小夜子さん(仮名) 54歳・理学療法士
【HISTORY】
■38歳:婦人科検診で子宮筋腫が見つかり、経過観察を開始
■45歳頃:生理周期が短くなり始める
■50歳:生理周期が定まらなくなる。漠然とした不安とホットフラッシュのような症状が現れ、HRT(ホルモン補充療法)を開始
■54歳:53歳のときの生理を最後に出血が1年間ないため、閉経と判断
始まりは突然の不安感。ホットフラッシュも感じて婦人科を受診
38歳で子宮筋腫が見つかったものの、生理の不調もなく、婦人科系のトラブルとはほとんど縁がなかった小夜子さん。コロナ禍で人と会う機会が激減した50歳の頃、思いがけない変化が起こりました。
「家でぼんやりしているときなどに、なんだか得体の知れないもわっとした不安感が出てきたんです。『私はどうしてこんなに不安なんだろう?』と自分なりに考えてみても、全然理由がわからなくて。当時は在宅勤務も増えていたので、環境の変化もあるのかな?とテレビを見るなどして気を紛らわせていましたが、次第にホットフラッシュのような症状まで現れ始めて…。全然暑くないし、体を動かしてもいないのに、いきなり体がカッと熱くなっては引くというのを繰り返すようになったので、これがいわゆるホットフラッシュなのかも!と婦人科を受診しました」
仕事柄、HRTの効果を感じていたため、血液検査後に即スタート
婦人科で血液検査をしたところ、数値が高いほど閉経が近いことを示す「FSH(卵胞刺激ホルモン)」の値が高く、女性ホルモン「エストロゲン」の量が減ってきていることが判明。医師と相談し、ホルモン補充療法(HRT)を開始しました。現在は、「ディビゲル」というジェルタイプの塗り薬と、「エフメノ」というプロゲステロン(黄体ホルモン)の飲み薬を続けています。
小夜子さんはもともと、更年期の症状が出てきたらHRTをやりたいと考えていたのだそう。
「仕事柄、学会などでHRTのことや『更年期症状は我慢するものではない』という話を聞いていましたし、HRTをしている方の症状緩和や骨密度の変化にまつわるデータも見ていて、効果があることは知っていました。さらに、乳がんのリスクも今はそこまで気にする必要がないという情報を知って、それならやってみたいと考えていたんです」
不安感、ホットフラッシュが治まった今は、ガラス工芸の習い事が楽しみ
HRTを開始してすぐに、漠然とした不安感やホットフラッシュが改善され、体調も症状も安定していると言います。
「以前に比べると、さまざまなことがおっくうになったり、時々手の関節に痛みがあったり、握力が低下したりと、加齢なのか更年期だからなのかわからない症状はありますが、これまで通り仕事はこなせているので様子を見ているところです。でも、友人たちと話していると、『更年期症状は我慢するもの』と思い込み、HRTでホルモン剤を使う=特別なことだと考える人が多いんです。まだまだ日本では正しい情報が知られていないんだなと感じます。私自身はHRTを始めてすぐにホットフラッシュが治まり、その効果を実感できているので、自信を持っておすすめしたいですね。劇的な変化というわけではありませんが、乾燥肌も落ち着いている感じがします」
日々の食事で食物繊維やさまざまな種類の乳酸菌をとるよう心がけている小夜子さん。最近は休日に通うガラス工芸教室が楽しみのひとつだと言います。
「無理のない範囲で外出する楽しみとして、習い事を始めました。1年ちょっと続けていますが、当時はなんとなく出かけるのがおっくうな時期だったので、毎週通うのは精神的に負担になると思ってチケット制の教室を探しました。今は、月に1〜2回のペースで箸置きやアクセサリーを作って楽しんでいます。コロナ禍の影響でジム通いをやめてから体力が落ちているので、運動も再開したいなと考えているところです」
イラスト/白ふくろう舎 取材・文/国分美由紀
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