こんにちは。マドレーヌです。
OurAgeで連載「キラキラの源」を書いてくださっている、朝倉匠子さんの講演に行ってきましたよ。朝倉さんが連載で紹介してくれた「がんでも人生バラ色~がん患者のぶっちゃけ『キレイ学』」です。
まずは、築地の聖路加国際大学へ。アリス C.セントジョンメモリアルホールに向かいます。
朝倉さんを含め、乳がんサバイバーの女性4名と、精神腫瘍学の保坂隆医師のお話を伺いました。朝倉さんには、受講者から質問も飛んでいましたよ。
がんについて、浅い知識しかなかった私は、とても驚いたことがありました。がんになると、落ち込んだり、うつになったりすることが多いということは理解していたつもりですが、それは、がんに対する恐怖からだと思っていたのです。でも、それだけでなく、乳がんの場合、ホルモン療法が有効なタイプがあり、その療法により、急激なホルモンバランスの変化でうつ症状が出ることが多いのだそうです。
乳がん患者さんがうつになると、ご家族が「うちは、うつ家系じゃない」と口にすることも多いとか。そもそも家系なんて関係なくて、ホルモン治療によりホルモンバランスが崩れて、どのようなメカニズムとはわかっていませんが、 最終的にはセロトニンの分泌が減って、うつ症状が出ているのだ、と冷静に理解しておくことが大事なのだと思いましたよ。
朝倉匠子さんは、30代にアメリカで6年暮らし、その間に加齢学を学び、エイジング・スペシャリストとして活躍されています。だから、女性ホルモンの働きについては熟知されています。アメリカでは一般的なHRT(ホルモン補充療法)を、朝倉さんは、乳がんが発覚するまで続けてこられました。
朝倉さんの乳がんは、検査の結果、幸いステージ1で、リンパへの転移もなく、放射線治療も必要ない、ということで、ご自身も「大丈夫」と思えたのだそうです。
ところが、手術前に女性ホルモンを止める薬を飲み始め、1週間後から、副作用が。体中の水分が抜け、肌が乾燥し、髪がかさかさになり、目が落ち窪み、唾液が出なくなって、口内が痛くて食事も楽しめなくなったのだそう。
それも、今後5年間、女性ホルモンを止める薬を飲み続けなければいけないとのこと。女性ホルモンの働きに詳しいゆえに、現状を分析し、今後起こるだろう事態を想像してしまい、ついに動くのもつらい体調に。適応障害と診断されるまでになってしまったのだそうです。
でも、朝倉さんは、よい漢方医に出会い、体調が徐々に改善されていきます。
そんなところに、今回のフォーラムを主催された、聖路加国際病院の「精神腫瘍科」の保坂隆医師に出会ったのだそうです。
保坂先生のプロフィールは、朝倉さんの連載に出ていますが、こんな言葉が印象的です。
「匠子さん、精神科医は『死にたい、死にたい』と言っている患者さんをいかに生かすかが仕事ですが、精神腫瘍科医は『生きたい、生きたい』といっている癌患者さんに、時には「死をも受け入れてもらう」ことが仕事です。両者は立ち位置が全く違うのです。精神腫瘍科医自身がきちんとした死生観をもっていないと患者さんとしっかり向き合えないのです。」
(ご自分の死生観を確立するために高野山大学大学院でマスターもとっていらっしゃいます)
診察に、たった3回通っただけで、朝倉さんは、保坂先生を信頼し、みるみる元気になっていったそう。
保坂先生によると、当時の朝倉さんはうつ状態で、OurAgeの連載で、7ヶ月間乳がんについて触れなかったことは、がん患者によくある事実の「否認」(本当は、がんではなく、これは夢なのではないか、などと思い巡らすこと)にあたると、分析されていました。保坂先生は、ユーモアがあり、がん患者の立場に立って考えてくださる医師なのだなあ、ということが伝わってきました。
ここでは詳細は省きますが、保坂先生が提唱されている、うつ状態から抜け出すための手段のひとつ、「インターバル・ウォーキング」に『瞑想』を加えた、「インターバル・瞑想・ウォーキング」は、うつでなくても、心と体を健やかに保つのによさそう、と思える運動でしたよ。
◆聖路加国際病院 リエゾンセンター 精神腫瘍科
今では朝倉さんは、すっかりお元気になられて、一時お休みしていた「The Fujiyama Sisters」の活動も再開。講演後に、お仲間から大きな花束を贈られていましたよ。
今回のフォーラムのお話には、いつか自分や身近な人ががんになったとしたら、きっとヒントになるだろうことが、たくさん詰まっていました。
次号の「MyAge」(17年3月刊行予定)では、「がんになった時に知っておくといいこと」のテーマを企画しています。今回のお話にまつわることも取材予定です。どうぞ、そちらもご期待くださいね。
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