脳をクールダウンする呼吸法や、就寝前の1杯の白湯を試してみてください。自律神経の負荷を減らし、寝つきもよくなります。
お話を伺ったのは
梶本修身さん
Osami Kajimoto
1962年生まれ。東京疲労・睡眠クリニック院長。医学博士。医師。大阪大学大学院医学研究科博士課程修了。2003年より産官学連携「疲労定量化および抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者を務める。著書に『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書)シリーズなど
鼻呼吸で脳をクールダウンし深部体温を下げる
寝る前にもうひとつ行いたいのが、鼻からの深呼吸。
「自律神経の中枢がある脳は、酷使されて熱がこもりやすく、冷却する必要があります。そのためにいいのが鼻呼吸。鼻から冷たい空気が入ってくると鼻腔の上に位置する自律神経中枢がクールダウンされ、自律神経機能が回復し、睡眠の質が高まります。
方法はスタンフォード式の、4カウントで息を吸って、7カウント息を止めて、8カウントで息を吐ききる“4・7・8呼吸法”などがおすすめ」
就寝前の1杯の白湯で脱水を防ぎ自律神経の負担を減らす
寝る前の白湯も、よい習慣。
「体の水分は呼吸や皮膚からつねに失われていて、気づかないうちに脱水状態になっている場合が。特に睡眠中は汗をかいて脱水を起こしやすく、すると血圧や心拍を整えるために自律神経の負担が増え、疲れも取れません。
これを防ぐため、寝る1時間前から少しずつ白湯を飲みましょう。血行を改善することで自律神経の負荷を減らし、寝つきもよくなります」
最低6時間は睡眠をとり疲労の回復を促す
日中の活動や紫外線によって、体内には大量の活性酸素や、“疲労因子FF”という物質が発生。
「すると体内で、疲労因子FFを減らし、活性酸素で傷ついた細胞を修復する作用がある“疲労回復因子FR”が働き、これにより疲れが修復されます。ただ、活動している日中は疲労回復因子FRの働きが追いつかないので、睡眠中に十分に働かせることが大切。
そのためには睡眠中に深い眠りが3〜4回あると理想的なので、最低6時間は睡眠をとりましょう」
右向き寝で、いびきを防ぎ、自律神経の疲労を防ぐ
寝姿勢は“右向き寝”が◎。
「更年期になると喉や舌の筋肉が衰え、舌の根が喉に落ち込んで気道を防ぎ、いびきをかきやすくなります。すると呼吸をするのにエネルギーを使ううえ、低酸素状態をカバーするために自律神経が働いて睡眠中に疲れがたまります。
でも横向き寝なら舌の根が落ち込みにくいのでいびき予防に。特に右向き寝なら心臓にかかる負担が軽く、胃もたれも防げます」
イラスト/いいあい 構成・原文/和田美穂