サイレントキャンサー(静かながん)と呼ばれるほど症状がない卵巣がん。50代が最も多い、卵巣がんのリスクを再確認して早期発見を!
増え続ける卵巣がん 40代〜60代と幅広い年代に!
「卵巣がんのリスクは排卵した回数と比例しています。出産歴がなく閉経が遅い人は要注意。また、必ず知ってほしいのは遺伝性の卵巣がんです。
HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)に当てはまるかどうかはセルフチェックでわかるので(次回ご紹介します)、怖がらず確認してみてください」(八田真理子先生)
●卵巣がんの罹患数と死亡数の推移
患者数の増加もさることながら、これほど医療が進んでいるのに、死亡数が増えていることに注目を。手遅れにならないために、検診が大事です!
●卵巣がんの年齢別罹患率移
この2018年のデータでは、40代で急激に増加していますが、以前はもう少し年齢層が上の病気でした。40代、50代がピークのうえに若年齢化も気になるところです
がんが卵巣にとどまっている初期のうちに早期発見を!
卵巣はもともと小さく、親指大、うずらの卵ほどの大きさです。がんが進行すると卵巣は大きく腫れてお腹がふくれたり腹水がたまったりして、ようやく発見されることがほとんど。せめてがんが卵巣にとどまっている早期のうちに異常を発見したいものです。
1年に1回、腟から診る経腟超音波検査、血液検査で腫瘍マーカーCA125を調べてもらうのが理想です。卵巣のためだけに検診を受けるより、子宮がん検診と一緒に調べてもらいましょう。
●進行が早い卵巣がん
Ⅰ期
がんが卵巣内にとどまっている段階では、卵巣・卵管・子宮・リンパ節までの摘出手術に
Ⅱ期
がんがまだ骨盤内にとどまっている段階では、症状はないのですが、大がかりな手術に
Ⅲ期
下腹部のしこりやお腹のふくらみ、諸症状もあるのがこの段階。手術後に抗がん剤の治療も
Ⅳ期
血液やリンパに乗って離れた臓器に転移した場合は、抗がん剤や放射線治療になることも
排卵回数の多さはリスクに、ピルはリスクを軽減!
卵巣は排卵のたびに卵巣上皮が傷つけられ、損傷と修復を繰り返していますが、がんはこの過程で発生すると考えられています。
つまり、初経が早く閉経が遅い、しかも出産回数の少ない女性は、排卵回数が多くリスクが高いということに。
反対に、ピルで排卵を抑制していた人は、長期に服用しているほど、卵巣がんの危険度が下がることが証明されています。
●卵巣がんのリスク
- □ 40代以降である
- □ 閉経年齢が平均(50.5歳)より遅い
- □ 妊娠・出産歴がない、少ない
- □ 子宮体がん・乳がんの既往
- □ 子宮内膜症にかかっている
- □ チョコレート嚢胞がある
- □ 排卵誘発剤の使用
- □ 卵巣がん・乳がんの家族歴(HBOC)
お話を伺ったのは
対馬ルリ子さん
Ruriko Tsushima
1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。産婦人科医、医学博士。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。
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八田真理子さん
Mariko Hatta
産婦人科医。1998年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』 (アスコム) など。
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イラスト/かくたりかこ 構成・原文/蓮見則子