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乾いて硬くなる外陰部の保湿には、この植物油だけで良い。 老けないための「更年期から始めるシニアケア」

吉川千明

吉川千明

1959年生まれ

美容家、オーガニックスペシャリスト

自然や植物の力に着目し、オーガニックコスメをはじめ、スパ、漢方、食にいたるまで、ナチュラルで美しいライフスタイルを提案

オーガニックビューティの第一人者として知られる

 

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更年期からアフター更年期にかけての悩みのひとつ、デリケートゾーンのケア。乾燥対策には、何を使ったら良いでしょうか。

老化とは、痛めること。
傷つけないことが、老化予防につながります。

更年期からのシニアケア

 

今日は、日本全国どこにいても、誰にでもできる外陰部の保湿について書きました。前回書いた「基本の洗い方」と共に、これからの日常習慣にぜひ、取り入れてみてください。

 

外陰部の状況は、今までの自分じゃない!

女性ホルモンのエストロゲンは、女性の皮膚、粘膜の潤いを保っています。40代に入り、更年期に突入。閉経を経て、やがて老年期へと続きます。外陰部の皮膚、粘膜はますます薄くなり、弾力も潤いもなくなります。守る力がなくなり、摩擦や異物に弱く、乾燥から硬くなった外陰部が下着に絡んだり、モソモソイガイガ感が続いたり、大変不快に感じます。

 

関係ない人はいないはず。60代以降はどうなるか?

エストロゲンの枯渇は、元には、昔には戻りません。

50、60、70代へと乾燥と菲薄化(ひはくか)が進む外陰部は、歩くだけでも股ずれが起こって痛いはずです。血まみれになることもあります。高齢者が小股で歩くのは、関節の問題だけではありません。

 

外陰部の保湿に必要なのはシンプルな処方

通常、化粧品を作るには、水もの、いわゆる水溶性成分と、油もの、いわゆる油溶性成分を乳化剤で混ぜ、腐敗しないように防腐剤を使います。さらに、原材料の数が増えてくると処方の見た目は豪華になりますが、デリケートゾーンは顔やボディ以上に繊細な場所です。皮膚と粘膜が混在している外陰部に、たくさんのものが本当に必要でしょうか。疑問に思うことがよくあります。

 

 

外陰部の保湿に使うのはシンプルな植物油

私は、こと外陰部の保湿、デリケートゾーンの保湿には、シンプルに「植物油」をおすすめしたいと思います。乳化剤も必要なく、水を使っていないので腐りません。防腐剤も必要ありません。「Less is more」です。オイルの欠点である「酸化」に強い、安定性の良いオイルを選ぶことが大事ですが、外陰部に必要な「保湿」「硬くしない」「守る」ということを目的にオイルにたどりつきました。

 

オイル

 

オイルには、エモリエント効果があります。

オイルには、皮膚、粘膜に保護膜を作ることで、柔軟性を保ち、乾燥やひび割れから防ぐ働きがあります。柔らかくしてくれる、「エモリエント効果」がオイルの身上です。これはとても大事なことだと思います。

 

ショーツを履く前に外陰部に広くひと塗り。尿道口〜肛門まで

ご自分の外陰部を見たり、どうなっているのか、よく触れたことがない方もいらっしゃるでしょう。

 

お手入れなど、今まで何もしてこなかった方がほとんどだと思います。それでもこれくらいはできるでしょう!

