはじめてすぐ、早い段階で服用するのがいいでしょう。
ご存じのように漢方は効き目が穏やかなので、
こじれた更年期症状をピタッとストップするような劇的な効果はそれほど期待できません。
でもナチュラルな分、安心してもらえるんです。
また、HRTと漢方薬を併用するのも普通です。ふたつの相乗効果はかなり期待できますよ」
漢方でコンディションを整えたうえで、HRTを行うのは西洋薬と漢方薬のいいとこどり!
とても魅力があります。西洋薬はピンポイントで効かせる、
漢方薬は体のバランスを整えてジワジワと自然治癒力を生かすイメージですが、
実際には更年期女性にはどう使われるのでしょう?
「女性ホルモンの減少というはっきりした原因に対し、それを補充しましょうと。
とてもシンプル、だけど根本的な治療がHRT。
それに対して漢方は、ほとんどの場合、中枢に働きかけ、
その人がもともと持っている防衛機能を利用して、今出ている症状を改善していくのです。
ですから、更年期に多いホルモンバランスの乱れやストレスなどが関係していそうな不定愁訴が漢方は得意。
パワーを発揮します」
つづく
小山崇夫
婦人科医。小山崇夫クリニック院長。
更年期と加齢のヘルスケア学会および日本サプリメント学会理事長。
専門は内分泌(ホルモン)で、特に女性の更年期に詳しく、日本のHRTの第一人者。
著書に『遺伝子を調べて選ぶサプリメント』『女性ホルモンでしなやか美人』(ともに保健同人社)、
『40歳であわてない!50歳で迷わない!もっと知りたい「女性ホルモン」』(角川学芸出版)など