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50代後半でまだ月経があるのはよくないこと? 閉経はどんなに遅くてもいいの?

閉経する年齢は51歳前後が平均とされていますが、実は個人差が大きく、40歳で閉経する人から50代後半で閉経する人もいます。アラ還でも月経がある、まだ終わりそうにない…という人は、どう考えたらいいのでしょう?

 

閉経の年齢は、初経の年齢(月経が始まった年齢)とも関連はなく、遺伝でもないということがわかっています。
まわりはほとんど閉経しているのに、自分だけまだ月経がある…。それっていいこと? それとも悪いこと?
今回も、日々外来で患者と接している婦人科の先生方にお話を伺います。

 

女性ホルモンに守られている年数が長いのはよいことです!

 

【教えていただいた方】

対馬ルリ子
対馬ルリ子さん
産婦人科医・医学博士
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1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。

 

私のクリニックの患者さんでも、57、58歳で月経がある人もいます。あったらあったでいいと思いますね。

閉経が早いと、その分だけ女性ホルモンがない時間が増えちゃうでしょう?

女性ホルモンは女性の健康や若さを保ってくれる守り神だから、守ってもらえない年月が増えるということ。

 

平均の閉経年齢は50歳ちょっとなんだけど、それはあくまで平均。すごく早い人も遅い人もいて、その差は10年以上あるんですよ。

57、58歳まで月経がある人がいる一方で、40歳で閉経する人もいるということ。極端に言えば、20年近く早く老化するかもしれないということです。

 

閉経が遅い人は、女性ホルモンに起因する乳がんのリスクが上がるといわれているけど、いずれにせよ、乳がんはみんなチェックしたほうがいい。

それに乳がんは、予防というよりはもう検診と自己チェックで早期発見するのが最良です。

 

100年という人生の長さからすると、女性ホルモンは60歳くらいまで月経があったほうが、急激な老化が少ないだろうと思うんですよ。

やっぱり今、私たちが自分に期待する若さや活力というものは、昔と全然違います。

社会が女性に期待する活力も違うけれど、60代、70代も引退するどころか、もはや普通の社会人ですからね。

 

それを思うと、本当はもう少し卵巣寿命を長くする方法とか、開発されたらいいなと思いますね。
そういったアンチエイジングの研究は少しずつされていますが、実現までにはもう少しかかるかな。

 

でも、50代後半で月経がある方に「もう止めたいです」と言われたら止めることもできるし、「ホルモン値を下げたい」と言われれば下げることもできます。

今は、月経やホルモンをコントロールできる時代なんですよ。

 

女性が年々若くなってきている証拠。でも、子宮体がん検診は必須です

 

【教えていただいた方】

八田真理子
八田真理子さん
産婦人科専門医
公式サイトを見る

幅広い世代の女性の診療・カウンセリングを行う地域密着型クリニック「 聖順会 ジュノ・ヴェスタ クリニック八田」院長。著書に『思春期女子のからだと心 Q&A 資料ダウンロード付き』(労働教育センター)、『産婦人科医が教える オトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)ほか。

 

最近、特に閉経年齢は個人差があって、全体的に高くなっているように感じます。

50代後半で月経があるなんて「病気みたい」と思ってしまう人もいますが、そんなことはないですよ。

 

見た目の年齢は、「血管年齢」「骨年齢」に相当するといわれています。

それにしても、現代の女性は若返っているよう。美魔女が増えていますよね。昭和の時代の人たちと比べたら、特に50代女性はずいぶん変わってきているなと思います。

年齢×0.7ぐらいになっている感覚。だから閉経の年齢も遅めになっている気がします。

昭和の映画とかドラマとか見てても、俳優さんは年齢に比べて今よりみんな老けているじゃないですか。

「これで20代?」「これでまだ30歳なの?」とかね。
そこからすると今の50代女性は、昭和の30代後半ぐらいにしか見えなかったりしませんか?

 

今は平均寿命が延びているし、卵巣年齢もからだの年齢も若くなっているのかもしれません。
ホルモンの量や卵子の数は変わらないはずですが、栄養状態がよくなり、健康に関する情報もキャッチしやすくなったことや、サプリメントや医療技術の向上も要因として考えられます。
食事や睡眠、運動と、基本的な知識が徐々に皆さんに行き渡ってきて、ホルモンの巡りも血流もよくなって、若返って寿命も延びているのではないでしょうか。

 

とはいえ、58歳くらいの方だと「まだ生理がきてるんです」って恥ずかしそうに言うんですよ。

私は「全然恥ずかしくない。それでいいのよ」って言いながら、そこで子宮内膜の状態を診てみますね。

閉経年齢が遅い方は、子宮体がんのリスクが上がる傾向にあるので、子宮内膜の検査を必ず行う必要があるんです。

〈更年期世代は、子宮頸がんだけでなく体がんにも要注意!〉

今、子宮体がんが増えていて、子宮体がんの罹患数が子宮頸がんを追い越して、子宮がんの半分くらいになっています。

要するに、子宮内膜が厚いままになると体がんのリスク上がるわけです。

普通に月経があるということは、月経のたびに内膜がちゃんと剥がれて薄くなるわけだから、それほど問題にはなりません。

それが、更年期に入り閉経に向かって月経不順になってくると、子宮内膜はきちんと剥がれず厚みが増します。子宮内膜が厚くなり(増殖し)、異型細胞に変化し、そこに子宮体がんが発生するのです。

特に、閉経後に子宮内膜が5mmを超えている場合には、私は子宮体がん検査をするようにします。

 

閉経間近で、薬以外で内膜が厚くならない方法はありますかって聞かれるんですが、これはもう生活習慣かな。

食事は添加物や、トレーサビリティがちゃんとしていないものを避けて、和食中心にして、あとは運動することかな。

そして太りすぎの肥満にならないこと!  肥満は、脂肪細胞から悪玉エストロゲンが出るので、体がんのリスクが上がるんです。

 

すごく脅かしてしまいましたが、不正出血していなければ子宮体がんはまず心配ないですよ。

体がんは必ず出血します。久しぶりの月経みたいな感じでね。
50代後半から60代あたりで、不正出血があったら絶対に受診してほしい。

すぐに受診してもし仮に体がんが見つかっても、早期のことが多く、予後はそれほど悪くはありません。

 

一方、子宮頸がんは不正出血で見つかったら、浸潤がんになっているケースも多いのです。だから、自治体や職場の検診事業に入っているわけですね。

とにかく、不正出血があったら、絶対受診してほしいですね!

まずは超音波で内膜の厚さを診て、子宮内膜の細胞診や組織診の検査をしていきます。

 

でも、どこから出血しているのか、受診して初めてわかることもあります。

子宮からの不正出血かと思ったら、萎縮性腟炎で腟粘膜から出血していることもあるし、久しぶりにセックスしたとか、急にウォーキングとかマラソンとかを頑張った、バス旅行で歩き回りましたとか…。
そういうことで外陰部が擦れて出血していたなんてこともあるんですよ。

とにかく閉経時期の不正出血を見くびらないでくださいね。

 

 

イラスト/Shutterstock  取材・文/蓮見則子

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