 

まずはオイルをワンプッシュ手のひらに取り、尿道口から肛門まで、広くひと塗り。擦らずに軽く馴染ませましょう。肛門もお忘れなく。マッサージも良いですが、まずは、欲張らず、お風呂上がりに「塗る」習慣をつけましょう。

 

外陰部に、私の一番のおすすめ植物油は、ホホバ(jojoba)油。

アメリカ南西部からメキシコ北部の乾燥地帯で採取されてきたホホバの実は、形がコーヒー豆によく似ています。この実から黄金色のオイルを採取します。実は、正確にいうとオイルではなくて「ワックスエステル」と呼ばれる、液体ワックス、液体のロウなのです。

 

歴史のある植物で、先住民族たちを日焼けや乾燥から守り、傷の治療にも使ってきた植物です。刺激が少なく、皮膚への浸透もよく、ひび割れや赤ちゃんのおむつかぶれなどにも使われます。安定性がよく、酸化しにくいのが特徴です。高温高熱にも強く、しかも通常の室内で固まることもありません。

 

ワックスエステルは、私達、人の肌や毛髪、角膜など表層に存在し、外的ストレスから表層を守っている成分です。ベタつかず、さらりとして、色はやや黄色ですが、匂いもほとんどなく、外陰部のケアに最適なオイルと思います。質の良い、出元の確かなホホバ油を選び、まずはそれだけでお使いください。

 

ホホバの実

写真は、ホホバの果実。この小さな実がとても有益です。

 

ホホバオイル

写真は、私が使っているホホバ油。

左は日本の会社「サンナチュラルズ」のプレミアムホホバ。世界で最も歴史あるアリゾナのホホバ農園のK E I K O種という品種を採用。無香料。
右は、43年の歴史あるイギリスのブランド「ニールズヤードレメディーズ」のホホバ油。イギリスのオーガニック認証を取得。サラリとしていて使いやすい。無香料

 

こんな植物油もおすすめ。アフリカのシアバター

アフリカの人達を乾燥や荒れから助けてきたシアの木の実から搾油されるシアバターも安定性がよく、外陰部の保湿におすすめです。肌を柔らかく保ってくれます。ただし、融点が高く、少し寒いとバターのように固まってしまい、少々、使いずらいのが欠点です。使う時には、まさにバターのようにカットして、手のひらで溶かしてから使ってください。

シアの実
写真はシアの実とシアバター。固まっていますが、人肌で溶けます。

 

シンプルがもたらす恩恵は多い

前回のコラムで書かせていただきました。外陰部は専用のもので優しく洗うこと。

そして、お風呂やシャワーを出たら、ショーツを履く前にオイルを塗る。これだけです!ホホバやシアバターでしたら、ほとんど色も付きませんし、水が入っていないので、ショーツを濡らし、冷やっとすることもありません。

 

それでも乾燥や刺激が気になるなら、局所のホルモン補充もおすすめ。

基本のシンプルオイルケアはそのままでお続けください。
焦って、あれやこれやとしないことです。
その代わり、産婦人科での治療も上手に利用してください。

乾燥や刺激の大元は、女性ホルモンの減少です。外陰部や膣の乾燥、萎縮予防を目的に、膣周りだけに効かせる女性ホルモンがあります。

 

「エストリール」または「ホーリン」という販売名、お薬名で呼ばれる穏やかな女性ホルモンの膣剤です。とてもポピュラーなもので、たくさんの女性が利用しています。ご高齢の方も利用しています。ご病気で、全身の女性ホルモン補充ができない方でも、使うことができます。薬価も安く、家計も圧迫しません!処方薬ですので、診察して出してもらってくださいね。

 

女性ホルモンが配合されたクリーム状の薬もあります。本日のオイルのように、家でするセルフケアにプラスして、産婦人科の治療というのもとても有益です。自分のためになることを総動員するのです。とにかく、今後は、老年期に向けて、今からコンディションよくしておくことが大切です。

 

これからはインティメイトな時間を持ちましょう

私は植物ケアが好きです。それは人工物とは違う、なまめかしさと生命力、そして効果を感じるからです。

 

私たちの体がいきなり20代に戻ることはありません。

 

それでも、本日のデリケートゾーンのように手入れしていくと、少しずつ滑らかに、傷つきにくくなっていきます。黒ずみだって和らぎます。手入れされた美しさが現れてきます。年齢が進んでいくほど自分と対峙するインティメイトな時間、親密な時間が大切になります。誰に言う必要もありません。私自身は、ますます、この時間を大事にしたいと思っています。

 

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