いつかは訪れる「閉経」。気になるのは「月経がなくなる」という事実よりも、閉経前後に起こる心身の変化です。不調を当たり前と思わずに、少しでも快適に過ごす手立てを見つけましょう!
お話を伺ったのは
八田真理子さん
Mariko Hatta
産婦人科医。1990年、聖マリアンナ医科大学医学部卒業。順天堂大学、千葉大学、松戸市立病院を経て、98年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。幅広い世代の女性の診療を行い、クリニックはいつも女性でいっぱい。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)など。
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女性ホルモンが減っていくこの時期
閉経前、月経はこんなに乱れがち!
閉経そのものではなく前後の期間を大切に
戦前まで、つまり今から75年ほど前まで、女性の平均寿命は50歳でした。閉経年齢は現在とあまり変わらず50歳頃だったため、昔は「閉経=人生の終わり」と考えられていたようです。
寿命が劇的に延び、人生100年時代といわれる今、閉経はまだ折り返し地点。人生はこれから、です。
「閉経は月経が永久になくなるという事実を指しますが、閉経そのものより、その前後の数年間、女性ホルモンが不安定になることに注目してほしい。
自分の月経の変化をメモしたり、この時期こそ基礎体温をつけておくのもおすすめです。ちょっとおかしいなと思ったら、記録を持って婦人科に相談しにいくのが理想ですね」
こうアドバイスしてくれるのは、産婦人科医の八田真理子先生です。
閉経への過程は十人十色。決まった形はないのが現実です
ホルモンに対する感受性の違い、自律神経やメンタル面、体の機能や体質など、まさにその人の個性が映し出されるのが閉経です。
そもそも「閉経」って、いつのことを指すの?
医学的には、40歳を過ぎて1年以上月経がない場合、1年前の最後の月経のときを閉経とみなします。例えば、昨年3月以来、今年の3月になってもこない場合、「昨年3月で閉経した」ということに。最後の閉経の時点の年齢が閉経年齢となります。閉経の時期と年齢は振り返って初めてわかるものなのです。
早い人は39歳、遅い人は63歳! これが閉経のリアル
読者アンケートでは、閉経の年齢にも大きなばらつきが(前回参照)。そして閉経に至る月経の変化もさまざま。同じパターンの人はいないといっていいほどです。なんのサインもないまま、突然なくなった人も1割以上いました。
読者アンケートでわかった閉経までの“乱れ”パターン
●出血日数
1回の月経日数は、徐々に短くなっていった人が45%。逆に長くなったりバラバラだったりと、人それぞれです。
●月経サイクル
月経の周期(間隔)については、バラバラになったり、長くなるという人が多い半面、短くなる人も意外に多い様子。
●乱れはじめてから閉経するまでの期間
周期や経血量に変化が出はじめてから閉経までの期間は、0日〜8年半と差があり、半年〜2年で閉経する人が半数。
●おりものの変化
こちらは、毎回違っていたという人が最多。色やニオイ、粘度の変化のパターンも、人によって違うようです。
●経血の色
経血は、だんだん茶色っぽくなっていく人のほか、鮮血に近くなっていった人、毎回違っていた人といろいろ。
●経血の量
経血量は、徐々に少なくなっていった人が45%ですが、途中で経血量の多さに困ったという人も少なくありません。
カメラ&スタイリスト/中山ユカリ 構成・原文/蓮見則子