月経から解放されて、閉経後の今がいちばん元気!
OurAgeでもおなじみの産婦人科医、八田真理子先生。なんでも知り尽くしているかと思ったら、なんと最近まで落とし穴に落ちまくっていたそう。我慢を重ねて不調とともに歩んできた時代をなんとか乗り越えて、ようやく不調を脱した今、第2の人生が花開いたかのように華やか! 初めて明かされる八田真理子先生の閉経物語に注目を。
八田真理子さん(57歳・産婦人科医)
●閉経歴
- ・45歳……………五十肩、頸椎・腰椎ヘルニアを発症
- ・47歳……………子宮筋腫、子宮内膜症とPMS治療のため低用量ピルを9年間飲み続けていたが、この年に血栓症を疑う症状が出て、低用量ピルを中止。ミレーナ(黄体ホルモンを持続的に放出する器具)を子宮内に挿入
- ・48歳……………膝の関節痛、手の関節痛に悩み、エクオールの摂取開始
- ・53歳……………ミレーナの入れ替え
- ・54歳……………閉経。子宮筋腫や子宮内膜症が楽になる。HRT(ホルモン補充療法)を開始
- ・55歳……………医食同源に目覚め、クリニックに採算度外視でキッチン食堂をオープン
- ・57歳(現在)…腟レーザー「モナリザタッチ」などで、より女子力アップ!
私は大丈夫、のおごりから月経トラブルに翻弄されて
──閉経されて約3年。定義でいうと閉経後5年が更年期ですね?
「そうですね。ただ、私の場合はこの20年くらいのうち、今がいちばん絶好調なんです。出血もない、月経痛もない。閉経と同時にHRT(ホルモン補充療法)も始めたのでなおさらです」
──それまで不調もありましたか?
「実は私、産婦人科医でありながら良性疾患の塊。30歳頃から子宮内膜症と子宮筋腫に悩まされていました。月経痛はロキソニンを飲んでいればなんとか我慢できると思っていたんです。38歳頃には筋腫も大きくなり、肛門に鉄の棒を押し込まれるみたいな排便痛もひどく、経血量も多くて白衣が血で汚れることもしばしば。『患者さんの血ですぅ』とごまかしてました(笑)。それもどうにもならなくなり、低用量ピルで出血をコントロールしていました。
ところが、低用量ピルを約9年間続けたのちに血栓症を疑う症状が発覚。そういえばうちは心筋梗塞・脳梗塞の家系。それ以上飲んでいたら私も脳梗塞になっていたかもしれません。そこですぐにピルは止めたんですが、やっぱりドボッと出血してしまう。
その頃、子宮内に入れておくと黄体ホルモンが5年間放出されて避妊できる、ミレーナが日本に入ってきました。その副効用を期待して私も入れたところ、過多月経に翻弄されることはなくなりました」
──その後は、順調に閉経に向かったのですね?
「そうです。54歳で最後の月経がきて閉経。約1年後には徐々に筋腫も内膜症も小さくなっていきました。それと同時にHRTを始めたんです。閉経前は太って、人生の最高体重になっていたのですが、それも戻せるようになったのは、ほんとにHRTのおかげです」
医食同源とホルモンケア、どちらも絶好調の源
──クリニック内にキッチン食堂を開設したのも同じ頃?
「そうです、医食同源の考え方に目覚めて。契約農家の無農薬野菜を使い、無添加の最高の調味料を使ってもらう。食の知識も増え、きちんと選んで食べるようになりました。例えば、遺伝性の高血圧があり、降圧剤を飲んでいましたが、ミネラル塩に替えたら2カ月で正常域になったんですよ! 営利度外視なので赤字ですけど、健康になれたし、患者さんにも医食同源の大切さを伝えられるのでよしとします」
──月経トラブル以外に、更年期の不調は感じていますか?
「関節痛ですね。10年以上、肩も膝も手指の痛みも出ていました。手はエクオールのサプリメントで痛みがなくなっていますよ。閉経前は1日量の4錠では出血が多くなるような気がしたので半量、現在は1日量です。もしかしたら軽いホットフラッシュや多汗もあるかもしれないですが、もともと汗っかきで、あがり症でもあるので、ほとんど区別がつかないですね。
患者さんにもよく話すのですが、HRTは女性ホルモンを直接増やすので、たとえていうなら性能のいいガスファンヒーターのようなもの。対して、漢方薬は電気ストーブ。エクオールはホルモン『様(よう)』のサプリなので床暖房みたいなもの…。これからはそんな位置づけのツールを組み合わせて、閉経マネジメントをしてほしいなと思います」
体重キープのためにも月3〜4回はパーソナルトレーニング。
院内のキッチン食堂にて。
クリニックに導入した医療機器「アンチェアー」は、座るだけで骨盤底筋のトレーニングに。もちろん自身も時々座ります。
ランチはほとんど院内キッチンのお弁当。太ったと感じたら16時間ファスティングで体重を維持。
[左から]高血圧対策と抗酸化作用を期待して食べている「ミキプルーン エキストラクト」(三基商事)。鉄分をはじめとするミネラル補給には乾燥デーツ。ドバイ王室御用達といわれる無農薬、化成肥料不使用の「ハラス・プレミアム・デーツ」(Coffee and Date)。熊本から取り寄せて毎日煮出して飲んでいるのが、20種類の薬草が入った「万能茶」(村田園)/すべて本人私物
[左から]HRTは肌に塗るジェルタイプの薬剤をチョイス。1プッシュを片腕に塗るだけの「ル・エストロジェル」(富士製薬工業)。自身の監修によるフェムゾーンケア専用ジェル。ヒト脂肪細胞順化培養液エキスを配合して外陰部や腟内環境へアプローチする「anowa41」(アノワ)。手指の関節痛のために飲み続けているエクオール含有食品「エクエル」(大塚製薬)。乳酸菌により腟内環境をケアする機能性表示食品「ココラクト」(雄飛堂)。患者さんにも処方することの多い更年期の3大漢方薬のひとつ「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」(ツムラ)/すべて本人私物
八田真理子さん
Mariko Hatta
1965年生まれ。産婦人科医。幅広い世代の女性の診療・カウンセリングを行う地域密着型クリニック「聖順会 ジュノ・ヴェスタ クリニック八田」院長。著書に『思春期女子のからだと心 Q&A 資料ダウンロード付き』(労働教育センター)、『産婦人科医が教える オトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)など。
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撮影/柳 香穂<物> 取材・原文/蓮見則子