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【更年期の漢方】咳やのどのつまり、疲れ、シミが気になったA子さんを公開 漢方カウンセリング!進め方と結果は?

樫出恒代

樫出恒代

漢方薬剤師・漢方ライフクリエーター。漢方カウンセリングルームKaon代表。Kaon漢方アカデミー代表。新潟薬科大学薬学部卒業後、一人ひとりのこころとからだにていねいに向き合う漢方カウンセリングを提唱。連載の味わいあるイラストは、本人によるもの。
美容家吉川千明氏との共著に「内側からキレイを引き出す 美肌漢方塾」(小学館)
OurAgeインタビュー「信じていなかった漢方の力に救われて、この道を究め続ける薬剤師」はこちら

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漢方薬剤師の樫出恒代さんが、漢方セミナーで公開漢方カウンセリングを実施。患者役を買って出てくれたA子さんの一番つらいこと(主訴)を確認した後、参加者からA子さんに様々な質問が投げかけられ…症状や問題が浮き彫りに。樫出さんの舌診(ぜっしん)と腹診を経て出された診断は? 「半夏厚朴湯」と「双参」が選ばれた理由は?

更年期世代中心の漢方セミナーのなかで、一般のA子さんの漢方カウンセリングを敢行!

先日、女性のための漢方セミナーの中で、「公開!漢方カウンセリングライブ」というコーナーをつくって実際のカウンセリングを皆さんの前でやってみました!

参加者は全て女性。平均年齢は50歳くらい。まさに更年期世代が多いセミナーでした。

 

30人近い参加者の前に出て、赤裸々にご自分のことを語ってくれたカウンセリングのモデルA子さん。
「漢方はクリニックでもらったことがあるけど、あんまり効果は感じなかった」。
「漢方的な〈舌診(ぜっしん)や腹診(ふくしん)〉やカウンセリングは初めて」なので、興味しんしんです!と言ってくださり、カウンセリングモデル役を快諾してくださいました。

 

痰や咳、のどのつまりなど…まずはA子さんが一番つらいことを確認します。

まずは、A子さんにいちばんつらい症状をお聞きします。

「痰がでたり喉にひっかかるような感じになり、喉がつまるような感じもして、時々咳もでるんです。仕事中に咳するのもいやなので、それがいちばん氣になります」

もちろん、もっと他にもお悩みの症状はあると思うのですが、大事なのは
[今、いちばんつらいこと]を共有することです。

参加者も加わって、A子さんの体調や問題点・お悩みをひもといていきます。

そして、ここからが公開カウンセリングライブ。参加者の方々にも質問していただきます。

「お通じはいかがでしょうか?」
「睡眠はどうですか?」
「お仕事はデスクワークですか?」
「何かストレスは感じますか?」
「冷え症ですか?」
「何か運動していますか?」

などなど、みなさんも興味しんしんで、たくさんの質問をしてくださいました。

 

 

最後に「舌診(ぜっしん)」と「腹診(ふくしん)」で診断します。

カウンセリング中に「舌診(ぜっしん)」<漢方では舌をみることで心身の様子がわかる>もしました。

漢方の舌診
A子さんはサービス精神旺盛で大きく口をあけて、舌を👅べーっと皆さんにむけて出してくださいました。
舌の裏も血液の滞りをみるために大切で、裏もしっかり見せてくださいました。

 

そして、すわったままでもできる「腹診(ふくしん)」<日本漢方でよく用いられる身体の見方>も。これは私が触らせていただきました。

 

A子さんの漢方カウンセリングは30分くらいで終わりました。

 

30分の漢方カウンセリングで見えてきたA子さんの問題点

参加者のみなさんからの質問にも、A子さんは真摯にこたえてくださり、このようなことがわかりました。

 

主訴(いちばん氣になる症状)は痰や咳、のどのつまりとのことでしたが、そのほかに気になる点があります。

 

主訴以外の気になる点

・夕食をつくっていると、食べたくなくなることがあり、そのまま食べないこともある。
・毎日ではないが、夜10:00くらいに寝て朝7:00くらいに起きるが疲れが抜けない。
・休みの日はだらだらしてることが多い。
・ストレスは会社の上司(でも、仕方ない)。
・お顔のシミが濃くなってきたのが氣になる。

 

舌診では

薄紫色の苔があり、震えている。
出し方に力がない。
→漢方的には氣の不足や滞り、疲れなどを意味します。

 

舌の裏をみると、舌下静脈がぷっくり盛り上がっている。
→漢方的には瘀血(血液の滞り)を意味します。

 

腹診では

漢方の腹診。みぞおち部分

みぞおちあたりに圧痛があり、氣の流れ滞りと胃腸の疲れがある。

漢方の腹診。おへその下あたり

お腹の下のところに力がない。
→小腹不仁(しょうふくふじん)といい、氣の不足や老化を意味する。

 

A子さんの体は、胃腸の弱りとともに氣が滞り、また足りなくなっている状態

このようなことから

A子さんは
【胃腸の弱りとともに、氣が滞り、また足りなくなっている状態】

と考えられると判断しました。

 

喉の違和感は漢方では<梅核氣(ばいかくき)>といい、まるで、梅の種(核)が詰まったような氣がすることからそのように言われます。
これは「氣滞」という症状。
氣がうまく流れなくなり、喉のあたりにとどまっているイメージ。痰がともなうこともあります。これは風邪ではなく、身体の中の「水」も動かなくなり、うまくさばけなくなっているためになる場合があります。

 

夕食を食べなくてもいいこともあったり、長く寝てはいても、疲れが抜けない。
休日もあまり出かけたくない。
肩こり、頭痛もあり、会社でのストレスもある。

A子さんには、血液が滞っている[瘀血]もあるため、肩こりやシミが濃くなることもあるのだけど、それの大元になっているのは「氣虚」「氣滞」
要するに氣が足りなくなりうまく巡らないのが原因なのですよ、とお話ししたら顔がパァーと明るくなって。

 

「やっぱりそうなんだー。納得です」と。^_^

 

氣が足りないから、やりたいこともできず、ぐずぐずしてるんだ、

本当は以前やっていたヨガをはじめたいと思っていたんですよ、でもできなくて…。
なんか、そんな自分がだめだと思って…。

と、おっしゃっていました。

 

「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」と「双参(そうじん)」を飲んでいただいた結果は?

漢方薬は

「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」
半夏は氣を下げてくれてつまりをとってくれる。
漢方の精神安定剤とも言われる、逆流性胃腸炎などにも使える漢方薬です。

 

もうひとつ、
「双参(そうじん)」
深部体温を約0.5度あげてくれるため、胃腸の働きをよくして、自律神経〈氣のめぐり〉のバランスをとってくれる。

こちらを一緒に飲んでいただくことにしました。

 

その後、「とても美味しくいただけます」とのことで、5日くらいで、喉の詰まり感はほとんど無くなり、喉の咳については咳き込むことはなく、ちょっとむせる感じがたまーに、くらいになりました。と、ご報告いただきました。
そして、やりたかったヨガを再開した、と嬉しいご報告をいただきました。

 

本当によかったです。

 

漢方では一カ所だけをみるのではなく
「人をまるごとみる」

A子さんが、本来の自分をとりもどしてくれて、やりたいことを思いっきりやってほしい。

 

更年期には、さまざまな症状が出やすいけれど、必ず乗り越えられます。
そのために、氣をしっかり増やして、血水を動かし、自分らしく生きていきましょうね^_^

 

 

注:漢方薬については
漢方専門の医師や漢方薬剤師
漢方アドバイザーなどにご相談・
カウンセリングの上お飲みください。

 

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