婦人科医でHRT(ホルモン補充療法)の第一人者である小山崇夫先生に、更年期不調の漢方対応について教えていただく第2回。
今回は、「証」についてお聞きしました。
漢方と言えば「気・血・水」の考え方を思い浮かべますが、それは症状の原因を探るためのもの。
これに加え、「証」という見方で個人個人に合った薬を選ぶのが特徴です。
病名で薬を選択するのではなく、その人の症状や体質・体力に合わせてチョイスするのです。
よく使われるのが「虚証」と「実証」、中間の「中間証」という分類。
体格、肌の色、声などの印象で分けるため、素人にもわかりやすいはず。
「気・血・水」でその原因を推測し、「証」によってさらに薬をしぼる。
同じような症状が出ていても、人によって選ばれる薬がまったく違うのはこのためです。
本来は、漢方の専門医が診て判断するものですが、自分でもある程度チェックできるので、
なぜその漢方薬が選ばれたのか推測できるようになれば、ぐっと興味がわいてくるというもの。
もちろん、市販の漢方薬を購入する際には大いに役立ちます!
【漢方の考え方】
●「証」と「気・血・水」
漢方では、「証」と「気・血・水」、ふたつの
ものさしをもって診断します。診断は医師の
五感を使った「四診(望診・聞診・問診・切
診)」。これによって、一人一人に合った漢方
薬を導き出し、処方します。
●「実証」「虚証」「中間証」。「証」は体質を表すものさし
「証」とは、その人の体の状態を表します。
体力や抵抗力が充実した人=「実証」、体力が
なく弱々しい人=「虚証」、その中間の人=
「中間証」などと分類。同じ症状でも、証が
違えば、処方する漢方薬が違ってきます。
●「気・血・水」は不調の原因を測るものさし
漢方では人間の体に「気・血・水」の3つが
流れていると考えます。「気」=エネルギー、
「血」=栄養を巡らせる血液に近いもの、「水」
=血液以外の体液全般。3つのものさしで、
どこに問題があるのかを探ります。
漢方で更年期不調 ① は こちら
小山崇夫
婦人科医。小山崇夫クリニック院長。
更年期と加齢のヘルスケア学会および日本サプリメント学会理事長。
専門は内分泌(ホルモン)で、特に女性の更年期に詳しく、日本のHRTの第一人者。
著書に『遺伝子を調べて選ぶサプリメント』『女性ホルモンでしなやか美人』(ともに保健同人社)、
『40歳であわてない!50歳で迷わない!もっと知りたい「女性ホルモン」』(角川学芸出版)など