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【更年期】強い痛みと冷え、そしてネガティブ思考に悩まされ…。始めたのは体力作り。<真紀子さん(57歳・教育関連)の場合。>

50代になり、体の痛みや冷えを感じてHRTを開始。ところが、あまり効果を感じられなかったという真紀子さん。自転車とヨガに出会い、筋肉を取り戻すことで体調がよくなってきたのだそう。100人いれば100通りといわれる更年期の不調。OurAge読者の皆さんの更年期体験を聞いてみました。

真紀子さん(仮名) 57歳・教育関連

 

【HISTORY】

■30歳:不妊治療の過程で左卵巣嚢腫が判明し、腹腔鏡化下手術

■47歳:右卵巣腫瘍と子宮腺筋症が判明し、子宮と右卵巣を摘出

■50歳:関節など体の痛みを感じるようになる

■52歳:体の痛みが悪化し、気持ちも落ち込みがちに。顎関節症も悪化。婦人科で血液検査を受け、HRTを開始

■54歳:HRTをやめ、YouTubeを見ながら独学でヨガや筋トレを開始

 

50代になり、体中がきしむような痛みに悩まされる

真紀子さんが今までにない不調を感じ始めたのは50歳の頃。関節など体のあちこちが痛み出し、2年後には風が吹いても痛むほどに悪化。それまで無縁だった冷えにも悩まされるように。

 

「関節はもちろん、太ももや二の腕、お尻など普段は痛くならないようなところが、ミシミシときしむような痛みがありました。冷えは足首と腰に部分的に感じるようになり、ひどいときはまるで冷却シートを貼っているような冷たさを感じるんです。夜はショーツの中にさらにインナーを入れないと冷えて寝つけないほどでした」

体の痛みを感じる女性

 

婦人科で血液検査を受けた結果、医師から「今まさに更年期。数値的にガクンと落ちたところです」と告げられ、HRT(ホルモン補充療法)を開始。ところが、HRTを始めても痛みに変化はありませんでした。

 

「病院の先生にもお伝えしましたが、『数値が安定するまでもうちょっと続けてみたら』と、痛みの訴えよりも数字で判断されてしまって。言われるまま2年ほど続けましたが、痛みは改善されず、原因もわからないまま。ちょうどコロナ禍で病院へ行くのも怖くなり、自然に足が遠のいて治療をやめたら、突然やめたのがよくなかったのか痛みがさらにひどくなり、気持ちもうつっぽくなってしまったんです」

コロナ禍には、メンタルもどんどんネガティブに…

 

コロナ禍のストレスも重なったのか、生まれて初めて「仕事に行きたくない。このままずっと寝ていたい」と思うことが増え、そんな自分に焦りを感じたといいます。

 

「もともとマルチタスクが得意で疲れ知らずだったのに、『気が滅入る』という言葉がぴったりの日々でした。疲れ果てて床に倒れ込んだまま腕ひとつ動かせなくなってしまい、息子に起こしてもらうことも度々ありました。元気を取り戻せなくなるんじゃないか、もっと悪くなって起き上がれなくなるんじゃないか、収入が途絶えてしまうかもしれない…とどんどんネガティブ思考になって追い込まれる感じがしんどかったですね」

病院を受診し、整体にも毎月通い、「この不調が悪い病気ではないことはわかっていた」真紀子さんは、運動をして筋肉をつけることを決意。

 

「48歳で離婚したときに精神的なストレスから食べられなくなって10kgほど痩せてしまい、体力や筋力が落ちていたことも原因ではないかと思ったので、とにかく何でもいいから体を動かして筋肉を取り戻そうと決めました」

 

自転車と出会い、体調も好転。今では80㎞走ることも

早速、自宅でYouTubeを見ながらヨガや筋トレをスタート。2年近く継続するも痛みは改善されず、筋肉がついた実感もなし。そんなとき、心ときめく出会いが訪れました。

 

「自転車が壊れたので買い替えようと立ち寄った自転車店に、クロスバイクがあったんです。すごく素敵で、乗れるかどうか考える前に購入していました。最初は全然走れなかったけれど、徐々に距離を伸ばして往復60km走ったときはさすがに疲れて寝込みましたが(笑)、1年後に『ロードバイクならもっと遠くへ行けるかも』と思ったのでロードバイクを購入しました。休日は40〜80kmぐらい走っています。走ることに意識がいく分、何も考えずにいられるし、走っているときの風が最高に気持ちいいんです」

クロスバイクに乗る女性

自転車をより楽しむためのツールとして始めたInstagramで、もうひとつの出会いに恵まれました。

 

「Instagramで知ったヨガの先生のオンラインレッスンに参加して、楽しみながらコツコツ参加していたら、体がどんどん変わっていったんです。そして、ヨガの先生に痛みのことや自分の話を聞いてもらううちに、初めて自分の胸の内を話すことができたんです。振り返ってみると、仕事では責任者として相手の話を聞くことが多くて、どんなにつらくても自分の話を聞いてもらえる場がなかったんですよね。それに今まで『できるか、できないか』ばかり考えてきたので、先生に『自分がやりたいか、やりたくないかを考えてみて』と言われてハッとしたし、心がすごく楽になりましたね」

 

レッスンに参加して1年ほどたった2023年には、うれしい実感もありました。

 

「気がついたら痛みがほとんどなくなってきて、“不調を卒業したかも…”と思えました。痛みがゼロになったわけではないけれど、正しく動かせば体は変わると自信がついたし、少しずつでも続けていればきっと大丈夫。そう思えるようになりました」

 

イラスト/白ふくろう舎 取材・文/国分美由紀

 

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