あかりさん(仮名) 50歳・専業主婦
【HISTORY】
■20代〜:生理は月に2回くることも多く、常に貧血ぎみ。PMSや生理痛に加えて、生理後はめまいや頭痛などの不調を感じていた
■45歳:転職してしばらくすると頭痛やめまい、耳鳴りや耳の痛み、腹痛などの不調が続き、退職
■46歳:内科を受診し、更年期の症状と判明。漢方薬の服用を開始
■48歳:生理周期が不安定になっていたため婦人科を受診
■50歳:閉経
40代半ばから体調が不安定に。今思えば、あれは更年期の不調でした
「40代半ばで転職し、1カ月ほどすると頭痛やめまい、耳鳴りや耳の痛み、腹痛などの不調が続きました。新しい職場が合わないストレスかも…と退職したのですが、今振り返ってみれば、あれが更年期症状の始まりでした」
そう話してくれたあかりさん。耳鳴りと耳の痛みは耳鼻科で「急性低音障害型感音難聴」と診断されました。さらにひと月ほど経つとホットフラッシュも加わり、気持ちが沈んで涙があふれることもあったそう。
「内科や耳鼻科などを受診しても1年以上原因がわからなかったので、『いったい私はどうしちゃったんだろう?』と不安でした。精神的なものだろうと思っていたので、まさか更年期とは思わず…。家事をする気になれない日も多かったので同居している母に甘えつつ、同時に家族への申し訳なさも感じていました」
ようやく内科で更年期の診断を受けたあと、内科医のすすめもあって婦人科を受診。不規則になっていた生理を服薬で起こしましたが、そこから1年以上生理がこず、50歳で閉経しました。
「閉経前の生理は、タオルを敷いて眠る人もいるほど“大爆発”して終わると聞いていたので、自然にフェードアウトできてホッとしました。友達は『女じゃなくなっちゃう』と言っていたけれど、私は生理前後も含めてほぼ1カ月調子が悪かったので、むしろ生理のわずらわしさから解放されて嬉しかったです」
漢方薬を服用中。パートナーの存在が大きな支えに
婦人科が遠方へ移転してしまったこともあり、現在は内科で処方される漢方薬の「五苓散(ごれいさん)」と「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」を服用中。
「体質に合わなかっただけかもしれませんが、姉が『HRT(ホルモン補充療法)はあまり効果を感じなかった』と言っていたので、私も漢方薬を飲み続ければいいかなと思っています。効果を感じるし、症状も落ち着いてきているので」
あかりさんにとって、いちばんつらかった症状はめまいと不安感。自宅を離れて買い物や運転をしていると、ふいに「ここで何かあったらどうしよう」と不安になることが多く、美容室の目の前まで行って引き返したこともあったそう。
「何かあったら嫌なので、夫とドライブに出かけても途中で帰ってきたり、友人との予定をキャンセルしたり。数年前に外出先で熱中症になった経験があるので、『迷惑をかけたくない』という思いが強いのかもしれません。実は、昨年まで友人のお店を手伝っていたのですが、やはり不安定な体調への不安から辞めることにしました」
不安を抱える日々の中で、大きな支えになっているのがパートナーの存在。
「最初の頃は原因がわからなかったので、夫も不安だったと思いますが、怒ったり責めたりすることもなく、私が弱って泣いているときも寄り添ってくれました。ドライブを途中で切り上げるときも、『わかったよ』と優しく対応してくれるんです。本当に感謝しているし、昔より仲良くなっているかも。彼に頼れることが、大きな安心になっています」
不安もあるけれど、仕事をしたい。忙しくしていたい
まだ少し不安な気持ちもありますが、あかりさんの心には「もう一度働きたい」という思いが芽生え始めています。
「先月、人と会う予定が多くて忙しく過ごしていたら、かなり調子がよかったんです。もしかして、私の場合は忙しくしていたほうがいいのかも?と思って。仕事をやってみたいという気持ちが強くなっています。実は、友達が闘病のためにフルタイムの仕事を辞めたのですが、単発でできる仕事にチャレンジしていて、その姿にも背中を押してもらいました。以前、保育園で働いていたので、子どもにかかわる仕事ができたらいいなと思っています」
年を重ねることについては、不安だけでなく楽しみも感じられるようになったそう。
「最近、よく尿もれパッドのCMを見かけるので、『自分もそのうち必要になるのかな…』と心配になる半面、身近にいる60歳以上のお姉さんたちがとても元気で生き生きしているのを見ると、年を重ねるのも楽しそうだなと思えるようになりました。そのためにも、更年期や更年期後のことをちゃんと知っていかなきゃと感じます」
イラスト/白ふくろう舎 取材・文/国分美由紀
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