閉経後のさまざまな症状には、どう対処していけばいいのでしょう?
特に気になる6つのトラブルについて聞きました。
松峯寿美さん Hisami Matsumine
1970年、東京女子医科大学卒業。
東京女子医科大学病院に〝不妊外来〞を創設。
その後がん研究会病院勤務を経て、
’80年、東京・木場に東峯婦人クリニックを開院
[膣ケア]
局所的に効く腟座薬
閉経後は腟の内部が乾燥しやすくなり、ひりひりする痛みやかゆみ、においなどが気になるように。これは腟内に存在するデーデルライン桿菌がいなくなったのが原因です。デーデルライン桿菌のえさはエストロゲン。エストロゲンの分泌が止まると常在菌のバランスがくずれ、腟内の乾燥や腟炎を起こしやすくなるほか、コラーゲンが減ると腟の弾力やハリも失われていきます。対策としては、副作用がほとんどなく局所的に効く腟座薬(エストロゲン)が有効です。(松峯先生)
弾力を取り戻すオイルマッサージ
外陰部を洗う際は、皮脂膜をとりすぎない低刺激の洗浄剤を使いましょう。また腟まわりにも使える植物性オイルや保湿クリームで、外陰部を保湿するのもいいですね。皮脂の分泌がなくなった部分に少量のオイルやクリームを薄くのばしてつけると、外陰部の乾燥や萎縮を防ぎ、同時に細菌などの侵入を防ぐことができます。また、ゆっくりマッサージすることで、弾力も取り戻せます。(松峯先生)
60~70代の腟まわりは、皮膚が薄くなり乾燥しがちに。腟口も緩んできます。
閉経後はエストロゲンの欠乏がもとで、萎縮性外陰炎や萎縮性腟炎を起こすことも。
また処女膜のヒダは徐々に薄くなり、腟口の周辺にわずかに残る程度になります
Vラインや脇、乳首などのデリケートゾ ーン専用の保湿&美白クリーム。
オリーブオイルから抽出した自然原料がベース。
アンティーム ホワイトクリーム。
東峯婦人クリニックやインターネットで購入可能。
使い方は来院して相談を。
[体の乾き]
肌も内臓も潤うために水が必要
膀胱や尿道の粘膜は、加齢とともに萎縮して薄くなります。尿意を感じやすくなって頻尿になりますが、水分をとらないのは逆効果。水分が足りないと臓器がしぼんだままになって、さらに頻尿に。むしろたくさん水を飲んでトイレを我慢し、膀胱を大きくして、ためる訓練をすることが大切です。膀胱炎になりやすい人はつねに膀胱内をきれいにしておく必要があるので、水分をしっかりとる→トイレに行く、を意識して。(松峯先生)
特に注意は、目、口、腟の乾燥
注意すべき乾燥は3つ。ドライアイ(目の乾き)、ドライマウス(口の乾き)、ドライバジャイナ(腟の乾き)。なかでもドライバジャイナは性交痛の原因になるほか、出血する人も。腟ケアで潤いを与えたり、性交時に専用のローションを使ったりしながらQOLを上げていきましょう。また普段から体を温め、水分補給をすることも乾燥の予防に。ローションの使用はハードルが高いという人は、お風呂につかることや水分をこまめにとることから始めてみては?(松峯先生)
次回は、[骨盤底筋]の衰えによるトラブルの対処法についてご紹介します。
撮影/伊島 薫 ヘア&メイク/Yoboon モデル/田村翔子 スタイリスト/安野ともこ(CORAZON) 取材・原文/上田恵子