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閉経したら起こること/閉経ビフォーアフター

今回は、知っておきたい、閉経前後に起こりうる症状についてご紹介していきます。婦人科医の松峯寿美先生と寺内公一先生に詳しく解説していただきました。

 

松峯寿美さん Hisami Matsumine
1970年、東京女子医科大学卒業。
東京女子医科大学病院に〝不妊外来〞を創設。
その後がん研究会病院勤務を経て、
’80年、東京・木場に東峯婦人クリニックを開院

 

寺内公一さん Masakazu Terauchi
1994年、東京医科歯科大学医学部卒業。
2003年、医学博士。’05年、米国エモリー大学リサーチフェロー。
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科女性健康医学講座教授

 

 

起こること01

不正出血

月経周期が不規則になるのは、卵巣の機能が低下してきたサインです。月経量の増減のほか、不正出血が起こる人も。そして月経が止まり、1年以上が過ぎると閉経と診断されます。閉経前後の不正出血には子宮や卵巣の病気が隠れていることもあるので、念のため婦人科で検査を受けましょう。(松峯先生)

 

 

起こること02

乾燥

エストロゲンが減少するとコラーゲンが産生されなくなり、皮膚や粘膜の潤いや弾力を保つ機能が衰え、乾燥しやすくなります。その結果、皮膚、目、口の中、腟や外陰部など、体のさまざまな場所が乾燥。かゆみが出たり、傷つきやすい状態になったりします。まれに自己免疫疾患のシェーグレン症候群である場合もあるため、症状がひどい場合はリウマチ膠原病 (こうげんびょう)内科で診察を。(松峰先生)

 

 

起こること03

血管運動神経症状

閉経が近づくとエストロゲンの分泌量が増減して自律神経の働きが乱れ、ほてりやのぼせ、多汗、動悸などの血管運動神経症状が出やすくなります。代表的なものに、暑くもないのに顔や胸、背中など、上半身がカーッと熱くなり、汗が噴き出すホットフラッシュがあります。また下腹部だけが冷たくなったり、血管が収縮することで血行が悪くなり、体が冷えやすくなる人もいます。(松峯先生)

 

 

起こること04

肩・腰・関節の痛み

エストロゲンには、コラーゲンを増やして関節の動きを滑らかにする潤滑油のような働きがあります。よって閉経して女性ホルモンの分泌が止まると、手足の関節の動きが悪くなったり、肩や腰に痛みが出たりすることも。また、エストロゲンには免疫を安定させる働きもあるため、閉経後は自己免疫疾患であるリウマチの発症リスクがアップします。気になる人は血液検査を受けましょう。(松峯先生)

 

 

起こること05

胃腸障害

胃もたれ、食欲不振、下痢、便秘など、胃腸障害の症状は、エストロゲンの分泌が減り、自律神経が乱れることで起こります。ただし年齢とともに胃腸も弱くなり、消化力も落ちてくるため、必ずしも女性ホルモンだけが原因とはいえません。不調を我慢せず、早めに診察を受けることが大切です。(松峯先生)

 

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起こること06

生殖器系症状

エストロゲンの分泌が減り、腟内の分泌物が少なくなって乾燥すると、自浄作用が弱まり、腟や外陰部に細菌が繁殖。炎症を起こしやすい状態になります。かゆみ、痛み、嫌なにおいのおりもの、腟の違和感、不正出血などがある場合は、萎縮性腟炎や萎縮性外陰炎を起こしていることも。また骨盤底筋もエストロゲンの減少とともに衰えていくため、尿もれや頻尿なども起こりやすくなります。(松峯先生)

 

起こること07

骨密度の低下

私たちの骨は、新陳代謝を繰り返して毎日生まれ変わっています。破骨細胞によって骨が壊され、骨芽細胞によって骨がつくられるというメカニズムがありますが、エストロゲンの分泌が低下するとこのバランスがくずれ、骨量も減少してしまいます。骨粗しょう症を予防するためにも、食事と運動に気を配り、骨量のアップを目指すことが大切です。(松峯先生)

 

 

起こること08

うつ・睡眠障害

エストロゲンが減少して自律神経が乱れると、幸福感をもたらす脳内物質β-エンドルフィンが減少し、気持ちの落ち込みや不安感にとらわれがちに。精神疾患のうつ病ではなく女性ホルモンの欠乏が原因の場合は、ホルモン補充療法(HRT)で改善することが多いです。またエストロゲンの減少に伴い、セロトニンやメラトニンなどの脳内物質の分泌量も減少。その影響で睡眠の質が落ちることがあります。(松峯先生)

 

 

起こること09

記憶力の低下

加齢以外に、エストロゲンの減少も記憶力の低下に影響。エストロゲンには脳の血流を増やす働きがあるほか、脳を活性化させる神経伝達物質・アセチルコリンの合成に必要な酵素を刺激する働きがあります。そのため閉経後は「物忘れしやすくなった」「記憶力が落ちた」と感じる人が多くなるのです。ただ、まれに認知症の初期症状であることもあるので、日常生活に支障が出るような場合は、念のため医師の診察を受けておくと安心です。(松峯先生)

 

 

 

次回からは、閉経後の6つのトラブルの対処法をご紹介していきます。

 

 

撮影/伊島 薫 ヘア&メイク/Yoboon モデル/田村翔子 スタイリスト/安野ともこ(CORAZON) 取材・原文/上田恵子

 

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