2人に1人は経験するといわれる腟のトラブル。でも、毎日のお手入れで腟は変化し、トラブルも回避できます。
フェムゾーンの衰えが引き起こす「3大悩み」とは?
1骨盤底の機能低下による尿もれ・頻尿・再発性膀胱炎
半分以上の人が経験する尿もれ、そして頻尿、膀胱炎を繰り返す人も。老年期にはトイレに駆け込む際に転倒し、寝たきりになることも。
2乾燥による外陰部の痛み・かゆみ
女性ホルモンの減少により、粘膜が乾燥しはじめると起こるトラブル。腟の中だけでなく、まわりも乾燥しはじめるので、外陰部の保湿も大切です。
3腟萎縮と乾燥による性交痛
日本人女性はセックスレスの割合が高く、性交痛を感じている人の割合は少ないとされますが、腟の乾燥や萎縮による痛みでレスになっている場合も。
まずは腟の部位と名前をチェック
●クリトリス(陰核)
包皮は自分でむくことが可能。中は小指から中指頭サイズでふっくらしているとよい
●小陰唇
最大幅は1㎝から4㎝くらいで個人差があります。しっとりとしているとよい
●腟口
老化してくると、ここが開いて奥が見えるようになります
腟の萎縮と乾燥を予防するには?
「骨盤底を守るには、おもに運動と保湿が大切。運動とは骨盤底筋を意識して動かすこと。お風呂で腟の中に指を入れて、腟を持ち上げるように締めてみてください。
指が引き上げられれば正しく動かせています。骨盤底を動かし、毎日トレーニングすることで骨盤底筋の筋力アップに。腟の血流改善にもつながります。
また、保湿は保湿剤を使って腟まわりのケアを。気づいたときからスタートすることで改善されます」(関口由紀先生)
腟内のこりと乾燥を防ぐマッサージのコツは?
「お風呂上がりの清潔な状態で保湿剤をクリトリス部分から腟まわりまで塗ります。腟に指を第二関節ぐらいまで入れて内側を360°プッシュし、こりがあれば優しくほぐします。
次に肛門付近をマッサージ、小陰唇、大陰唇へと続けます。腟まわりはつねに柔らかさを保つと腟萎縮の防止にも」。
●女性ホルモン入りオイルで腟ケア
「毎日のマッサージに使うオイルに加えたいアディショナルオイル。セサミンオイルに微量の女性ホルモン(エストラジオール)が配合されているので、血流増加や皮下組織のコラーゲン量を保つ効果を感じてもらえるはずです」
医療機関専売品のマッサージ用オイル。フェムゾーンだけでなく、全身に。
LUNAPRIDE アディショナルオイル<医薬部外品> 30㎖ ¥4,400/女性医療クリニックLUNAネクストステージ
知っておきたいGSMって?
閉経関連尿路生殖器症候群のこと。閉経後に女性ホルモン分泌が減少したために起こる症状です。以前は老人性腟炎と呼ばれていましたが、新たな概念として提唱されるように。中年以降の女性の約半数が罹患します。
症状は腟や外陰部の乾燥からくる灼熱感や性交痛、そして頻尿・尿もれ・再発性膀胱炎といった泌尿器のトラブルなどです。予防には保湿ケアやトレーニング、改善にはレーザー照射の選択肢も。
お話を伺ったのは
関口由紀さん
Yuki Sekiguchi
山形大学医学部卒業、横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学修了。医学博士。「横浜元町女性医療クリニック・LUNA」を開設。世界標準の女性医療と、女性たちによる自助的な医療の実践を目指す。日本フェムテック協会代表理事。腟や骨盤底ケアについての著書も数多い。
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イラスト/内藤しなこ 取材・原文/金沢由紀子