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閉経前の「だらだら出血」は意外に多い悩み。病気かも…と不安になるより婦人科を受診

閉経に向かっている「前期閉経」の期間の悩みは尽きないもの。周期が短くなる・長くなる、周期が読めないほどバラバラになる、量が少なくなる人もいればドバドバ出血したり、突然の大量出血があったり…。月経にまつわるトラブルがあると、さまざまなストレスも多くなります。今回は、だらだらと長引く月経の解消法を探りましょう。

 

だらだらと出血が続くと、「もしかして病気?」と心配になることだってあります。ずっとナプキンを当てていることになり、腟まわりの環境にもよくありません。閉経前、長引く月経をどう解消するのか、二人の専門家に伺いました。

 

10~14日間、薬を飲むだけでリセットできます!

 

【教えていただいた方】

対馬ルリ子
対馬ルリ子さん
産婦人科医・医学博士
公式サイトを見る
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1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。

 

これはね、閉経前には非常に多い症状ですね。

閉経前というよりも、思春期と更年期にはあるある症状です。

 

思春期の女の子にも、1カ月間、出血が止まらないなんていうことがあるんです。これは破綻出血といいます。

1回お薬を飲んで月経を止め、その後消退出血を起こすと、すっきりリセットできます。そこで新しい周期が始まるわけですね。

 

ホルモンの分泌が不安定という意味では思春期と更年期は同じなのです。ホルモンがぐらぐら揺れて不安定になる、飛行機の離陸と着陸みたいなものですね。

 

閉経前の場合は、卵巣の働きが衰えて、規則的な排卵が起こらなくなります。

排卵が起こらないと、黄体ホルモンが出ません。

エストロゲンだけが出続けます。

エストロゲンには子宮内膜を増殖させる作用があるので、内膜は厚くなりすぎて、我慢できなくなって出血します。

 

これを破綻出血というんですが、時に大量に出血したり、量は少なくても2週間、3週間、それどころか1カ月続くなんてことが起こります。

 

昔からこれは「中用量ピル」で止めて、リセットしていました。私は今でもよく処方します。

10日間くらい飲んでもらうんです。

 

「えー、ピルを飲むの?」という患者さんもいますけど、10日間だけだからね、と。

それで必ず止まりますから。結局「助かりました〜」という人が多いですよ。

患者さんがみんな答えを出してくれるんです。

 

閉経前、ホルモンが少なくなって長引いているなら低用量ピルよりは中用量ですね。

 

ピルにはエストロゲンと黄体ホルモン、2種類の女性ホルモンが配合されているんですけれど、中用量ピルと低用量ピルではエストロゲンの量が違います。

配合量が多いということは、効果が高いということ。だから中用量ピルは、薬を飲み忘れても低用量ピルよりも短期間で治療できるというメリットがあります。

その半面、ちょっとした副作用を感じる人もいますし、血栓症などのリスクもゼロではありません。でも、10日間だけなのよ。

だらだら続く出血をリセットするメリットを考えたら、GOだと思います。

 

内膜を剥がす目的では、黄体ホルモン剤だけを出すこともあります。
まだエストロゲンが分泌しているのにもかかかわらず、黄体ホルモンが出なくて子宮内膜が剥がれない場合です。

 

内膜が剥がれないと子宮内膜がんのリスクが高まるので、内膜を剥がしてリセットさせること、子宮内をお掃除してあげることが大事なんです。

 

病気が隠れていないかどうか、まずは婦人科で検査を

 

【教えていただいた方】

松峯寿美
松峯寿美さん
東峯婦人クリニック名誉院長
公式サイトを見る

日本産婦人科学会専門医。医学博士。妊娠・出産はもちろん、思春期、更年期、老年期の女性に寄り添い、40年以上診療を続けている。著書に『婦人科医が不安と疑問にやさしく答える 更年期の処方箋』(ナツメ社)、『50歳からの婦人科 こころとからだのセルフケア』(高橋書店)など多数。

 

だらだら続くのは「月経異常」なので、婦人科に行くことが一番です。

 

内診とホルモン検査でだいたいのことがわかるから、対応はいろいろあるんですよ。ドバドバ出血と同じで、薬でコントロールできる時代です。

 

かかりつけの婦人科がある人はすぐに行こうと思うでしょうけど、ほとんど婦人科に行ったことがない人は放置しがちですよね。

それならなおさら、この機会にぜひ行きましょう。

 

婦人科に行く目安は、出血がだらだらと1週間以上続くこと。

もちろん、閉経に向かってホルモンが減っていることが原因かもしれないけど、病気の不正出血の可能性もあるからです。

 

疑われる病気としては、子宮内や出口にポリープができている可能性。

ポリープの多くは良性の腫瘍ですけどね。

 

そして、40代以降の女性に増え続けている子宮体がん。

子宮体がんは、子宮内膜の細胞ががん化するもので、以前は「子宮内膜がん」と呼んでいました。

 

子宮体がんは早期発見と早期治療が何よりも大切なんだけど、初期症状は不正出血しかないんです。だから放っておいたらだめ。

 

そして、子宮筋腫の可能性。

子宮筋腫というのは、女性ホルモンのエストロゲンをエサにするの。

閉経に向かって無排卵になり、黄体ホルモンは出ないけどエストロゲンだけがバンバン出ている…となれば、「筋腫さん、さあ、育ちなさいよ」と言っているようなもの。

 

更年期に入って、急に筋腫が大きくなることがあるのはそのせいです。

うちの外来に来てみたら、メロンみたいに大きくなっていたという人もいます。

普通、ミニトマトの大きさの筋腫がメロンになるまでは5年くらいかかるから、気がつかないのよね。

太ったのかと思ったって言うけど、ちゃんと検診してないからですよ。

 

筋腫は若いうちにちゃんと検診して、筋腫のあることがわかったら定期的に検査し続けることが大事。そうしていたら気づかないわけがないの。突然メロンはあり得ないんです。

 

40代、50代で婦人科に行く習慣のない人は、今日をきっかけに行きましょう。

閉経トラブルで悩まず、元気な更年期を過ごす最良の方法ですよ。

 

 

イラスト/Shutterstock  取材・文/蓮見則子

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