漢方薬剤師・漢方ライフクリエーターの樫出恒代です。
春から夏にむけて、薄着になってくるとやっぱり氣になる身体のこと。
「や、せ、た、い!」、「更年期になったら、とたんに痩せにくくなって毎年毎年、体重が増えてきて…」という声をよく聞きますし、「更年期って太りやすくなりますか?」と聞かれることも多いです。
漢方薬はやせ薬ではありません
確かに、更年期は脂質代謝をコントロールする働きがある女性ホルモン(エストロゲン)が急に減るため、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪が増加しやすく、太りやすくなる傾向が。
そこで、早くなんとかしたい、痩せたい…と、ネットで「すぐに○○キロダウン↓」「必ずやせる!」「すっきり」「どかん」などの言葉に惹かれて、「漢方なら安心」と飲んでいる方も多くいらっしゃるようです。
例えば、「防風通聖散」(ぼうふうつうしょうさん)という漢方薬。ダイエット漢方として有名なのですが…。これは【やせ薬】ではありません。
記載されている効能について〈添付分書〉には、
体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症
と記されています。
ということは、体力があまりない、疲れやすい、 冷え症、お腹がはりやすい、下痢しやすいという方にはおすすめできない漢方薬なのです。
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漢方はトータルで、ホリスティックに身体を整える
漢方薬も副作用はあります。
ダイエットに良いとネットで話題になっていて、効きそうだからと飲んでみて、一時的に便通がよくなり体重が落ちる方もいらっしゃいますが、
実は体調はあまり良くなくて、だるくなり、疲れやすくなり…という方も多いのです。
体重が少し減っても、体調が悪化しては何にもならない。特に更年期の女性は健康的に! きれいに! やせなきゃ。
「じゃあどうしたらいいの?」。それを知るために、まずは自分に聞いてみてください。
私は本当に痩せるべき?
では、どのくらい痩せたいの?
何㎏落としたらいいの?
どんな体型になりたいの?
なんのためにやせたいの?
そして、漢方の場合大切なことは、今の体調でつらいところはないか?ということ。
痛みがある
眠れない
眠りの質が悪い
氣力が出ない
うつっぽくなる
考えループに入りやすい
イライラが止まらない
など。
心と身体のバランスがとれているか、トータルで、ホリスティックに、その人をまるごと見て整えていくことができるのが漢方です。整うことで、やせるのです。
無理をせず、心地よく、我慢せず。そこを目指して、漢方の力も借りてくださいね!
やせることが目的ではなくても、体調を整えること、不調がなくなることでいつのまにか、自分の理想体重になることも多いのです。
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やせたいときに、身体を整えてくれる漢方薬
漢方薬は体質によって選びますので、ここでご紹介する漢方薬はあくまで参考までに。まずは漢方カウンセリングで自分の体質を知ることをおすすめします。
<ストレス太り>は、氣を整えてやせる
・リバウンドしがち
・ついつい食べてしまう
・袋のお菓子は一袋あけてしまう
・お腹が空いてないのに何か食べたくなる
・イライラする、モヤモヤする
●四逆散(しぎゃくさん)
氣持ちを晴れ晴れさせる、氣の巡りをよくする、など。眠りの質が悪い方や、もやもやする方。
●柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
胸の下のところが詰まる感じがする、イライラしやすい方に。
●桃核承氣湯(とうかくじょうきとう)
体力があり、冷えのぼせの症状やホルモンバランスの乱れがある方、便秘の方に。
<冷え太り>は、血をうまく流してやせる
・いつもからだが冷えている
・冷房が苦手
・冷えるとむくむ
・疲れやすい
・あまり食べなくても太りやすい
●当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
冷えてむくみやすい、疲れやすい、お腹が痛くなるなどの症状に。
<水太り>は、いらない水分を調整する
・むくみやすい
・水分を摂りすぎる傾向がある
・甘いものが好き
・お酒が好き
・身体がだるくなる
●防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
むくみやすく、疲れやすい、汗をかくと肌がぺたぺたする、関節の痛みがある方に。
●五苓散(ごれいさん)
むくみ・頭痛・二日酔い・熱中症などにも使う漢方。
更年期以降、簡単に、急にやせようとするのは危険
身体と心を整えてやせるためには、やはり運動と食事は何より大事です。
先日も漢方カウンセリングにいらした方が、「漢方に加えて夜の食事を早めにしただけで3㎏やせた!」と、すっきりした顔で話されていました。
朝お腹が空いてしっかり朝食を食べる。お昼も適量をいただき、夕食は午後8時までに軽く食べる。その後は12時間空けてから朝の食事をとりましょう。内臓がしっかり休めるので、やせやすくなります。
簡単にやせるのは危険です。更年期以降、急にやせたら「あら!病氣?」と思われがちですよね(笑)。
自分のベストを探して、心地よく、軽やかに漢方ダイエットを始めましょう!
注:漢方薬については、漢方専門の医師や薬剤師、漢方アドバイザーなどにご相談・カウンセリングの上お飲みください。
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