身近なようで意外と知らない子宮と卵巣、そして本当の姿を見たことがない人も多い腟まわり。これら女性器の老化は意外と早く、閉経を迎えることで、この時期特有の悩みを抱える人も少なくありません。女性のマンパワーやQOL(生活の質)が重視される今、女性ホルモンに関連するトラブルや病気はもはや社会問題に。黙っていないで相談しましょう。ケアしたり治療したり、できることから始めましょう!
覚えておきたいキーワード
- ●閉経=「卵巣の寿命」がきたということ
- ●更年期の症状は治せます
- ●半数が悩む腟まわりトラブル「GSM(※閉経関連泌尿生殖器症候群)」はもう我慢しないで解決!
- ●40代でも!? 子宮や内臓が落ちてくる骨盤底フレイル
- ●子宮筋腫は「切らないで治す」時代
- ●急増している子宮体がんは不正出血が初期症状
- ●遺伝性の卵巣がんかかりやすさを今すぐチェック!
- ●婦人科かかりつけ医と検査が更年期以降の明暗を分ける!
顔より老化がわかりやすい女性器を若く保つ秘訣とは?
対馬ルリ子さん
Ruriko Tsushima
1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。産婦人科医、医学博士。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。
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「女性器は老化がわかりやすく、実は2人に1人が腟まわりトラブル『GSM』で悩んでいます。腟から子宮、卵巣はほかの臓器と隣接していることもあり、とても大切。
QOLを保つ意義からも重大な問題なのに、いまだ『高齢者の戯言(たわごと)』などと偏見を持たれることもあって不調を訴えにくいものです。そんな人は、理解ある産婦人科医に相談してください。
そして、女性器は顔と同じようにお手入れしましょう。たくさん出ているセルフケアアイテムを利用するのもいいし、内側からは食事やサプリできちんと栄養をとり、血流をよくすること。それが閉経前後の病気予防にもつながります」(対馬ルリ子先生)
妊娠の心配がなくなった閉経以降こそポジティブに!
八田真理子さん
Mariko Hatta
産婦人科医。1998年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』 (アスコム) など。
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「閉経後もこんなに長く生きる動物は人間だけって知っていますか? 女性ホルモン、エストロゲンがなくなった体で何十年も生きるのです。
最近、エストロゲンはいいことばかりでなく、がんのリスクを上げるなど悪さもすると痛感しています。私はそれを『悪玉エストロゲン』と呼んでいます。
ホルモンがなくなり月経もなくなったら、逆にできること、やりたいことはたくさんありますよね。そんなとき女性器の悩みや婦人科系問題に直面したら残念な気持ちに。
今、女性医療が進み、外側からも内側からも悩みを改善する治療ができるようになりました。婦人科への相談はもう必須です!」(八田真理子先生)
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/蓮見則子